第311話 大阪市西区新町のラーメン(麺200gやさいマシにんにくマシアブラマシカラメ)
11月は慌ただしかったが、どうにかこうにか一つのことをやり遂げた。
そうして消耗した状態で迎えた12月最初の日は、消耗色々と状況の変化がありながらも比較的穏やかに過ぎた。
昨日は早めに寝て睡眠は確保した、やはり、足りなかった。
「腹が、減ったな……」
消耗を回避するためには、しっかり休んでしっかり喰うべきなのだ。
そんなわけで私は、仕事帰りに心斎橋に降り立っていた。
「おおっと……」
大丸の中にいる。
目的の店は西大橋。長堀通り側に出たかったのだが、上る階段を間違えてうっかり南側の改札に出てしまったようだ。
そのまま、御堂筋側の階段から地上に上がる。
「そうか、こういう季節だなぁ」
北上すると、ライトアップされた木々の姿。
とはいえ、目的地は御堂筋沿いではない。長堀通りの北側まで出て西へ。高速を抜けて更にまっすぐ行けば、四ツ橋線西大橋の入り口が見える。
そこを越えてまだ西へ。次の道路を右へ。左。右。左。右。左。
ジグザグに進んでいくと、目的の店があった。
「あ、並んでるか……」
遠回りして回転から十分ほど過ぎていたが、中は満席外待ち数人。
「いや、もう、ここの気分だから、並ぼう」
と、先に食券を確保だな。
店頭の食券機と向き合う。汁なしも気になるが、今日はラーメンな気分。豚を追加? トッピング? いや、オーソドックスに行こう。
ラーメンの食券を確保して、外の列に並ぶ。そこに店員がやってきた。麺量を先に伝えるようだ。一応500gまで同料金でいけるが、そんなに喰えぬ。300gが標準だが、それも、少し。
ということで、
「250gでお願いします」
と伝える。気持ち、減らすのだ。
そうして待つばかりとなれば徐に『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。昨日からイベントのはずがメンテナンス続きだったが……
「おお、無事に始まってるな」
邪心編のスフレのターン。今回はメインのスフレとカルミアとルベリスか。ルベリスはちょっと欲しいな……
と、今回の福袋は。
「サンタリリー、だと……」
イベントボーナス付きの乙女を買うと、聖霊石も千個ほど突いてくる。それが、たった諭吉さん一枚! 気がつくと、購入していた。
即座に最高レベルに。
ついでに、大安売りの聖霊石250個付きのスタンプも買っておこう。
と、石も手に入ったしカルミアのガチャを回すが……イベントボーナス付きはでなかったけど、DDPドーン持ちが手に入ったからよしとしよう。
あと、スフレは半額十連……ぐらいでは出ないな。まぁ、半額単発も石12個だけ引いておくか。
演出が赤。ノーマルだ。これは、たいしたこと……って、邪心スフレ! ゴ魔乙のガチャ、そこそこ単発で来るので侮れぬ。
残りの聖霊石は後日のルベリス用に残して、イベントステージへ。
流石にリリーとスフレで倍率が高い上にヘルパーも倍率ドン。なんか、1回の出撃で8888ポイント手に入ってしまった。今回のイベントはゆるゆるやっても一人ぐらいは☆6まで行けそうだ。
などと考えている間に、最初の客が捌けてカウンターだけの細長い店内に案内される。
セルフのコップと箸とレンゲとおしぼりを確保して、席に着く。
麺は既に茹で始めているので、そこまで待たされなさそうだ。出撃は控えて、おでかけやらをしかけて時を過ごせば。
「ニンニク入れますか?」
詠唱の時がやってきた。ここは、ニンニクがデフォで多い。今日は疲れているのでカロリーを取りたい。ならば。
「ヤサイマシマシニンニクマシアブラマシカラメで」
これが、今のベストだろう。
野菜が足りずに追加で茹でていたが、結果的に茹でたての野菜が乗ってアブラがかかってニンニクドバッとして豚が乗って、注文の品がやってきた。
「ふむ、壮観だ」
味付きで褐色のアブラでコーティングされた野菜の山に、デカい豚が二枚寄り添っている。隣には、大量の刻みニンニクが佇む。その隙間に僅かにもやしが顔を出している。更に、別皿アブラもついている。
「いただきます」
脂塗れの野菜を箸に取って口に運べば。
「健康的なジャンクだ……」
醤油味の脂のこってりした風味でもやしが無限に食える。バクバク行ける。一気に山を崩し、ニンニクをスープに沈めつつ、麺を引っ張り上げる。
しっかりスープに浸かって茶色っぽく色づいた麺は、旨味甘みがしっかりした食べ応え。野菜を絡め脂をカラメニンニクのパンチを加え。
ああ、喰ってる。カロリー取ってる。
体力ゲージが、じわじわと伸びていくのを感じられる、食の幸せ。
スープはどろり濃厚脂と人類科学の叡智の味わいが心地良い。
豚を囓れば、分厚いがホロホロ。豚そのものの旨味がこれでもかと楽しめてよい。
麺も進む野菜も進む脂がニンニクが絡んでくる豚を囓る。
腹が減っていて待っている間に腹の虫がアップしまくってたのもあり、勢いがある。
マシマシ何するものぞ? 野菜はすっかり姿を消し。
麺もほどなくなくなりそう。
豚が半分残っていたのをガブリといけば、心も体も満たされる旨さ。
ああ、回復していく。
野菜も麺も豚も食い尽くし。
脂だらけのスープをズルズルと啜り。
流石に完飲は控えて、水を飲んで一息。
「ごちそうさん」
食器を付け台に戻し、店を後にした。
「さて、喰ったし西長堀まで歩くか……」
まずは長堀通りへと、足を向ける。
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