第298話 大阪市中央区難波の味噌ラーメン+ライス

「めがねっ娘に想いを馳せよう」


 仕事終わり。10月01日、つまり一○○一眼鏡の日ゆえ、敬虔な心持ちになる。


 だが、今日はそれだけではない。


 毎月1日は映画の日である。今日は山の上に暮らすフリークスの家族を描いた『アダムスファミリー』を観に行く予定である。


 そのため、難波の地に降り立つのだが。


「腹が、減ったな……」


 致し方あるまい。映画の前に、腹拵えだ。


「そうだな、今日行くべき店があるな」


 無料券がなくとも、行くべきだろう。更に、新メニューもある。


 難波から無理なく徒歩でいける範囲に3店舗あるが、オタロード近くの店はまだ始まっていない。ならばと法善寺へ赴く。


「ああ、無料券ないと並んでない、か」


 まぁ、ありがたいといえばありがたい。


 久々に訪れた法善寺の店舗に入り、


「始まってる始まってる」


 新メニューの存在を確認する。


 ならば、行くしかあるまい。


「味噌ラーメン……と、ライス」


 炒飯はないようなのでご飯を付ける。


 これで、注文は完了だ。


 後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在はルチカのターン。流石に、ボーナス乙女もイベント報酬のみでは全員を☆6まで進化は難しい。なので、ルチカステージを地道にこなしているところだ。


 だが、出撃している余裕もなさそうだ。適当に情報の整理をしてしまったところで、案の上注文の品がやってきた。


「なるほど、味噌ラーメンだ」


 褐色のスープに挽肉・もやし・葱。とてもオーソドックスな見た目である。


「いただきます」


 まずは、スープをいただくと。


「ふむ、味噌、だな」


 思ったよりもオーソドックスな味わいだ。


 麺を啜っても同じ感じ。


 ご飯にもよくあう。


 だが、何かが足りない、と思いながらしばし喰っていたのだが。


「ああ、確かに、こってり、か」


 段々と口内から胃の腑にかけて溜まっていく感覚。それは、この店の特徴的なスープの味わいに通じるものがあった。

 

 中々面白い感覚と言える。


 そのまま、ズルズルと麺を啜りモヤシと葱と挽肉の味わいを適度に楽しむ。


 ご飯も進み。


 気がつけば、茶碗は空だった。


 麺も、心許ない。


 それでも、進まねばならない。


 当然だ。


 私は、空腹なのだから。


 少し変化をつけるために辛味噌を加えてみたりしつつ、最後の最後まで麺を楽しみ。


 残ったスープを飲み干す。


「明日は、流石にこないが」


 また来よう、という気になって食事を終える。


「これはこれで旨いのは確かだが……むしろ、いつものこってりが喰いたくなったな」


 最後に水を一杯飲んで気持ちを切り替え。


 レジで会計を済ませると、テーブルに並べられたクジから一枚を選ぶようにと。


 どうやら、無料券配布はなくともクジ引きはやっているようだ。


 直観で選ぶと。


「当たりですね」


 ということで、店名の入った小皿をいただけた。これも天命か。


 ちょっとした幸運もありつつ、お腹も膨れた。


「さて、まだ時間はあるし、少し歩くか」


 オタロード方面へと、足を向ける。

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