第413話 大阪府茨木市新庄町の汁なし200gニンニクマシマシ野菜マシマシアブラカラメ一味
「お、列がない?」
TRPGができる場所でアイドルグループを結成して遊んだ帰り。
阪急茨木市駅へと向かう道中の店の前に、列がないのだ。覗いてみると、中の待機も3人ほど。
「よし、入ろう」
店内へ入り、食券機と向き合う。ここは、いつもと違って。
「汁なしだ」
ただ、麺は減らす。ということで青い洗濯挟みで食券を挟めば準備完了だ。
すぐに席が空いていき、ほぼ待たずにカウンターに着くことができた。水と箸とレンゲとおしぼりを確保し、人心地。
おもむろに、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、ゴシックパーティーの本編。カレンがあんなことになってチームが上手くいかないターン。クローズアップされているのはルベリスということで、少々頑張ってみた。なんとか300位以内ぐらいには入れそうか?
おでかけを仕込み、1度出撃したところで同じロットのコールが始まっていた。ゴ魔乙を終了して順番を待ち。
「野菜マシマシニンニクマシマシアブラカラメ一味」
と詠唱を済ませる。
麺を減らしたのだ。野菜をマシマシにしても問題ないだろう。
「ああ、旨そうだ」
丼にはこんもりと野菜が盛られ、その上には黒胡椒・一味が塗され、山肌に沿うように大量のニンニクと寄り添う豚肉。別皿で脂。
「いただきます」
汁なしなので、まずは混ぜる……には少し分量が多いので、底から引っ張り出すようにして少し麺を喰らう。
「なるほど、こういうのか」
汁なしはそんなに喰わないので、タレを纏っただけの麺は新鮮な味わいだ。そうして麺と野菜を喰らいながら、混ぜ込んでいく。
こってりしつつも脂たっぷりのスープとは異なり食べやすい。混ぜれば混ぜるほど、ニンニクをはじめとして薬味がタレとともに全体に行き渡るのもいい。
食べ応えのある豚を囓れば、旨みが溢れそれを麺と野菜で追い駆ける。
しばし楽しんだところで、脂を追加。こってり旨みアップ。
さらに美味しくなるように混ぜて堪能する。
ラーメンと違い、とにかくひたすらに、混ぜて喰らう。思うままに旨みを味わう。
豚とタレとニンニクと胡椒と一味と。何がなんだかわからなくなってきたけれど理屈抜きで脳に届けられる多幸感を楽しむ。
ああ、喰らっている。
幸腹に。
混ぜて混ぜて喰らって喰らって混ぜて混ぜて喰らって喰らって。
「もう終わり、か」
あとは、野菜の水分でそれなりの量になったタレが残るだけ。
レンゲで追い駆けて残滓を拾い上げ。
うっかりニンニクの塊を吸い上げてむせ。
気を取り直してもう少し追い駆け。
最後に水を一杯飲んで一息。
「ごちそうさん」
食器を付け台に上げて店を後にする。
「さて、帰るか」
阪急茨木市駅へと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます