第312話 東大阪市長堂の焼飯定食(味噌・野菜多め)

「冷えるな……」


 昼間はオンラインでTRPGを楽しみ迎えた夜。所用で布施を訪れていたのだが、どうにも寒い。こういうときは、温かいものが喰いたくなるものだ。


 布施駅の西側の出口から出れば、すぐに見える黄色いテントがあった。そうだ、麺喰らおう。


 そういう訳で、目的の店へと。店内に入りメニューを眺める。まだ少し早いのでランチの定食がギリギリ頼める。


 なんだか、焼飯も喰いたい気分だったので。


「焼飯定食、味噌、野菜多めで」


 と注文する。麺は醤油・塩・味噌から選び、野菜(葱・もやし)の量は選べるシステムだ。あと、焼飯定食は半ちゃんではなく、フルサイズの焼飯である。


 注文を済ませれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。


 現在は、スフレのイベント中で、カルミア、ルベリスを含めた三乙女がメイン。アクティブポイントで報酬のレアリティが上がるシステムだが、今朝全員☆6まで稼いだので、のんびりしたものだ。


 というか、出撃する時間はなさそうなので、おでかけだけ仕込んだところで、注文の品がやってきた。


「緑だ……」


 多めにしたことで、葱たっぷり。これからの季節、風邪の予防に葱はとてもいい。オーソドックスな葱人参玉子チャーシューで構成された焼飯は、どっしりと盛られている。定食の付け合わせのキムチも、ちょこんと。


「いただきます」


 まずは、野菜を食べる。これによって、糖の吸収が抑えられて健康的な食事をより効果的に楽しめるはずだ。


「いい味噌味だ」


 味噌ダレが野菜にも少しかかっていたようで、しっかりした味噌味に豚骨の出汁。さらに、塗された胡麻がいい仕事をしている。


 そのまま、野菜に次いで麺を喰らう。一緒に、薄切りながらしっかり入っているチャーシューも巻き込んで喰えば、タンパク質と糖質のコラボレーションが腹の虫を楽しませてくれる。


 ここで、焼飯。パラッとしているがもっちりした米の食感もあり濃すぎない味付けがいい。フルサイズだけにバクバクいけるのもいい。なんだか、これだけで幸せだ。


 そうして口内に焼飯をかっ込んだところを、麺で追い駆ける。旨い。スープをズズズといくのもまたよい。


 そうして、一頻り楽しんだところで、キムチ。辛すぎたりしない、素朴な味わいだ。箸休め的に楽しんで、焼飯に戻る。流石にボリュームがあるが、幸腹である。


 スープで追い駆けて麺を野菜を喰らって、焼飯に戻る。


 幸せな循環が始まった。最初のループでキムチはなくなったので、そこからはグルグルと焼飯と麺の輪舞曲。


 細かいことはいい。


 内側から体を温め、心を温めてくれる。ラーメンとはそういう食い物ではないか。


 焼飯の重さもまた、心地良い。


 ああ、温まるなぁ……


「と、終わり、か」


 循環は、焼飯が尽きて閉ざされた。


 残るはスープのみ。


 勿論、最後まで楽しむ。


 ずずず。


「ふぅ」


 最後に、水を一杯飲んで一息吐き。


「ごちそうさん」


 会計を済ませて店を後にした。


「さて、買い物に行くか」


 目的地であるホームセンターへと、足を向ける。

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