王子の噂

さっそくウィランたちを撃退した僕たちは、この想区について近くにいた人間たちにきいた。

皆口を揃えて、

「王子様は優しいお方だ。」

と言う。

しかし、一人の青年だけは、少し気になる話をした。

「ですが、王子は気が弱い人間でもある。」

「どういうことだ?」

「王子は魔女に脅されていて、魔女はシンデレラを連れて来る代わりに王子に指示を出し、事実上の女王になっています。」

「運命の書どうりに進むはずならそんなことを心配しなくてもいいじゃないの?」

「ところがそうも行かないのですよ。なんせ今、国民は皆運命の書通りでない運命をたどっています。」

「何だって!」

「魔女の魔法の力は国民の運命も変えている。そうなった以上魔女の脅しは実際に行えてしまう。シンデレラも国民の一人です。彼女も例外なく運命を変えられてしまっているでしょう。噂によれば魔女はこの計画に三百年間費やしたらしいです。そうとなると、よほど綿密な計画でしょう。」

と、聞かないことまでペラペラと話しだす。

シェインが青年を睨み付け

「逆に何でそんなに知っているのかなー?」

「言われて見ると確かに不審ね。」

と、軽く言うレイナ。

「理由は簡単ですよ!なんせ私が王子ですから。」

「へーー。」

「そうでしたか。」

シェインが呟く。

「だからそんなに……。」

と、レイナが呟く。

三秒ほど遅れて一斉に

「って、エェーーーーーー!!」

と、叫んだ。

「今平然と聞き流したけど本当に!」

「ああ、本当だとも。国民皆が知っているさ。なんなら聞いてみるといい。おい君!!」

と、軽く言うと通りすがりの人に声をかけた。

「ウァァァァアァァァァァ!!」

「ウィ、ウィランじゃん!!」

「しかも、ウヨウヨいるぞ!」

タオが慌てて言う。

「軽くみて2、30はいるみたいですね。」

シェインがいつもどうり落ち着いて言う。

レイナが

「仕方ない。すぐに倒すわよ!!」

と、気合いを入れて言った。

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