第289話 大阪府茨木市新庄町の豚ラーメン200gニンニク野菜マシマシカラメ一味
夏休み。
魔法使いになって世界を救う感じのTRPGをプレイしに茨木まで出てきた帰り。
プレイの余韻に浸りつつ帰路に着くが。
「腹が減ったな……」
ここは、何かを喰って帰らねばならぬ。
ちょうど、茨木で行きたいと思っていた店が明日から盆休みという。
今日、ここに来たのはきっとそこへ行けということだろう。
かくして、阪急茨木市駅方面にある店へと向かう。
現在時間は18時前。通常は18時開店だが、休日扱いなら17時のはず。
どちらかと思って店の前に辿り着けば、
「お、開いてるな」
どうやら、17時開店だったようだ。
タイミングよく、席にも空きがある。これはもう、行くしかないだろう。
厨房をL時に囲むカウンター席だけの店内に入り、食券機へ。
「汁なしも気になっているが……やはり普通のラーメン。いや、豚だ、豚をガッツリ喰いたい……」
ということで、豚ラーメンを購入し、青い洗濯挟みを付ける。これは、麺を減らすためだ。青色の洗濯挟みを付ければ、200gになる。
奥のカウンター席に案内され、座って一息……と思ったが。
「水とおしぼりレンゲと箸はセルフだったな」
荷物を置いて、入り口付近にそれらを取りに行く。
席に戻って水を飲んで一息。この季節、冷水が旨い。
落ち着いたところで『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は学園乙女のナイトプールイベントが開始している。とりあえず、新規のルベリスは引けなかったので、地道にポイントを稼いだりしている。
とはいえ、時間が読めないので、おでかけなどを仕込むだけに留め。水を飲みつつ待つことしばし。
コールの時間がやってくる。順番が後ろなので、マシなどの量を確認しつつ、自分の番を待つ。
「ニンニク入れますか?」
ついにやってきたところで。
「ニンニクマシ野菜……マシマシアブラマシ一味マシで」
少し悩んだが、野菜だけマシマシにする。そうして、やってきたものは。
「ふむふむ、これなら、いけるな」
こんもりとドーム状に野菜が盛られ、軽くアブラとたっぷりの一味。アブラが軽めなのは、追加分は別容器で来たからだ。これは後のお楽しみというわけだ。
そして、丼の表面半分ぐらいの豚。分厚い塊。普通にトンテキとして出てきていいぐらいのが5枚乗っている。通常は2枚のところ、200円プラスの豚ラーメンにすると倍以上の5枚になるのはありがたい。別の一角は、刻みニンニクがどっさり。
マシマシの割に野菜は山というほどではない。※個人の感想です。
これなら、ちょうどいいぐらいだろう。※個人の感想です。
「いただきます」
まずは、野菜をいただく。
「おお、しっかり味があるな」
アブラと一味のお陰で、野菜にしっかり味が付いているのがありがたい。
一方で、豚を囓れば。
「ん? これはこれでいいが……スープに浸そう」
そのもの豚だった。豚味だ。悪くないが、ここはガツンとスープの味を染みこませるのがいいだろう。
流石に、いきなり天地を返すのは苦しいので、野菜をモリモリ食べる。野菜の繊維質を先に喰うのは、インスリンの分泌を抑え、結果的に糖の吸収を緩やかにするという。野菜マシマシで野菜から食うのは、健康的な食べ方なのだ。
しばらく喰い進んだところで。
「おっと、これもいかないとな」
野菜の上からアブラをぶっかける。
敢えてぶっかかったところを食べれば。
「なんだか元気になる味わいだ……」
確実に体に悪そうなドロドロ感だが、野菜を食ってるからプラマイゼロだ。
アブラを足したところで、ここからが本番。
麺を引っ張り出して野菜と豚を沈めていく。
いよいよ、糖質の出番だ。
ずるりと引き出して口へと運ぶ。
アブラと醤油と豚の出汁と調味料とニンニクと唐辛子の渾然一体となった味わいを拾い上げる太くてしっかりした麺の味わい。噛めば噛むほど味が出てくる。食の喜びは、生の喜び。
「はぁ……生きてるなぁ」
後からくるカプサイシンの刺激もまた、心地良い。
そこからは、もう、勢いだ。
麺を喰い、スープに浸かっていい塩梅の豚を豪快に囓り、野菜を食む。
麺豚野菜のローテーション。いや、豚が多いぞ。タンパク質は大事だからな、健康的なことじゃないか。
一時、食の快楽に溺れる。
さすれば、これしきの量、胃の腑にすぐに収まってしまう。
「終わり、か」
スープには脂が浮いているが、固形物はほぼ内容に見える。
腹具合もいい感じにパンパンだ。
一口二口余韻に浸ろうと、レンゲで底を浚えるようにすると……
「豚が丸一枚、残っていた……だと……」
発掘されたのは、立派な豚。センチメートル単位の厚みのゴツい豚。
どうやら、沈みっぱなしだったようだ。
だが、お残しは罪。
箸で掴み、喰らい付く。
「おおぅ、私は豚だ、豚になる……」
ここは豚の穴だ。厳しい修行と美味しいご飯で豚になるんだ……いや、それはただのカロリーオー(それ以上は、いけない
「は、私は一体……」
一瞬割れを忘れていたが、気がつけば残った豚も胃の腑に放り込んでいた。
心地良い思みを腹に感じながら。
最後に水を一杯飲んで。
食器を付け台に戻し。
「ごちそうさん」
おしぼりだけは手に持って入り口付近のカゴに放り込んで、店を出る。
「さて、帰るか」
JRの駅まで歩いた方がいいが。
「暑さには、勝てぬ……」
阪急茨木市駅へと、足を向ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます