第317話 大阪市浪速区難波中の野菜ラーメン(黒胡椒味噌)
「そうだ、麺喰らおう」
年末の大掃除に明け暮れ、空腹を持て余した午後。
唐突にそう思い立った私は、気がつけば日本橋の地に降り立っていた。今日は、マシマシではなく、ご飯と麺が喰らいたい。
堺筋沿いに南下し、一つ西側の細道へ入り、直進。ソフマップなんば店ザウルスの前に、今の腹の虫のニーズに最適な店があった。
先客はいたが、食券を出しているところをみると調理は先に始める流れだろう。
並ぶ前に、店内に入り食券機の前に立つ。
「野菜も欲しいから……野菜ラーメンにするか」
これで、栄養バランスも万全だ。
改めて列に並べば、その時点で店員が食券を確認に来てくれる。
「黒胡椒味噌で」
まずは、味を伝える。醤油、塩、味噌、黒胡椒味噌から選べるのだが、ここは黒胡椒味噌だ。そういう気分だった。
麺の固さ、味の濃さ、脂の量は、
「麺固め、後は普通で」
と伝える。
最後に、
「麺は大盛りで」
現在はタイムサービスで大盛無料なのだから、空腹を持て余しているにもかかわらず大盛にしない理由が思いつかなかった。
ここまで済ませれば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は『怒首領蜂』コラボで蜂を集めるのだが、まんまだ、これ。蜂をパーフェクトすると二周目に入れるのか?
などと楽しんでいるが、幸いにして出撃前に店内に入ることができた。アクリル板で区切られたカウンター席に着き、荷物を下ろしてライスバーへと。こちらもタイムサービスだ。
備え付けのアルコールで手指を消毒してご飯をよそう。
席に戻り、改めてゴ魔乙を起動しようとするが、そこで注文の品がやってきた。
「ああ、これは、いい」
茶色いスープにうずら玉子が浮き、たっぷりの野菜と炙りチャーシュー、ほうれん草、丼の縁には三枚の大きな海苔。
食欲が刺激されまくるビジュアルだ。
「いただきます」
まずは、スープをいただく。とろりとした食感は脂。味わいは濃厚豚骨味噌でありながら、根底にピリリとした刺激。黒胡椒味噌の真骨頂だ。胡椒が前面に出ているわけではないが、確かにピリリとする。このバランスが、なんともいえず、いい。
固めの麺を引っ張り出せば、しっかりスープを絡め取って充実した味わい。野菜も旨い。
更に、海苔をスープに浸してご飯を包んで喰うのもまた、旨い。
黒胡椒味噌は食欲をそそりまくり、具材の全てを引き立たせる。もう、麺も御飯も進んで仕方ない。
そこに更に、頃合いを見ておろしにんにくもプラスする。パンチが加わるが、ベースがしっかりしているので、ニンニクが勝ちすぎることもなく、いい塩梅。
そこで満を持して囓る豚の旨さ。
こんなに食欲をそそられると。
「ご飯が、尽きた、な」
早くもご飯がなくなってしまっていた。結構、大盛にしたのだが……
「ならば、追加だ」
ライスバーは、お代わり自由。ちぃは覚えている。
とはいえ、同じ量は流石に多いので、半膳程度の軽めの盛りにする。
そうして再び麺とスープを味わい。ご飯を喰らい。
気がつけば、もう、スープを残すのみになっていた。
勢いがついていたからな。
「さて、行くか」
汝、完飲すべからず。
戒めが脳に浮かんだが、違う。
ここでは、最後まで飲み干すのが礼儀だ。
とはいえ、少々重たい。
ならば。
「これだ」
備え付けの調味料から生姜を手に取り、適量放り込む。
そうして、スープを啜れば、爽やかな味わいに。
行ける。
レンゲでスープを啜り、啜り、啜り。
存分に楽しめば、丼は空になっていた。
「まくり、お願いします」
店員に声をかければ、まくり券をいただける。有効期限内なら、トッピング追加や大盛を無料にできる便利なカードだ。
まくり券をしまい。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
店を後にした。
「少し、腹ごなしするか」
少々喰いすぎたので、腹ごなしに、オタロードへと。
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