最終話
15年後。
街は、もう街という規模を超えていた。
人口は昔と比べ物にならないほど増え、人でごった返している。
喧騒が街を包み、暗くなることはない。
シリルが加わったことで、湊の現代の知識がうまく活用され、街は急発展を遂げた。
「本当にここまで来たんだな……」
湊は、隣に座るリーファに話しかける。
「はい」
魔物たちを討伐した後も多くの問題が残っていた。
政治形態が確立されていなければ、ニューマンや他種族に攻め込まれることも少なくなかった。
人では足りなかったし、経済発展を見込む方法もなかなか見つからなかった。
「大変だったな」
戦闘になるたびに、湊とリーファは駆り出され、新しい事業を行うときは会議に必ず参加していた。
二人の仲が険悪になることはなかたっが、多忙を極めるために発展せずにいた。
だが、今日ようやく街が国と呼んでも問題なくなり、二人は激務が軽減される。
今日、以前集会場のあった場所に建てられた議事堂で様々な国としての形態が発表される。
経済は混乱を避けるために変更が少ないだろうが、民主主義や憲法、裁判など現代を模倣したものが発表され、ついで建国が宣言される。
ついに、街という規模を超え、他種族の勢力を抑え、ハーフの安住の地が生まれるのだ。
式典が催され、皆が歓喜することだろう。
多くのものが、この節目に何か抱くだろう。
湊も、建国達成に際して1つ決心をしていた。
「リーファ、ここまで長かったな」
「はい」
「出会ったときに助けられて、サリオンと戦って、魔物を討伐して、人口補填、他種族との抗争、魔人との対決、いろいろあったな」
「はい」
「前から何度か言おうと思ってたんだけどさ、機会がなかったからね……いま、やっといえるよ」
「うぁい」
リーファは、幸せを感じ涙ぐんでいる。
「今までありがとう。結婚してこれからも俺を支えてください」
湊はそう言って、指輪を差し出す。
リーファの左手を取り、薬指にはめ込む。
リーファは、涙をぬぐって満面の笑みで言った。
「もちろんですっ」
その笑顔には、幸せだけが満ちていた。
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