第361話 大阪市浪速区日本橋の肉そば(冷)大+肉W増し
「おお、まだ上映していたのか」
映画館の上映内容を観ていると、観る機会を逸したと思っていた『るろうに剣心 最終章 The Begining』がなんばで上映しているのをみつけたのだ。
他にも観たい映画はあるが、これはラストチャンスかもしれない。
となれば、行くしかあるまい。
上映時間的に、先に昼を喰うつもりでいくのがいいだろう。
かくして私は、日本橋の地に降り立っていた。
「さて、何を喰ったものか?」
色々と食べたいものがあるが、今日はさっぱり目がいい。ざるそば……は味気ないが。
「それなら、いい店があるな」
劇場にも、比較的近い。ならば行くしかあるまい。。
堺筋の東側へ渡り、南下する。高島屋別館の前を抜け、かつては歩道橋のあった交差点を渡ったとkろおで、一つ東側の道に入る。
老舗のカレー屋、カツ丼屋の前を過ぎ、電子部品の店を一つ越え。
次の電子部品の店の手前に、目的の店があった。
「うん、入れそうだな」
硝子張りの引き戸になっている入り口から中を覗くと、昼には少し早いだけに先客は少ない。
早速店内に入って手指の消毒を済ませ、食券機へ。
メニューは、肉そばのみ。温かいか、冷たいかと量を選ぶだけ。他は、サイドメニューという潔さ。
「ここは、冷の大で……肉も付けるか」
映画が少々長丁場だ。体力をつけるためだと言い聞かせて肉W増しの食券も追加して、厨房をL字に囲むカウンター席の一つへ。
水を出してくれた店員に食券を出せば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は夏の大型イベント最終章。学園乙女のターンだ。リリーのターンは終わったのでのんびりとするつもりで、イベントボーナス付きルベリスを二枚確保した状態でルベリスステージをのんびり周回中だ。
粛々と出撃を済ませたところで、盛り付けの気配を感じてゴ魔乙を終了し、待つことしばし。
注文の品がやってきた。
「肉、だな」
丼の表面を覆う肉。その上には刻んだ白ネギと海苔がたっぷり乗っていてゴマが振り掛けられている。つけ汁は、麺汁のようでいて、表面は脂でテカっている。
「いただきます」
まずは、肉の隙間から麺(?)を引っ張り出す。
「太い……」
和蕎麦なのだが、太さはつけ麺など麺と同等かそれ以上の太さだ。それを、つけ汁に潜らせれば。
「ああ、いい味だ」
ざるそばなどの汁とは違い、ラー油が入っている。甘辛い関西的な麺汁は和の味わいなのだが、そこにラー油が添える脂分と辛味で独特な旨さになる。ちょっと行儀の悪い味。だが、それがいい。
続いて、肉を喰らう。増したのでたっぷり掴んで麺と一緒に頬張る。出汁の味が付いた肉だが、それを更に麺汁を纏わせるとガッツリした味わいになる。ネギと海苔とゴマの風味もいい塩梅だ。
一頻り楽しんだところで、天かすを麺の方に加える。
再び麺と肉を掴んで喰らえば、サクッとした天かすの食感と旨みがプラスされる。
まだいける。
更に、フライドガーリックをつけ汁に浸せば。
「大分、ジャンクな感じになってきた」
頬張る蕎麦は、幸せを感じさせる味わいになる。
続いて、生卵を割って醤油を落とし、肉を付けてすき焼き風に楽しむ。
色々と用意されたものを堪能したところで、といた卵をつけ汁に加え、もう、後は勢いに任せて喰らい尽くす。
食べでのある蕎麦、たっぷりの肉、味を豊かにする薬味の数々。
ラー油から始まって、ざるそばのようで全然違う、和としては行儀の悪い、だが、だからこそ旨い、食を堪能する。
「ふぅ」
全て食い尽くした。
残るは、つけ汁のみ。
ここで、いい文化がある。
そば湯だ。
席に置かれたポットからそば湯を適量注いで飲む。
「落ち着く味だ」
色々と加えていたところに、生姜風味のそば湯が加わることでさっぱりした味わいになっている。
ほっと一息吐いて。
飲み干し。
最後に、水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
「お幸せに」という店員の声に見送られて店を後にする。
「さて、劇場へ向かうか」
西へと、足を向ける。
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