第6話「やっぱ俺、“新世界の神”になるわ」



あれから数十分後




世界を救う“救世主”となるべく、異国の地を彷徨っていた私と兄は、そこで1つの現実を知った。



それは、日本とは比べ物にならないほど、かなり貧困が進んでる現状だった。



蛇口を捻れば出ると思っていた水もでない。



病院に行きたくても、お金もなければ移動手段もない。



学校にも行けない。



電気も通らない。



食べるものもない。



この間テレビで見た時よりも、現場はかなり悲惨だった。




そんな現実を見た兄は・・・



「こんなに苦しい思いしてる奴がいるのに、なんで他の連中は、何もしてやらねぇんだよ…」



国家の違い。


文化の違い。


人種の違い。


宗教の違い…。



理由は色々あるけど、それがわかった時点で、直接的な解決策になるわけでもない。



「・・・・・・」



私も、どうしたらいいのかわからず、ただただ、目の前の現実に…



言葉を失っていた。



「結里花」



兄は前を向いたまま、私の名前を呼んだ。



「どうしたの?」



「‥やっぱ俺―――」




「“新世界の神”になるわ」




「アホか!w」



この状況でよくもまあ…。



自宅警備員(ニート)→救世主→医者→救世主→サーファー


→救世主→“新世界の神”

​     (↑今ここ)



今日だけで6回も変わってる…。



でも、機内でおじいさんを救った時みたいに、この国を…



やがては世界を、兄は救ってくれるかもしれない。




「‥俺がこの世界の“神”になれば、この貧困や現実を解決できる(たぶん)」



(たぶん)って、やっぱり不安でしかないw




「そこの者‥」



私と兄は、後ろから日本語で声を掛けられた。



「何でしょう?」


兄は訊き返した。



見ると、白い布を羽織った役人?の男性が2人ほど立っていた。



「どこから来た?」



「見慣れない顔だな」



「敵国のスパイか?」



「怪しい、ちょっとこっちに来い!」



ガシッ



私と兄は腕をつかまれた。




「は、放してください!私たちは特に怪しいものでは…」



​私が男に叫ぶ傍ら・・・・・






「Don't Touch me!!(俺に触るな)」






兄は英語で叫んだ。



しかし、結局兄と私は、無抵抗に見知らぬ館に連れていかれてしまった。





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