第297話 大阪市中央区日本橋のラーメン(並ヤサイマシマシニンニクマシマシカラメ魚粉)
この週末は、二日連続でTRPGを堪能して非常に充実して楽しいものだった。
だが、体力は有限である。どうにかこうにか仕事をこなしはしたが、疲れが残っているのを色濃く感じる。
こういうときは、野菜と肉と炭水化物をバランス良く取るのがいいだろう。
そうして仕事帰り、御堂筋線難波駅に降り立ち。
何かに導かれ街の中を歩いていた。ええ年した私は不思議にも、ただ引き寄せられるままに。
オタロードへ至る手前の麺屋に着いていた。
「あと十分か……」
まだ先客はおらず先頭に並び、週刊少年ジャンプを読んで少し時を過ごせば開店時間だ。
細長い入り口の突き当たりで、迷わずラーメンの食券を買い。
奥の角、ウォーターサーバー横の席を確保し。
食券を出す。
「麺の量は?」
「並で」
「にんにく入れますか?」
「ヤサイマシマシニンニクマシマシカラメ魚粉で」
サクッと詠唱を済ませれば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、学園乙女のカモミールのターン。だが、ボックスガチャでリリーを手に入れてしまえば、のんびりしたものだ。
おでかけを仕込み、出撃して一息。
そろそろできそうな頃合いなので大人しく待っていれば、注文の品がやってきた。
積み上がった野菜を魚粉とカラメが彩り、麓に広がるニンニクと豚の肉塊。濃い褐色のスープにはゴツい麺が隠れている。
「野菜、豚、炭水化物……健康的だ」
というわけで、レンゲと箸を手に取り。
「いただきます」
まずは野菜をいただく。食べる順番も健康に影響するのだ。先に野菜の繊維を取ることで糖の吸収を緩やかにすることができるのである。知らんけど。
そうして、心おきなくスープを啜れば、豚と醤油のキレのある味わい。生き返る。更に、野菜をほどよく崩して麺を引っ張り出して囓れば、しっかりスープを纏って味わい深い。
ここまで来れば、後は勢いだ。
麺を野菜の上に引っ張り出し。
一味と胡椒で染め。
貪る。
麺豚野菜野菜麺豚野菜野菜麺麺スープ……
抵抗なく、身体は栄養を受け入れていく。
どんどん、心身が満たされて行く。
ああ、生きている。
回復していく。
後を引くニンニクのかすかな辛味。
から……うまい。
多幸感が脳に叩き込まれ語彙力が失われる。
だが、幸福は永遠には続かない。
段々と、終わりが近づいてくる。
それでも、もうここまで来たら、駆け抜けてしまおう。
箸とレンゲを動かし。
旨味を口内に少しでも多く放り込む。
そして、遂に終わりの時が来る。
レンゲでスープを啜って名残を惜しみ。
最後に、水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
店を後にする。
活力は十分。
「少し、歩くか」
オタロードへと、進路を取る。
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