第354話 大阪市浪速区日本橋のラーメン+ミニヤキメシ

「暑い、な……」


 仕事終わり、日本橋へ立ち寄っていた。規模を縮小したソフマップなんば店ザウルスの六階で『裏世界ピクニック』のブルーレイを確保するためだ。


 無事に確保して、そのままオタロードを南下し、メロンブックスで購入しそこねていたものや気になっていたものを購入して一息。


 そこそこ歩いたので、すっかり汗だくだ。


 更に。


「腹が、減った、な」


 ならば、何か喰って行くか、というところだが。


「汗をかけば塩分……そういえば、塩ラーメンの店が出来ていたな」


 かつては梅田の老舗だったのだが本店が閉店してしまった店だ。暖簾分けなどが多く本店以外は残っているのだが、いつの間にか日本橋と難波にできていたのを最近しったのだ。


 よし、そこにしよう。


 流石に難波の方は遠い。堺筋へ出て、西側の商店街を南下すれば、目的の店が見えてくる。


 店頭について看板のメニューをみると。


「セットも色々あるな」


 ざっと確認して店内に入り、食券機へ向きあえば。


「なんだか、メニュー豊富だな」


 カレーラーメンなどもある。だが、ここは基本の塩だ。ヤキメシも欲しいところ。


 となれば。


「これだ」


 というわけでラーメン+ミニヤキメシセットの食券を買って入ってすぐのカウンター席へ。食券を出して、備え付けのコップで水を一杯飲んで一息。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。


 現在は、ジルバラードの創世記。この創造主、結構大概じゃね? と思うがケイブのゲームでIKD氏なのだからさもありなん。などと思いつつ、おでかけを仕込んでいれば、奥の厨房ではもう麺上げに入っていたので出撃は控えて終了。


 ほどなく、注文の品がやってきた。


「ああ、キレイだ」


 ラーメンのスープは澄んで底が見えるほど。具材は、丸っこい厚めのチャーシュー1枚、刻みネギともやし、そして、春菊だ。


 ヤキメシの方は、ネギと玉子と人参とチャーシュー、そして小エビと中々に具沢山。ミニといいつつご飯一膳分は余裕であるボリュームが嬉しい。


「いただきます」


 まずは、スープを一口。ビシッと効いた塩味に出汁の旨みが引き立つ。これこれ、塩ラーメンだ。


 続いて麺を啜れば、パツンパツンの細麺の食感と絡んだ塩味が食欲をそそる。麺に絡んで来るもやしとネギもいいアクセントだ。


 何より。


「このエグ味がいいんだよなぁ」


 春菊が抜群に合うのだ。本店は水菜になっていて残念だったが暖簾分けの方が春菊だったように思う。こちらの方が、いい。


 チャーシューは丁寧な仕込みを感じさせるギュッと詰まった豚の旨みが嬉しい。


 そこで、ヤキメシ。こちらは、そこまで塩気がなくあっさりなのだが、これをスープと喰うとちょうどいい塩梅だ。変化をつけるには、備え付けの餃子ダレで酸味を足すのもまた旨し。


 麺を、スープを、ヤキメシを。


 静かに喰らう。


 派手さはないが、しんみり旨い。


 が。

 

「最後は、これが欲しいな」


 備え付けのオニオンフライのチップを、スプーン一杯スープへ放り込む。


「ああ、香ばしい……」


 脂の少ないスープに足されるフライの油と玉葱の風味。入れすぎると台無しなのでチョイ足しがちょうどいいのだ。


 このスープでヤキメシを喰らうのもまたよし。


 さすれば。


「終わり、か」


 ヤキメシも喰らい付くし、丼にはスープと麺や具材の切れ端が残るのみ。


 ここは、塩分補給に飲み干すのが健康的というものだろう。


 どんぶりを持ち上げ、レンゲでいけるところまで追い駆け。


 最後は、口を付けてグイッと。


「ふぅ」


 口内に広がる旨みと塩分。


 しばし余韻に浸り。


 最後に水を一杯飲んで浄め。


「ごちそうさん」


 店を後にする。


「さて、少し歩いて帰るか」


 恵美須町の駅は目の前だが、日本橋を目指して、北へ。


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