第430話 大阪市中央区難波千日前の賄いルーシー+辛味肉
「すごい異国情緒溢れる日本だったな」
仕事を終えてダッシュで難波に出て『ブレット・トレイン』を観たのである。トンチキ日本でトンチキな奴らがトンチキにアクションするトンチキ痛快活劇。フィクションの描写に突っ込むのが無粋であるということを思い知らせてくれる映画だった。
そうして楽しんだ後は。
「腹が、減った……」
ということで、劇場の近くで何かを喰おうと思い立つ。
「そういや、また復活してたな」
とあるメニューを求めて、劇場から南下して道具屋筋に入り、途中で左折。次の角を右折すれば目的の店がある。
「今ならすぐ入れるか」
流石に遅い時間のため、列はない。
さっと店内へと入り、食券機へ。
「これこれ」
賄いルーシーなる食券を購入し。
「あと100円で千円か。これも行こう」
どうせならと辛味肉の食券も足して案内された座席へと。
「ニンニク入れますか」
「入れてください」
とだけ応えればオーダー完了だ。と。
食券機横のコップを取り忘れていたので確保して水を飲んで一息入れる。まだ、陽の残照はなくとも残暑は厳しいざんしょう。
人心地ついたところで『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は新シリーズの冥道編第一章。ロザリーとチコのコンビという中々新鮮な展開が繰り広げられている。リリーが今のところ来ていないので財布にも優しい。
とりあえずステージに出撃してポイントを稼いでいれば時は流れ、麺上げの気配。ゴ魔乙を終了して待つことしばし。
注文の品がやってきた。
「なんだか今日はボリュームがあるように見えるな」
こんもり盛られた野菜の上には鰹節が塗され、カイワレ大根が乗せられている。野菜の周囲にはほぐし肉と大ぶりなチャーシューと辛味肉。肉肉しいボリューム感である。
「いただきます」
肉が多いので注意をしながら麺を混ぜ込んでいく。これは汁無し、要するに『まぜそば』なのだ。混ぜてなんぼだ。
ボリュームがあるので零さないように注意して箸とレンゲを使って麺を引っ張り出して具材を沈めていく。ときおり零れそうな野菜や麺を抓めば、豚の出汁と塩気。まだしっかりまざっていないので豚の味わいが強い。
それが、混ぜている間にタレの味が絡んでついでにニンニクが絡んでジャンクな旨さに変わっていくのが楽しい。
混ぜているのか喰っているのか?
量が多いので箸を持つ手が痺れてきた頃。いい感じに全体が混ざり合っていた。
「うんうん、こういうのでいいんだよ、こういうので」
醤油、塩、ポン酢のタレを全部混ぜて創ったというタレは、本当にジャンク・オブ・ジャンクスでとてもよい。とはいえ。
「少し酸味が弱い、か?」
塩気が立っていてあまりポン酢を感じられない。だが大丈夫。
席にある酢をぶっかける。
「よし、これぐらい酸味がある方がやはりいい」
しばしそのまま喰い進め。
「そろそろ、行くか」
付け合わせに出てきていた味変用玉ねぎピクルスをぶっかける。
まぜ合わせれば。
「ああ、サッパリ」
酸味もあるが甘みも強い。更には玉葱自身の香りもある。更にジャンク度が増すが、まだまだ行ける。
「これ、いかないとなぁ」
手に取ったのは緑の瓶。ハラペーニョのタバスコだ。
ダバダバと掛ければ。
「おお、いい香りだ」
ハラペーニョの少し癖のある香りがいい。辛味は控えめだからたっぷりかけても大丈夫だった。※個人の感想です。
色んな味がまぜ合わさって、とても旨い。
のだが。
「ちょっと、苦しいな」
ここのところ、節制気味だったので久々の麺300gは少々重かったようだ。それでもルーシーだからと遭難するわけにもいかない。いや、遭難したのはフローネだったな。
などといらんことを考えてしまうが。
水を一杯飲んで一息入れ。
深呼吸。
大丈夫。
箸とレンゲを手に、喰らう。
旨いのだ。
それは違いない。
最後の最後まで喰らい。
改めて水を飲んで一息。
遭難せずに済んだ。
「ごちそうさん」
食器を付け台に戻し、店を後にする。
「さて、帰る、か」
少々苦しい腹を抱えながら、家路につく。
尚、朝から一気に2kg体重が増えていたのに気づいて愕然とするのは、もう少し先の話。
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