第299話 大阪市浪速区難波中の味噌ラーメン
疫病の関係で様々な活動が止まる中、本日は合唱団の強化練習だった。
練習へ向かう道すがら、買い物と昼食がてら日本橋へと立ち寄る。
そうして、
「これにしておくか」
4TBのSATA内蔵ハードディスクを確保していた。セール品で他社の2TBや3TBの価格で4TBなので、まぁ、いいだろう。
こうしてディスクを購入しているのは、そろそろ寿命が近くいつ昇天してもおかしくないPCを新調したことによる。
元々は旧PCのデータディスクをそのまま使おうと思っていたのだが、この機会に新規のディスクにデータを移し、元のディスクをバックアップにしようという心づもりである。
想定よりも安く新調することに成功したので、これぐらいの安全策は採っておいていいだろう。
そうして用を済ませたところで、
「腹が、減ったな……」
練習前に飯を済ませておかねばならぬ。
だが、それほど時間もない。
「お、並んでないな……」
オタロードの難波側の出口付近、ソフマップの前にある店で足を止める。
「白味噌……いいな」
という訳で、店内に入り、食券を確保しようとしたところで。
「少しお待ち頂きますがよろしいですか?」
やってきた店員がそう告げる。
どうやら、隣席を空ける対応をしているようで、店内に空席があるものの少し待ちが発生するという。
練習の時間が気になるが、ここから別の店を探しても時間が掛かるのは一緒。また、ここは回転が速い。
ということで、待つことにして食券を……ん? 味噌はどれだ?
しばし探して探し回った結果、通常のラーメンの味の選択肢にひっそりと味噌が加わっていたのでそれを確保。
そうこうしている間に数人が店を後にし。
待つべく店外に出たところですぐに店員に案内された。
ありがたいことに食券を探していた時間で待ち時間は消費できていたらしい。これなら、十分練習には間に合うだろう。
そうして、席についてまずやることは。
「ごはんだ」
この店の麺は米に合うのだ。関東発の店でこういうサービスを見る度に、お好み焼きにご飯も焼きそばにご飯もたこ焼きにご飯もパスタにご飯もあれこれ言われる筋合いはないと思うんだが、それは別の機会にしよう。
茶碗にいい感じに盛りつけて席へと。
そうして『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動して、何かしようとしたところで、すぐに注文の品がやってきた。こういうこともある。
「ふむ、優しい色合いだ」
白に近い褐色のスープは、この店で元々あった黒胡椒味噌とは趣を異にする。乗っている具は、海苔、ほうれん草、葱、うずら玉子、チャーシューと、この系統の典型的な内容だが。
まずはスープを行ってみれば。
「うんうん、見た目通り優しい味わいだ。豚骨味噌にしては」
という感想だった。味噌の風味がしっかり感じられるが、あと味はこってり、という赴き。
そして当然だが。
「味噌は米に合う」
もりもりご飯が進む味であることは言うまでもない。
そこに麺を重ねれば、炭水化物✕炭水化物の受け攻め自在の旨味の乱舞。
スープを浸した海苔でご飯を巻くのもよき。
箸休めにほうれん草を頂いたり、アクセントにうずらをパクリと一口で味わったり、小ぶりながら厚みはあり存在感を主張する炙りチャーシューを頬張ったり。
それらを味噌味が包み込んでくれる。
更に、
「パワーを付けよう」
おろしにんにくを加えれば、ガツンと来る刺激が旨い。
食欲ブーストが掛かり、勢いが付く。
ゆっくり喰っている時間もないし、勢いに任せよう。
米麺麺スープ海苔麺スープスープ米米麺。
生きている実感を濃縮された時間で感じていれば、終わりはすぐ訪れる。
「よし、完食」
「まくり券どうぞ」
丼を置くと同時に、店員がサービス券をくれる。スープを飲み干すともらえるのだ。
米と一緒に麺を喰い、スープ完飲を奨励する。
なんとも、粋な店だ。
え? 糖質と塩分……知らない子ですね。日本語でOK?
というわけで、最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
店を後にする。
「さて、練習に向かうか」
近鉄難波駅へと、足を向ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます