第15説 虎耳の放課後

虎耳とらがみ‥一体、いつから図書室ココに?」

「私?私は、ずっと図書室ココたよ」

「いや。自分が入った時には、虎耳とらがみの姿が見当たらなかった」

和泉いずみ君が入って来た時には、すでに居たよ。居たけど、見えなかったんだと思うけど…」

「それは、どういうことなんだ?」

「その紙飛行機。実は、"式神しきがみ"で…。それが私の存在を消していたの」

「えっ。この紙飛行機、式神だったのか!」

「そら、そうよ。」

道理どうりで、紙飛行機が勝手に飛ぶわけか‥」

「そういうこと」

「それなら、虎耳とらがみ陰陽おんみょうってこと?」

「世間一般的には、そう思われているけど裏世界では、"式神使い"って言われているの」

「なんだか、魔法使いみたいだね」

「そうね。あっち側では、"東洋の魔女"なんて呼ばれてるわ。東京五輪で金メダルをったかの様に…」

「なるほど、けの明星みょうじょうってことか。夜明け前の東洋の大空に金星きんせいあり‥それじゃあ、本題に移そう。何故なぜ、自分を旧校舎の図書室に呼んだんだ?」

「それは、私が和泉君に相談したいことがあったからよ。それに和泉君も、私にようがあったんでしょ?」

「何故それが‥」

「お互い様よ…」

 ぼうすべて、お見通しだ!と言わんばかりに虎耳とらがみは、落ちている"式神飛行機"を眺めていた。

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