第340話 東大阪市長堂の半ちゃん焼飯定食(醤油味 野菜多め)
「朝、か」
ゴールデンウィークが始まっているが、映画館が休業中。五月一日は一日映画三昧をやりそこなってしまった。
そうして迎えた二日の朝は。
「ラーメンが喰いたくなるな……」
習慣付いた衝動がやってくるのは、どこかノスタルジィを感じさせる何かを探るような曲を目覚ましにしたせいか? まだまだマシマシ大丈夫。
ともあれ、休日だ。
少し身体を動かして目覚めさせて細々した作業を片付けたところで。
「早いが、昼にするか」
朝の衝動に任せて、早めの昼食に麺を喰らうことにした。
さて、何を喰うか、だが。
「昔ながらの味、か」
目覚ましの曲がどこか懐かしさを感じさせる曲だったのもあり、コンセプトは決まった。
そうして私は、布施の地に立っていた。
少し買い物したいものもあったので済ませて、近鉄布施駅の北西でてすぐに目的の店はあった。
開店直後ながらポツポツと客が入っている。店内へと足を踏み入れれば、空いてるカウンター席へと。
何を喰うか、だが。
「半チャン焼飯定食、醤油味、麺大盛りで」
ここは、定番の醤油味で焼飯とのセットだろう。
あと。
「野菜多めで」
と無料の調整をお願いする。
あとは待つばかり。席に備え付けのコップで水を飲み、一息入れたところで。
「キムチとメンマどちらにしますか?」
と店員がやってくる。定食はどちらかを選んで付けるシステムなのだ。
キムチを選んで改めてこれでひと段落。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は新章開幕。力の源を失い、新たな力を得ていく五乙女達の物語が展開中だ。今のところはそこまで頑張らなくていいので、のんびりステージをクリアしているのみ。そういうわけで無理に出撃せずにおでかけなどを確認したところで、注文の品がやってきた。
「結構豪快だな」
まずは麺。褐色の清湯の中に、中細ストレート麺が覗く。丼の表面は大量のモヤシと刻みネギで埋まっていて、微かに薄切りのチャーシューが隅に見えている。
量はともかく、モヤシにネギにチャーシューに醤油味の褐色の清湯。昔ながらの中華そばの趣である。
続いて、焼飯。
こちらは、刻んだネギ、人参、チャーシューと玉子が入ったこれまたオーソドックスなもの。八角形の器にドーム状に盛られているのもまた、よい。
「いただきます」
まずは、スープ。オーソドックスな見た目ながら、ここのものは豚骨醤油だ。どろりと白濁したものが最近は多いが、獣臭さもなくずっしりしながらもすっきりした昔ながらの味わいの範疇だ。モヤシとネギを浸して喰うのもまた、よし。
麺を引っ張り出して啜れば、正に求めていた昔ながらの味わい。安心する味だ。
続いて焼飯をいただけば、こちらはあっさり目の味わい。重めのスープと合わせるとバランスがよい。
麺を野菜を食い、時に薄切りのチャーシューを一緒くたに喰らう。薄くとも存在を主張するチャーシューは、それ自体は素朴な豚の味わい。周りの味と合わせて頂くのがよい。
アクセントにキムチを喰らえば、辛味は控えめ旨味強め。ちょっとした味変と共に、焼飯も喰らう。
勢いよく喰らったが、麺を大盛りにしたのでまだ大分残っている。
「更に変化を付けるか」
席に備え付けのニンニク唐辛子味噌~ヤンニンジャンを小さじ一杯程度スープに放り込む。結構固まっているのでしっかり混ぜれば、唐辛子とニンニクの風味が加わる。
ほどよく変わった味わいに、残った麺と野菜と豚を平らげ、焼飯もさらえる。
「こうなったら、最後まで行くか」
スープだけが残った丼にレンゲを。
掬いづらくなれば、最後の最後は丼を持ち上げて飲み干す。
「ふぅ」
喰った。思ったより腹が一杯だ。麺は大盛りにしなくてもよかった気が今になってしてくるが、+70円で大盛と考えるとついつい大盛りにしてしまうのだ。なんたるトラップ。脂肪フラグ。
とはいえ、もう、食い終わったのだ。
水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
会計を済ませて店を後にする。
「さて、帰るか」
布施駅へと、足を向ける。
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