プロローグ

あれから、何年もの月日が流れた。

あの僕らを困惑の混沌に陥れた事件はようやく終わった、そう感じるようになった頃には、僕らはもう大人で、事件を客観視するには十分な時間が流れた。

あの人の犠牲も、なにもかも、すべては過去として終わったことなのだ。僕はそう思う。

僕らはあのあと、警察に拘束されて、取り調べを受けたが、裁判では殆ど被害者同然に扱われた。まだ精神的に未熟であること、そして事件の本質に横たわっている知能的な悪質性が考慮された。僕らに下ったのは保護観察処分で、当面の間は表立つ自由は剥奪されたものの、それでも恐ろしい現実に震え上がったあのときの僕たちにとっては、何よりも感謝した刑罰だった。

今はこうして、完全に自由な体と権利を保障されている。

僕らが拘束されたあとの学校はまさしく混乱を極めたらしく、一時は廃校も計画されたという。それでも、僕らと同じように、今では平穏な時間を送る学校に戻っている。

心になんだかポッカリと大きな穴を感じたときは、こうしてこの学校を遠くから眺める。なんだか、そうしていると穴がふさがる気がするのだ。

丘の上にそびえ立つ我が校は、今日も真っ赤な夕日に照らされている。

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僕らの『魔法』(未完) 梯子田ころ @ninjin32

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