第309話 大阪市浪速区日本橋のつけ麺(大盛)+チャーシュー

「腹が、減ったな……」


 帰り道、空腹に耐えかねた私は、難波の街を歩いていた。


 だが、すぐに向かうはオタロード方面。買いたい本があるのだ。


 なんばCITYの東側、なんさん通りの一つ南の細道を歩めば、メロンブックスが……


「今日は店舗受け取りのみ……だと」


 通常営業していないというオチだった。


 コレは、困った。サクッと買い物を済ませて適当な店に行こうと思っていたのに。


 こうなると、南側のアニメイトビルのメロンブックスか……いや、もう。


「そこまで行くなら、こないだ気になったところへ行くか」


 かくして私は、そのまま細道を進み、ソフマップ前で右折。真っ直ぐ進んでアニメイトビル前で左折。そして、堺筋沿いを南下する。


 しばらく進むと、ネオンが付いた看板が路上に見える。そこが、先日気になった店だった。かつては違う店だったが、居抜きで夏頃に別の店に変わっていたようだ。


「つけ麺がよさげか」


 麺量が350gから900gで段階的に増量できるという。


 早速店内に入れば、左の壁沿いにカウンター、右に四人掛けテーブル席が奥に向かって三つ、その奥が厨房という細長い造りだった。


 まずは、食券。


「チャーシューぐらい、つけるか」


 つけ麺には+100円で唐揚げやらが付けられるが、ここはオーソドックスにチャーシューにしよう。


 空いていたカウンター席に陣取り、食券を取りに来た店員に、


「大盛でお願いします」


 と伝える。大盛は550g。まぁ、流石に900は多いので、これぐらいにしておこう。


 注文を済ませれば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。


 現在は、アンゼリカのターンのイベントだ。だが、それより謎の転校生ネルの動向が気になったりしている。とりあえず、今朝解放されたリリーのガチャは20連で確保しているので、安心だ。


 おでかけを仕込み、キワメタワーを上ったところで、ほどよく時間が過ぎ、注文の品がやってきた。


 つけ汁には魚粉が少し浮いており、麺の方は艶やかでチャーシュー、メンマ、海苔、二つ切りの煮玉子が乗っている。


「なるほど、オーソドックスだな」


 しかし、そんな鑑賞している場合ではない。


「いただきます」


 腹の虫たちにせかされるように、麺をつかんでつけ汁へ投入して口へと運ぶ。


「ふむ、これまた、オーソドックスだな」


 だが、それがいい。変に凝った味よりは、いい。


 もりもりと麺を喰らい、少し腹が落ち着いたところで、チャーシューをかじってみる。


「おお、これは、旨いな」


 しっかりと味が染みて周辺はトロっとしている。角煮を切ったような味わい。


 この味わいで、さらに麺が進む。ほどよくかかった海苔もいい。


 煮玉子も、もう食ってしまおう。


 たっぷりの麺は、否応なく腹の虫を黙らせてくれる。


 考えることはない。


 感じるままに喰らえばよい。


 そうすれば。


「終わり、か」


 たっぷりの麺でつけ汁もなくなっている。


 完食だ。


 最後に水を一杯飲み。


「ごちそうさん」


 店を後にする。


「さて、メロンブックスへ行くか……」


 オールドスタイルの3Dダンジョンを髣髴とさせる作品と主人公が服を着ていない方が多いコミックと力こそパワーなフランス革命っぽい本を求めて、堺筋を北上する。VAMOS!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る