俳句。お題「秋の蝉」
亜逢 愛
秋の蝉
小説ではありません。登録記念で作った俳句を掲載します。
私は素人です。下手です。
気が向いた時に詠むくらいなので、たくさん作っていません。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
俳句 お題「秋の蝉」 亜藍庵(気分を出すため)
① 秋にセミ 観客なくも 華やかに
② ひとり蝉 沸き立つ雲の 夢を見る
③ 静か蝉 ひとり秋の日 かくれんぼ
④ やつれ蝉 ひびけや響け 秋風に
⑤ 秋のセミ 涼やかな空 夏の夢
⑥ 栗ひろい セミが抜けにし 夏の
⑦ セミひと夜 朝にしんみり 秋の針
⑧
⑨ 土遊び 秋たる子ゼミ 留年す
⑩ 初夏習い セミ夏盛り 秋そぞろ
以上です。
【解説です】
① 秋にセミ 観客なくも 華やかに
観客とはメスゼミです。オスゼミは、居るか居ないか分からないメスのために華やかに鳴き続けます。その命が尽きるまで……。
そんな寂しい様子を華やかと言う言葉に託しました。
② ひとり蝉 沸き立つ雲の 夢を見る
これは解説をしない方がいいかも知れません。過ぎてしまった夏は戻りません。
③ 静か蝉 ひとり秋の日 かくれんぼ
静か蝉とは、メスのことです。オスはその存在が人間に分かりますが、メスは例え近くにいても気付きません。
かくれんぼは、人間にとってはメスはかくれんぼの隠れる側ですが、メス本人にとっては、オスを探すオニの側なのです。その辺りをかけてみました。
それにしても秋に現れたメスは寂しいものです。オスが近くに居なければひとり静かに死んでいくのみなのです。
思った以上に悲しい運命と感じました。
④ やつれ蝉 ひびけや響け 秋風に
オスゼミが疲れ果てるまで鳴いても、空回りするように声が響くだけです。その声も秋風に呑まれてしまい、思う相手に届くこともなく、オスゼミはやつれて死んでいくのでしょう。そんなセミを励ましたかったのです。でもやっぱり、悲しい句ですね。
⑤ 秋のセミ 涼やかな空 夏の夢
土から出てくるのが遅すぎた。秋のセミは相手と出会うことができません。暑い夏に思いをはせて、せめて夢の中だけでも異性に出会いたいと思っているのかも知れません。
⑥ 栗ひろい セミが抜けにし 夏の殻
これは秋に出てきたセミを詠っているのではありません。秋の栗拾いに行った時にセミの抜け殻を見つけて、夏を思い出すという人間の気持ちです。
夏の何を思い出すのかは、人それぞれです。殻は思い出すきっかけに過ぎないのです。
もしかしたら、夏の思い出は空(殻)っぽだったと言うことも……。それも悲しい。
⑦ セミひと夜 朝にしんみり 秋の針
これは、少し難解になってしまいました。明け方の寒さに震えるセミを思って詠みました。
夜中の内に仲間のセミが寒さで死んでしまい、朝に一人で鳴いて、しんみりとしてしまっている様子です。秋の針とは夜に死んでしまったセミに昆虫標本に使う針のように、ぐさりと寒さが刺している感じです。ちょっと残酷になってしまいました。
⑧
これは少々コミカルな感じです。幼ゼミはまさしく幼虫です。セミの幼虫には、地上に出る前に外の様子を見に出てくるやつがいるそうです。
様子を見ようと出てきたら、秋の寒さにやられて穴に引き返す様を詠みました。本当に戻るセミがいるかどうかは分かりませんが、いたら面白いと思ったのでした。
⑨ 土遊び 秋たる子ゼミ 留年す
幼虫シリーズの第二弾です。夏の時に土遊びに興じた子ゼミたる幼虫が、気が付くと秋になっており出る機会を
夏に成虫になれなかった幼虫が成虫になる機会を翌年に延ばすことが可能かどうかは分かりませんが、もしできたとしたら留年になりそうだと思った次第です。
⑩ 初夏習い セミ夏盛り 秋そぞろ
これは、夏に鳴くセミの種類全体について詠っています。
初夏は練習の段階、夏に盛りを迎え、秋は焦って落ち着かない様子を表現してみました。
秋の蝉とお題を自ら決めて、十句ひねり出しました。寂しいものばかりだとやるせないので、成虫になった一匹のセミに
楽しんでいただけましたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
俳句。お題「秋の蝉」 亜逢 愛 @aaiai
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