第360話 大阪市中央区難波の国産ブタ麺並野菜マシニンニクマシマシ肉脂マシ

「雨は……降ってないか」


 何か喰おうと外に出たところ、懸念していた大雨は峠を越したようで薄く日が差す程度に天気は回復していた。


「これなら、行けるか」


 なんとなくガッツリ喰いたい気分だったので、少し足を伸ばすことにした。


 かくして、日本橋へとやってきていた。


 真っ直ぐに目的の店へと向かえば。


「あれ? 閉まってる……」


 張り紙もなく、閉まっている。このご時勢に嫌な感じではあるが、いずれ復活すると信じよう。


 となれば、別の店に行かねばならない。


 少し散策して候補を吟味した後。


「よし」


 店を決めて、動き出す。


 道具屋筋を北上し、そのまま千日前通りを横断。


 西へと少し向かって一つ北の道へ入れば、百均の手前に目的の店がある。


「こっちはやってるな」


 厨房をL字に囲むカウンター十席にも満たない狭い店舗だが、幸い席に空きはあった。


 早速入って食券機へ。


「少し贅沢するか」


 国産ブタ麺の食券を確保して、空いていたカウンター席へと。水を飲んで一息入れる。レモンが入っていてほのかな香りがいい。


 落ち着いたところで手元の用紙に、麺量並、野菜マシ、ニンニクマシマシ、肉脂マシと選択して食券と出せば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は夏イベント五悪魔のターンだ。隙があれば出撃してポイントをリリーに捧げねばならぬのだ。


 一度出撃しておでかけを仕込めば、頃合いだった。ゴ魔乙を終了してほどなく。


 注文の品がやってきた。


「これはこれは」


 こんもりと盛られた野菜は肉脂で茶色く色づき麓に咲く大輪の刻みニンニクとどっしり構える豚。これは、大きい。定食でメインとして出てきそうな角煮がドンと丼に載っているのだ。これが、国産ブタ、か。


「いただきます」


 野菜を食すシャキッとした食感に豚骨醤油の風味と肉脂がとても合う。しばし野菜を堪能したところで、肉に食らいつく。


「おお、しっかりした味」


 タレにしっかり浸かった豚は、それだけでいいツマミになりそうだ。煮えて口の中で解けるホロホロとした食感がいい。


 続いて、麺を引っ張り出す。ツルリとした太麺は、スープの味を纏ってガツガツと喰らわずには居られない。


 ある程度喰ったところで、麺を引っ張り出して天地を返す。豚もスープに浸しておく。


 ニンニクが全体に行き渡りパンチの効いた味わいで、麺を野菜を豚を豚を味わう。


 麺野菜野菜豚麺野菜。


 加速する。


 めややぶめや。


 勢いにのって、喰らう。


「ふぅ、終わり、か」


 野菜マシマシにしなかった分、ボリュームは控えめだ。


 サクッと豚の味わいを堪能し終わった。


 最後に、水を一杯飲んで一息。


「ごちそうさん」


 店を後にする。


「さて、帰るか」


 駅へと、足を向ける。

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