第396話 大阪市東成区大今里南のまぜ麺300g(白飯一杯無料)
「今日は、麺を喰らいたい」
ここのところ、諸事情で節制しているのもあるが、それでも我慢のしすぎはよくない。
朝をシリアル、昼をぶっかけそばと軽く済ませて調整して、仕事を終えた。
「寒い季節、辛いのもいいが……お、辛いのもあるのか? 行ってみるか」
ということで、久々に大阪メトロ今里駅にやってきていた。
東南の出口から出て、少し西に行けば、目的の店はあった。
開店時間寸前で、先客は二人。これならすぐ入れそうだ。
ほどなく開店し、店内へと。
厨房をL字に囲むカウンターとその手前と奥にテーブル席がある、こじんまりしつつも内部はゆったりした造りの店内だ。
隅っこのカウンターについてメニューを開き。
「ありゃ? 今はやってないか」
結構色々とメニューに変化のある店だ。そういうこともあるだろう。
気持ちを切り替え、どうせなら今まで食べたことのなかったメニューに行ってみるのもいいだろう。
ちょうどいいタイミングでお茶を出してくれた店員に。
「まぜ麺を300gで」
と注文する。150g~400gで選べるので、ほどよいところだ。
「卵は生にしますか? 煮玉子にしますか?」
「煮玉子で」
「白飯は?」
「付けてください」
とカスタマイズを通せば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。
現在はリリーにも見せ場があってありがたい雪祭イベント。諭吉さんで確保したリリーでハイスコアを狙ったりしていれば、時間は過ぎる。
いい頃合いだったのでゴ魔乙を終了したところで、注文の品がやってきた。
「おお、なんだか潔い見た目だ」
丼には黄色い中太ストレート麺が盛られ、その上には二つに割られた煮玉子の白と黄色、茶色っぽく色づいた豚焼き肉、茶色いメンマ。全体に黄色っぽい中で、中央に盛られた大葉が鮮やかだ。
そこに、茶碗に盛られた白飯が付いてくる。
「いただきます」
まぜ麺だ。底からタレを引っ張り出すように混ぜれば、
「黒い」
ガッツリ醤油というのが見るからに解るタレが絡んで全体的に黒っぽく染まっていく。
あるていど混ざったところで麺を喰らえば。
「そうそう、こういうのでいいんだよ」
ニンニク醤油背脂仕立て。ガツンとくる旨さ。こってり旨い。麺を喰らっていけば、砕けた煮玉子が絡んで来るのもいい。メンマの甘みと歯応え、豚の旨み、どれもこれも、強めの味わいの中、大葉の香りがいいアクセントになっている。いや、全部がアクセントの中で方向性が違うだけ、とも言うが。
勿論、それをおかずに米を喰らうのもまた、よき。
ガツンとくる旨みでガツガツと喰らう。お茶はルイボスティ? 少し癖のある香りだが、これもまた、濃い麺に合う。
ガッツガッツ喰らっていれば、終わるのも早い。
最後にタレにご飯を混ぜようと思ったが、タレも絡んでしまっている。なら。
「これはこれでそばめし、だな」
残った麺にご飯をぶち込んで喰らう。
旨いしかない。
そうして最後まで存分に楽しみ。
お茶を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
会計を済ませて店を後にした。
「ガッツリ喰ったし、少し歩くか」
今里の街をうろついて真冬の交差点一人、横切った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます