第313話 大阪府茨木市新庄町のラーメン200gニンニクマシ野菜マシマシカラメ一味+チーズトッピング
「中々に稀有な体験であった」
心の栄養を得るために茨木市の素敵な場所にて万全の対策の元でTRPGを楽しんだ後。
「せっかく茨木に出てきたし、栄養補給して帰るか」
ということで、阪急茨木駅近くまでやってきていた。焦げ茶色の木造の家屋のような建物に、青い看板の店が目的地である。
「なんとか入れそうか?」
開店からそこまで時間は経っていない。早い時間なのでそれなりに待つ覚悟をしていたが、それほど待たなくてもよさそうなのは幸いだ。
早速店に入り、食券を選ぶ。流石に豚を増すと多いだろう。ラーメン並の食券を買い、それでも多いので青い洗濯ばさみで食券を挟んでラーメン小に。ただ、それだけだと寂しいので、トッピングも確保。
そうして、壁際の待機列の椅子に座っていると、先に注文を確認に来る。トッピングは幾つかある中から選ぶのだが。
「チーズで」
と応じる。今日はチーズトッピングな気分だったのである。
そうしてほどなく席が空き、店員の丹念な消毒の後、座席へと。
後は待つばかりとなれば、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』の時間である。が、先に注文していたのもあり、既に麺上げをしている様子。おでかけだけ調整して、大人しく待つこと少し。
「ニンニク入れますか?」
詠唱の時間がやってきた。
「ニンニクマシ……ヤサイマシマシ、アブラマシカラメ一味で」
とコールする。要はヤサイマシマシ他全部マシである。
手際よく準備され、注文の品がやってくる。
「ああ、見目麗しい健康食品だ……」
こんもり盛られたヤサイの山をアブラがしっとりと濡らし、一味が紅葉したかのような風合いを醸し出す。麓にはでかい豚の肉塊が二つ。傍らに刻みニンニク。その裏側にはオレンジに近い色のスライスチーズが寄り添っている。
更に、小皿には追加のアブラが用意されている。至れり尽くせりだ。
「いただきます」
まずは、艶やかな野菜を喰らう。ピリッとした刺激ととろっとしたアブラの旨味を合わせれば、もう、これだけで御馳走だ。更にスープを浸したりすれば最高に行ける。そのままモリモリ食い進めたところで、スープの中から麺を引っ張り出す。食す。勿論旨い。ニンニク側から引っ張り出したことで最初からクライマックスなパンチがあるのがまた楽しくもある。ずるずると麺を啜り、返す箸で肉をスープに浸す。徐々に天地が返る。麺が上に出てくれば、もう買ったも同然だ。安心して麺に喰らいつく。炭水化物と人類の叡智の旨味が脳を刺激する。ああ、生きている。幸せだ。そこで満を持して豚に喰らい付けばもう、もう、なんだ、生の喜びを満喫した気分になれるじゃないか。この豚の肉塊は、一個で定食のメインを張れそうなボリュームなのに、それが二個ある。もう、それだけで勝ったようなものだ。何にかは知らないが。
一息に、食の喜びを堪能していれば、あっという間に丼の中身は減っている。そこに、アブラをぶち込む。野菜で少々薄まったスープにこってりとカラメが追加されて息を吹き返す。カプサイシンの刺激はまだ有効。いけるいけるぞ。二個目の豚は分厚く囓るだけで多幸感が脳にやってくる。何かがキまる。麺と野菜でバランスを取りトリップしかけた意識を留め、バクバクと胃の腑へと健康を放り込んでいく。
「もう、終わり、か」
気がつけば丼の中身は麺と野菜の切れ端のみ。
アブラが浮いたスープをレンゲで一口、二口……中略。沢山味わい。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
食器を付け台に戻し、おしぼりを入り口のカゴに放り込んで店を後にする。
「阪急は目の前だが……」
しっかり喰って体力が回復したはずだ。
「JRまで歩こう」
東西通りを、西へと歩む。
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