第281話 大阪市東成区深江南の宮崎辛麺(こんにゃく麺、5辛、チャーハンセット)と生ビール大

「暑い、な」


 それも、蒸し暑い。

 梅雨なのかなんなのか、鬱陶しい天気が続く今日この頃。


 こういうときは。


「辛いもんでも喰うかね」


 ということで、仕事帰りに有名文具店の本社がある新深江の地に降り立っていた。


 北東の出口から出てコンビニの前を東進。大きな道路とクロスしたところで左折すれば、遠目に幟が見えてくる。


 ジメジメした中を、しばし歩き、ようやく目的の店に。


 店前の消毒液で手指を消毒し、店内へ。


 先客は少なく、入ってすぐのカウンター席に着く。


「さて、何にするかな……」


 から揚げとチャーハンのセットがあるが、どちらにしたものか?


 そういや、最近チャーハン喰ってないか?


 なら。


「チャーハンセット、こんにゃく麺、5辛で」


 と注文を済ませる。辛さは5までは無料。麺はうどん中華麺ごはんも選べるが、ここは基本のこんにゃく麺だ。こんにゃく麺といっても、こんにゃく芋ではなく、そば粉をこんにゃく状に伸ばしたものだが。


 注文を済ませれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。


 現在は宝探しでソフトクリーム集め。ボーナスステージが解禁されてなんと1ステージで20個ものソフトクリームがゲット出来るのだ。


 なんとか最大数を確保したところで、チャーハンがやって来る。


 セットメニューは揃うのを待ちたいが、空腹なのもある。


 ならば、と。


「生ビールを」


「中と大がありますが」


「大で」


 と、飲物を追加発注し。


 やってきたところで、グビリと言って一口パクリと行く。


「ああ、久々の味だ」


 玉子、葱、チャーシューといったオーソドックスな構成が嬉しい。


 しかりした中華の味わいである。宮崎の店だが。


 数口楽しんだところで、いよいよ麺もやって来る。


「食欲をそそられるなぁ」


 赤黒いスープの中に溶き卵。ゴロゴロ入ったニンニクと緑の彩りを添えるニラ。半透明の黒い麺。


 スープを啜れば。


「この味は独特だなぁ」


 醤油ベースに挽肉などの出汁の旨味。唐辛子の辛味もあるが、5辛だと旨味がガッツリ味わえるのである。


 麺はかみ切るのが難しいが、このスープとの相性は抜群だ。


 玉子にニンニクにニラに挽肉に。


 具材も適宜交えながら、口に運ぶ。


 そして、チャーハンで追い駆け。


 ビールをグビリ。


 至福。


 至福である。


 一週間の仕事の疲れが吹き飛んでいく。


 辛味で暑気払いにもなる。


 いいぞ。


 モリモリ、麺を喰らい。


 チャーハンを喰らい。


 ビールをグビぃ。


 旨い。


 が。


「結構、ボリュームがあるな」


 セットだと麺はレディースサイズなのだが、実のところレディースは他の店の標準と替わらない。


 チャーハンも、セットのチャーハンにしては大盛だ。


 更に、ビールは大。


 うん、普通に多じゃないか。


 だが、いい。


 旨さを長く味わえるのだ。


 麺を、チャーハンを、ビールを。


 存分に味わう。


 ゴロゴロ入ったニンニクをときおり囓れば、ウィルスなんて怖くない。


 健康的な食事だ。


 そうして、ほどなく。


「終わり、か」


 チャーハンもビールも胃の腑に収まりキリ。


 残るは、スープのみ。


 穴あきのれんげで沈んだ具材を浚え。


 通常のレンゲでスープを啜り。


 最後は、丼を持ち上げてグビィ。


「ぷはぁ」


 豪快に、飲み干せば、汗が滲む。


 それでいい。


 最後に、水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 会計を済ませて店を出る。


「満足……」


 満たされた胃の腑と心を抱え、新深江駅方面へと。

 

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