ミルシーズ、ニーモ、そしてテーヌ川



ミルシーズ、ニーモ、そしてテーヌ川



緑に覆われ白く綺麗に舗装された街道を


朝の光に照らされながら


昔からともだちであったかのように


穏やかに


1つの風景に融けあいながら


お屋敷へと向かう


貴婦人と妖精。



ミルシーズ 

「ねえ、あなたの探してるお友達ってどんな人なの。」


白いドレスの貴婦人が妖精に尋ねる。


ニーモ 「あー・・・あれは・・・なんか変な人・・・」


適当に特徴を述べる妖精。


ミルシーズ

「変な人・・・?」


手に持った白い日傘をくるくる弄びながら


にこっと笑う。


妖精の話に興味深げに聞き返す。


ニーモ 「んーーーなんか アセンブリ、アセンブラって


歌ってるの。ひとりでしゃべってることがおおい・・・」


ミルシーズ

「アセンブリ、アセンブラ・・・聞いたことない・・・


外国の言葉・・・なの?」


ニーモ 「んん~ 


この国では使われてないかも。 そう異国の言葉


この世界とは別の世界の言葉。」


大型蒸気船が白い煙をはきながら


河口へと


ゆっくりとテーヌ川を下ってくる。


すぎさってゆく貿易用の大型蒸気船をみつめる妖精。


ニーモ 「ねえ、ミルシーズ あなたはこの世界が好き?」


大型蒸気船は楽しげに川を下ってゆく。


ミルシーズ 「ええ もちろん 神様に感謝しているの。


こんな素敵な世界に生きていられて。」


テーヌ川に手を差し伸べる。


ミルシーズ 「みて。川面もきらきら輝いているわ。


この清らかなテーヌ川を。


喜びで満ちてる川の流れを。


ね、みんな輝いてるの 妖精さん。」


テーヌ川はきらきらと輝き静かに流れていく。


その荘厳な自然の調べの中に融けこみながら2人は歩んでゆく。


ニーモ 「・・・そうね。 ここにも精霊が宿っている。


光に溢れてる。


いいお友達がたくさんいるのね。あなた。」



ミルシーズ 「あはっ それにこうして 妖精さん


 あなたともお友達になれたし・・・ねっ


ねっ


これから一緒にいろいろやってみようよ。」


ニーモ 「それ いいわね。


そうね。あたしもそうおもうわ。


ここはいいところだし。」


ミルシーズ 

「私のお屋敷はもう少しのところよ。」


うきうきと歩を進めるミルシーズ。


自然と歩く速さもはやくなる。


ニーモ 「あっあれかしら。」


きらっと妖精の羽がきらめくと


妖精が勢い込んで前へ飛び出す。


大きな白亜のお屋敷が近くにみえる。



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門の前に勢いよく辿り着いた


妖精は羽をしゅんしゅんと震わせている。


大きな白亜のお屋敷は白いレンガの塀で囲まれ


恭しく二人の帰りを待っていた。


ニーモ 「ここかしら?」


大きな白亜のお屋敷へと続く道を彩り


趣きを与えている白い門を見上げる。


ミルシーズ 「そうよ。 お入りなさい。


楽しくなるわよ。  妖精さん。」


白い日傘を静かに手元で閉じ、妖精と一緒に


白い門をくぐると


ふたりは胸を弾ませながらお屋敷へと続く道を歩んでゆくのでした。




















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