麺喰らったら書く何か

第391話 大阪市中央区難波千日前の賄いポン酢

「こういうイベントが開催されるのはありがたいことだな」

　インテックス大阪にて開催されているこみっく★トレジャーの帰りである。

　ややこしいご時世ではあるが、様々な対策を行って即売会という場を継続してくれていることには感謝しかない。

　どうしても規模は小さくなってしまっているが、それでも、色んな人の創作意欲やらの坩堝がこうして存在し続けていることは嬉しいことなのだ。

　その帰り。

「何か、喰って帰るか」

　少し時間は早いが、全体的に前倒しで食事を摂ったので既に腹の虫はスタンバイ済みだ。

　こうなると、心地良い疲れを癒やすには。

「サッパリしたものにしよう」

　そう決めて、難波の地に降り立った。

　南側の改札から出て、南海方面に進み、途中で折れて道具屋筋を横切り。

　次の道を南へと進めば、目的の店が見えてきた。

「すぐ入れそうだな」

　中途半端な時間だけに、席には適度に空きがある。

　店に入り、食券機でポン酢の食券を確保する。

「今日はさらに」

　ネギを追加。感染症が気になるなら、ネギ科だ。

　セルフのコップを確保したところで店員が食券の確認へと。

「ニンニク入れますか？」

「入れてください」

　として注文は完了だ。続いて店員に案内されたコの字型のカウンターの角の席に着いて一息。『ゴシックは魔法乙女～さっさと契約しなさい！～』を起動する。

　現在は黄金編の五章。ロザリーの出番だ。適度に稼ぐために出撃して大悪魔を倒してアクティブポイントを稼ぐ。

　タイミングよく、そこで麺上げの気配。

　ほどなく、注文の品がやってきた。

「これは、サッパリしてそうだな」

　大きな丼の上にはこんもりと野菜が盛られ、大きな豚が二枚と、たっぷりの刻みニンニクが寄り添っている。付け合わせのネギは、小皿にたっぷり。予想以上に多いな。

「いただきます」

　まずは、レンゲで野菜の麓のスープをいただけば。

「ああ、サッパリ」

　こってりしているはずの豚骨が爽やかな酸味で中和されている。

　だが、まだ弱い。

　レンゲで零れないように押さえつつ、野菜を少し消費して麺を引っ張り出す。

　ニンニクも全体に混ざり、見た目はジャンクになっていく。

　改めて、麺を啜れば。

「そうそう、やはり、さっぱりしているな」

　どろりとした脂も、ポン酢の風味でサッパリだ。なんでもサッパリさせてしまうポン酢の魔力、凄い。混ざり込んだニンニクさえも、従えてサッパリさせている。

　野菜も進む、麺も進む。

　そこで、

「ネギをいってみよう」

　まずは箸で一つかみを加えて麺と食せば。

「なるほど、これはこれでいい仕事をするな」

　ニンニクとは異なるネギの刺激は変化があってよい。

　ついでに、胡椒やら一味やらもぶっかけて、味の変化を楽しんでいく。

　一頻り楽しめば、もう、後は本能の赴くままに。

　ネギの残りをぶっ込み。

　まぜ。

　喰らう。

　サッパリしているなぁ。

　どろどろだけど、サッパリしている。

　はぁ、サッパリサッパリ。

　気がつけば。

「もう、終わりか」

　あまりにサッパリしているのであっという間に平らげてしまった。

　残ったスープもサッパリしているが、

――汝、完飲すべからず。

　という戒めが突如頭に浮かんだので自重し。

　最後に水を一杯飲んでサッパリして。

「ごちそうさん」

　食器を付け台に上げて店を後にした。

「少し、歩くか」

　オタロード方面へと、足を向ける。