四つの作品があるが、どれも問題だらけである。
まず最初の「笹の葉」では、キョン子の本名が明らかになる。それは、一般的キョン子クラスタで望まれている名前とは異なる。いわば、作者の「お前らのキョン子と俺のキョン子は違う!」という独立宣言であるが、一般的キョン子の小説を読みたい人はここで決別すべきであろう。
それとともに作者のタカが外れる。続く「エンドレス」では、なんと35歳ロリコン野郎が出てくる。35歳という年齢の生々しさは、この作者が十代や二十代ではないことを示している。つまり、このキャラは作者の分身といっていいだろう。35歳ロリコンが女子高生の正論にズタボロになる姿は読んでいて爽快だったが、わざわざキョン子の名を冠した二次創作で書くべきことではあるまい。
そして、最後の「お歳暮」では、SF小説の感想文が丁寧にもSOS団メンバーの人数分掲載されている。自分のブログでやれ、としか言いようがない。ちなみに「腐れキリスト教徒」という罵倒文句が出てくるが、これは米国SF作家であるカート・ヴォネガット・ジュニアの「猫のゆりかご」の引用であると思われる。
個人的に読んでいて楽しかったが、原作ハルヒの影はどこにも見つからない。似ているのはシチュエーションだけで物語の内容はまったく違う。もはや、二次創作のカケラもないので☆は二つ。