第282話 大阪市生野区中川のラーメン定食(ラーメン、キムチ、ご飯)
「ゆうやけこやけで日が暮れて……には、まだ早いか」
本日は、TRPGサークルの例会で生野区民センターを訪れていた。状況が状況のため、消毒薬の設置や窓全開などの対策をしての開催である。
そこで、あったかほのぼのするゲームをした帰り。
「腹が減ったな……」
ということで、何かを喰って帰ろうと思ったところで。
「せっかくだから、生野で気になっていた店に行ってみるか」
ということで、駅へ向かわずに、住宅街で入り乱れた道をなんとなく東へ向かって進み、今里筋を目指す。
迂闊に曲がると振り出しに戻される斜めに交差しまくる道を何とか東へ進む事に成功し、中川近辺で今里筋に出ることに成功する。
今里筋の東側に渡り、そこから近鉄の高架がある北へ向かえば、電球で縁取られた赤い看板が見えてくる。目的の店だ。
「お、空いてるな」
まだ、夕食には早めの時間なのもあって、先客は二人だけ。
すぐに、奥のカウンター席に通される。
醤油、みそ、辛みそと色々とあり、更には、定食メニューもあるようだ。
「ここは、定食にするか」
替え玉という手もあるが、ご飯が食いたいのもあった。疲れたときは、糖質だ。
ということで、
「ラーメン定食」
を注文する。内容は、醤油ラーメン、キムチ、ご飯というオーソドックスな内容だ。
そこで。
「ニンニクは入れますか?」
別に、その手の店ではない。ここは、にんにくラーメンの店なのだ。にんにくを避けたい人への気づかいで聞かれているので、
「入れてください」
にんにくを欲している人間なら、当然こう答えるのである。
後は待つばかり、となれば、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。
現在は、イベントの谷間で何もない。リーグ戦も朝に出撃済み。厨房を見るにそれほど時間は掛からなさそうなので、ゆったりとおでかけを仕込んだりして過ごしてると、注文の品がやってきた。
薄褐色の白湯スープの麺、白米、キムチ。シンプルな定食だ。
「いただきます」
まず、スープを頂けば。
「おおう、ニンニクマシマシ……」
豚骨醤油の旨味に最大限のニンニク風味。さすが、にんにくラーメンを謳うだけ合って絶妙な塩梅だ。これは、
「ご飯が進んでしまうな……」
多めに箸ですくい取った米を口内に放り込んで頬張れば、至福。
改めて麺と向き合えば、具材は葱、もやし、キクラゲ、そして、大きめの角切りチャーシュー。
底から麺を引き上げて啜れば、刻んだニンニクが絡んでガッツンガッツンくる旨味。
そこを、キムチで追い駆け、更に米で追い駆けるという贅沢。
ああ、うん。
これは、いかんぞ。
何がいかんかと言えば。
「米が、無くなってしまった……」
麺が半分も減らないうちに、ご飯がなくなってしまったのだ。
どうしたものか?
いや、大丈夫。
メニューをよく読め。
定食はご飯おかわり自由じゃないか!
となれば。
「ご飯おかわりください!」
店員に元気よく伝えればいいだけの話だ。
ほどなくやってきた米で、至福の時は継続する。
麺を啜りガブリと豚を囓ってから米という贅沢も交え。
キムチの味わいを挟み。
麺米キムキの三角食いを炸裂すれば脳内にどばどば多幸感が湧いてくる。
食の喜び。
満たされる。
体内に充満するにんにくパワー。
明日からの活力だ。
何も考えず。
最後まで、三角食いを完遂し。
汁の一滴まで飲み干して。
最後に、水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
会計を済ませて店を後にする。
「さて、帰るか」
近鉄の高架方面、今里駅へと足を向ける。
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