第359話 大阪市東成区大今里のスタミナラーメン+ライス中

「嫌な雨、いったいいつになったら止んでくれるんだ?」


 というようなことを口走りたくなるのは病んでいるのかもしれないが、土砂災害なども発生するレベルの大雨に各地が見舞われている。


 幸いにして、現在居住しているあたりは雨脚も強くなく、比較的安全だ。


「ろくなものがないな」


 夏休み中にダラダラ過ごした結果、冷蔵庫に大したモノが入っていない。

 創るのも面倒だ。


「何か、喰いに行くか」


 夏だし、スタミナの付くものがいいだろう。


 そんなことを考えつつ、大阪メトロ今里駅まで足を伸ばす。


 今里交差点北西の出口を出て、東にすぐ、目的の店はあった。


「流石に空いているな」


 二階がテーブル席で、一階は階段のある奥まで真っ直ぐ伸びるカウンターという造りだが、サクッと空いているカウンター席へ。


 出された水を飲んで人心地、少しメニューとにらめっこ。


 チェーンの中華料理屋なので色々とメニューはあるが、この店は他の店だと期間限定だったりするメニューが常時あるのだ。


 一応、なくなってないか確認して、


「スタミナラーメンとライス中を」


 とオーダーを通す。


 後は待つばかりとなれば、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』の時間だ。現在は、夏イベントで五悪魔のイベント中だ。時間がある限り、出撃せねばならない。


 迷わず一度出撃したところで、早々に注文の品がやってきた。


 ゴ魔乙を終了して向き合う前に。


「ああ、にんにくだ」


 スタミナの象徴的な匂いが鼻を楽しませてくれる。


 続いて盆の中を見れば。


「ふむふむ」


 丼の表面にはシャキッとした見た目の白菜にニラ、そして豚が赤みを帯びたスープに浮かんでいる。ご飯は茶碗にいい感じの量盛られていた。


「いただきます」


 まずは、スープを。


「ああ、これは、いい」


 出汁の旨みが立っていて意外にあっさり目ではあるが、そこをニンニクの風味がガツンとくる味わいに仕立てている。具材のシャキシャキした白菜を囓れば、野菜由来の甘み旨みが加わって尚善い。


 麺を引っ張り出せば、細い麺肌にしっかりとスープを纏っていてズルズルといただくのが心地良い。そうして、スープで追い駆けたところにご飯をかっ込む。


 麺に合うスープが米に合わない訳がない。


 麺と御飯を喰らい。ときおり豚の素朴な旨みを楽しむ。むしろ、豚が箸休めだ。


 ニラと白菜の旨みを搦め手スープをいただき、その味で麺と米を喰らう。


 やはり、ここのスタミナラーメンはよい。辛味旨みを楽しめる。


 文字通り、スタミナが付きそうな食の時間である。


 だが、いつまでも心地良い時は続かない。


 気がつけば、米も麺も尽きている。


 こうなれば、最後まで。


 レンゲでスープを追い駆け、最後は丼を持ち上げてグイッと。


「ふぅ」


 堪能した。


 しばし余韻を味わい。


 最後に水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 会計を済ませて、店を後にする。


「さて、帰るか」


 駅へと、足を向ける。


 



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