第343話 大阪府東大阪市足代新町の唐揚げ定食(麺大)
あるものを無性に食いたくなる瞬間、というのはあるものだ。
昨日から無性に食いたいたくてたまらないものがあった。
ゆえに、今日は仕事終わりに近鉄布施駅までやってきていた。
「っと、せっかくだから買い物をしていくか」
改札からすぐにある百均で細々した買い物を済ませ、高架下のショッピングモールを西へ。食品売り場を抜け、衣類などがある一角を抜けると道路を挟み、その先のゲームセンターを抜けたところに、目的の店はあった。
店頭で持ち帰りようも売っているのだが、今日は店で喰おう。
さっさと店内に入れば、やはりここも味集中システム的な趣である。手近な席につき、メニューを眺める。
定食も色々あるが、やはりここは基本に忠実に。
タイミングよく水を持ってきた店員に、
「唐揚げ定食、麺は大で」
「スープは」
「こってりで」
ということで注文を済ませる。そう、こってりでないと意味がない。それこそが、求めていた味なのだから。
注文を済ませれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は黄金編のプルメリアのターン。チコのあのスカウター的なものは片メガネとして扱えばいいのか解らず確保していたりはするが、それはさておき。一度出撃を済ませ、おでかけを仕込んだところで注文の品がやってきた。
「ああ、これだ」
灰褐色のスープに、少し沈むように薄切りのチャーシューが三枚。ネギとメンマ。麺はどろり濃厚な天下一品のスープに沈んで見えない。その横には、茶碗のご飯。唐揚げ三つミックスサラダの乗った皿。唐揚げ定食だ。
「いただきます」
何を置いても、スープだ。一口飲めば。
「ああ、これだ……」
ラーメンというよりは、この店の味である。鶏ガラや野菜を煮詰めたポタージュスープ。唯一無二……というわけでも最近はないが、やはりこの店の味として認識するのである。
その味で、ご飯をかき込む。更に、唐揚げを一口囓る。揚げたて熱々の唐揚げは、飾らないオーソドックスな味わい。
後は、野菜。シンプルなフレンチドレッシングがかかった刻んだキャベツメインのサラダ。定食だ。
そこで、麺へ。
「おお、たっぷりだ」
大は1.5玉だが、少し混ぜるともう細ストレート麺の塊にスープがほとんど持って行かれる。ずるずると啜れば、和え麺の赴き。チャーシューは薄くとも豚の旨みがある。ネギとメンマで変化を付けつつ、ズルズルと。
唐揚げとご飯を適宜挟みつつ、幸せな食の時間を過ごす。三角食いは定食の醍醐味だ。
バランス的に、麺が一番多いので、米を控えめにしつつ喰い進める。
あと少しになったところで、辛味噌、ニラ、ラーメンのタレを投入。
「これもまた、この店の味、か」
最初からやると元の味を楽しめない。また、半分でも薬味が立った味わいはくどい。味変は三分の一位かがベストだと思うのだ。
後はもう、残った唐揚げを頬張り、米を食み、麺を啜り。
スープも飲み干し、丼にのこったスープをレンゲでこそいで最後まで味わう。
水を一杯。
一息入れて。
「ごちそうさん」
会計を済ませて店を後にする。
「さて、帰るか」
駅の方へと足を向ける。
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