第13話新武器【十四年式拳銃】

このままじゃいけない


俺は前回の一件が終わってからそう考えた


そもそも


俺は回りに迷惑をかけた=償う

と言う考えだった


だからふと思ったんだ


回りに迷惑をかける+償う=守る


だとな


例え俺が回りにどんな印象を持たれたって構わない…

家族に手ェ出す奴は容赦しねぇぞ?





ーーーーーーーー◆





~レイカ視点~


ハル君が変わった

前と比べるとかなり良い方向に


相変わらず怪しい物を作ろうと試行錯誤してるのは変わらないけど


でも…何て言うのかな?


前にあった回りと一線引いた雰囲気が無くなった


……心を開いてくれたって事かな?


だとしたら、うれしいな




ーーーーーー

ーーー◆


視点戻し


「さて…なんの武器が良いんだろぉな」


そうハルは腕を組ながら考えてる


(当分の間は武器作成に時間を費やそう…

死が身近なこの世界では、自ずとそれが周りを守ることに繋がるだろうからな……)



ハルはうんうんと唸りながら考え込む


(記憶の引き出しを開けて考えるんだ、どんな武器がこれから使い勝手が良いか)


考えてる時


脳内にとある曲が流れる


デデッテレッテレッデッテレッテテ♪


そう、ル○ン三世のテーマが流れた



「そうか!ハンドガン…

ルパ○が使ってたのは確かワルサーP38…

日本が使ってたワルサーに似てるのは…」




十四年式拳銃!




「早くも次の武器は決まったな」


では…そうだな


十四年式拳銃のスペックを振り返ろう



【十四年式拳銃】


スペック

製造 名古屋工廠など

全長 230mm

重量 890g

銃身長 120mm

作動方式 ショートリコイル 

口径 弾薬 8mm

十四年式拳銃実包

装弾数 8発+薬室1発

有効射程 50m


ふむ、やはり93式13㎜機銃と比べると非力だな


だが取り回しのしやすさは抜群に上がるはずだ


前に殺したゴブリンのお陰で経験値が入って俺は強くなってるからな

具体的に言えば二倍か三倍くらい


ゴブリン相手にならもう無双できるだろ




だがそれじゃあつまんないからな


遠距離から手を汚さず、憧れの道具を使って倒す


さらに極まってヘッドショットを取得出来れば


リアルゴルゴになれる(笑)





さて、話を区切って十四年式拳銃について詳しく語ろう


十四年式拳銃とは?


日本軍が使っていた代表的な自動式拳銃で、南部十四年式拳銃と呼ばれている

大正13年(1924年)に銃器開発者であった南部麒次郎の協力の下、名古屋工廠で南部大型拳銃をベースに開発された、将校用や海外向けに販売

翌年の大正14年(1925年)には陸軍が正式採用

主に下士官向けに支給される

その後も幾度かの改良を経て、日本軍の拳銃として活躍

終戦までに開発元の名古屋工廠の他、東京砲兵工廠や小倉工廠、中央工業で生産され、総生産数は約28万丁に達した


戦後は日本軍の武装解除で連合軍に没収されたが、治安維持のためにほかの拳銃と共に返還され、アメリカ製の拳銃の配備が進むまで警察官用として使用された


実は現在でもコレクターズアイテムとして出回っており、アメリカ辺りでは弾薬も生産されている


改良点


後期型 昭和13年(1938年)以降のモデル

手袋をしていても撃ち易いようにトリガーガードの形状が丸型からダルマ型へ大型化

マガジン脱落防止のための板バネ追加


末期型 生産性向上のためグリップの溝やコッキングピースの溝が省略、等々


また見た目は完全にルガーⅠ

と言うかパクリ


まぁ、中にはあんなルガーのパチもんのどこが良いんだ


と思う人が居るかも知れない

だが関係ないね!


例え和製のルガーと呼ばれようが

出来損ないのワルサーと呼ばれようが

俺はあの姿が好きだからな









「おし…、えっと材料は…」


鉄の入った木箱の中に手を入れ


かつて見た十四年式拳銃の形を強く思い浮かべる



するとその形の通り



鉄たちが変形していき、銃になるのだ




「……呆気なすぎる」



悩むときは時間が掛かるのに作成となればすぐだ


良いんだか悪いんだか……







「…さぁ、いよいよだ…集中……

一撃必殺…俺は……強い…!」



ハルは木蔭に隠れ、片手に十四年式拳銃を持ちながら


目をつぶってる



「勝つのは片方のみ…

もう片方に与えられるのは死だ……でも、勝つのは朝飯前!」


まだ目をつぶってる



「……ん?

朝飯?そういや朝飯食ってなかったなぁ…

寝坊したせいでリオネさん怒ってたからそれどころじゃなかったし…

あぁ、ダメダメ!集中…一撃必殺……」



まだハルは目をつぶってる



すると少し離れた藪からガサガサと音が聞こえてくる


「誰よりも強い…俺はチート使い…チーターだ…!」



その時ふと木の上からハルに向けて

レイカが現状を伝えてくる


「ハル君、前方藪にゴブリン5体…

用意は良い?」


その言葉にハルはゆっくり目を開くと答える


「あぁ、OKだ

いつでも行ける!」



ハルはズボンのポケットに突っ込んでた十四年式拳銃を引き抜く



それとほぼ同時に


約50m離れた藪から5体のゴブリンが姿を見せる



「ギャギャギャーーーッ!」



5体のゴブリンはまっすぐ突っ込んでくる



「レイカ!迎撃用意!!」


「了解!援護して!!」


ハルの言葉にレイカは自身に身体強化の魔術を掛けるとゴブリンへ突っ込んでいく


パンッ!パンッ!パンッ!


それと同時に乾いた発砲音が辺りに響き、ゴブリン3体をヘッドショット

射殺していく


ハルは白煙を上げてる十四年式拳銃の銃口に息を吹き掛ける


その動作が終わる頃に


レイカは短剣にて残りのゴブリンを駆逐するのだ


「数、スピード共に今回も俺の勝ちだな?」


ハルはそう言ってレイカに笑い掛ける


「うっ……次は負けないよ

……また修行厳しくしないと……」


レイカはそう言って肩を落とす


武器作りの天才ハルと、魔術強化込みでの近接格闘に優れたレイカは


7歳でありながら施設の後ろの森のみ探索の許可が降りてる



別に普通に二人で協力して魔物を狩れば良いのだが


好きな奴にはちょっとだけ意地悪したいハルと、好きな奴は良いところを見せたいレイカの意思が混ざり合い現在に至る



ちなみに今のところレイカが勝ったことは一度もなかった



「悔しいなぁ……一度も勝てないなんて

ハル君はさ、拳銃?って道具使ってるけど私は短剣だもん…」


「まぁ、俺からしたらその短剣でほぼ互角張ってるお前に驚いてるけどな」


悔しがるレイカに対してハルはそう言いざるを得ない


「うー…、やっぱり悔しい……

よしよしして慰めて?」


上目遣いのレイカにそう言われ

頬を赤くしながらハルはレイカの頭を撫でてよしよしする


二人の関係は良好で、告白してない恋人のような物だった






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ミリヲタ元ヤンが異世界転生して主に旧日本軍の武器で無双する話 @PRUDE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ