第7話 豚商人カルドーマ
俺は豚商人、カルドーマに、催眠眼をかけた。それにより、奴は俺の術中に落ちて、今は俺のいいなりだ。
竜人や盗賊の男以外は、全員その場で解放した。カルドーマが持っていた金を全部渡して、奴隷から解放してやったんだ。
若い女や小さな子供などもいたが、全員その場で解放する。金を平等に分け与えたので、あとは俺の知るところではない。自分たちの力で生きてほしい。
「おい。いいのか? お前くらいの子供もいたぞ」
「俺は20歳を超えている。体が成長しなくなっただけだ。子供ではない」
「そうなのか?」
竜人が聞いてくるが、今は話したくない。
「いいのか? 小さい子供がお前を見ているぞ」
一応、奴隷たちにはカルドーマが用意していた服を着させ、身なりをしっかりとした上で解放させている。金も持たせた。これで生きられないなら、それまでだ。
「俺にはやることがある。使えない人間や魔族を養う余裕はない。というか、もう黙れ。おしゃべりな奴は嫌いだ」
俺はそういうと、魔眼を発動。竜人を無理やり黙らせる。盗賊の男はもとから俺にビビっていたので、何も言わない。怯えて俺の後ろをついてくるだけだ。
豚商人のカルドーマと言うと、俺の催眠眼を長時間受けた弊害か、頭がおかしくなってきている。
「こちら、です。アイリス紹介は、こちらで、べ、げははは。です。よ、」
涎を垂らして白目をむき始めた。これはまずい。早めにアイリス紹介の場所を聞き出す必要がある。俺は案内させるのは諦め、地図を見せてどこにあるのか教えてもらう。
カルドーマは涎を垂らしながら、指で「ここです」と指示した。
俺はその場所に血でマークを付け、忘れないようにする。
「よし。カルドーマ。ご苦労だった。お前はもう死ね」
俺は魔眼を強め、脳みそを破壊する。カルドーマは血の涙を流す。その場に倒れる前に、俺は魔法で奴を立たせたままにする。魔眼を応用した、念動系の魔法だ。
「おい。ばれないようにカルドーマの死体を荷馬車の中に入れておけ。人目に付く」
ここはまだ奴隷市場の中だ。他人の死などまったく気にしない奴らが集まっているが、さすがに血を流して倒れているのはまずい。カルドーマはそこそこ名も通っているようだし、奴隷市の運営に見つかると厄介だ。
俺は竜人の男に命令し、荷馬車に入れさせる。
「おい盗賊。聞くが、お前の名前は?」
「カ、カリウスです」
「なら竜人は?」
「ギランだ」
「俺はショウという。これからアイリス商会を潰し、そのままヤーポン商会を潰す。死なないように頑張れ。以上だ」
「え? ちょっ! 本気ですか!?」
カリウスが初めて口答えしたが、俺は魔力を高めてカリウスを睨む。視線は合わせなかったが、カリウスはそれだけで胸を押さえて倒れこむ。
「黙っていろ。お前は俺の命令に従っていればいい」
「は、はい」
カリウスは涙を流しながら、俺の言うことを聞いていた。逆に竜人のギランは、あきらめている様子だ。
「今まで頭のイカれた主人は多くいたが、あんたはその中でも最強だ。これで俺も死んだな」
ギランは自嘲気味に笑っていたが、俺は知ったことではない。俺は地図の場所を頼りに、馬車を走らせる。馬車は盗賊のカリウスが操れたので、御者になってもらった。
魔眼の解放者 @yumeoibito
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