第260話 大阪市中央区難波のラーメン+半チャーハンセット

「今月、まだ映画観てなかったな」


 3月に入って二桁になろうという日。少々忙しくしていたのもあるが、一息を入れても良い頃だ。


 そんなわけで、仕事帰りに映画を観に行くことにした。TOHOシネマズのポイントがいつの間にか13ポイント溜まっていたので、2本観れるしな。


 かくして、御堂筋線なんば駅の南改札から出て、TOHOシネマズのあるNAMBAなんなんへ向かうのだが。


「腹が、減ったな……」


 まだ上映時間までは余裕がある。


 なら、何か喰って行こう。


 何かと感染症対策が大切な昨今。ここのところニンニクを摂取しているがたっぷりのネギもいいだろう。


 というわけで、劇場にほど近い店へとやってきた。


 空いていた席にさっと座り、


「ラーメン半チャーハンセット」


 とサクッと注文する。基本だ。


 後は待つばかり、と荷物を置いて水を飲んで一息。そして、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動したのだが。


「半チャーハン先に」


 と、もう注文の品がやってきた。厨房を見れば、麺も盛りつけ終わりかけ。早い。見ている間にやってきた。


 ゴ魔乙を終了し、食事へと向かう。


 豚骨醤油のスープに、大ぶりなチャーシューが数枚。刻みネギとメンマ。オーソドックスな具材だ。


 炒飯も、ネギと玉子と刻みチャーシュー。こちらもオーソドックス。


 とてもいい感じだ。


「いただきます」


 まずは、スープを一口。


 旨味のしっかりした、呑みやすい豚骨醤油の風味に癒やされる。チャーシューを囓れば、豚の素朴な味に濃いめのスープの味が絡むといい。中細ストレート麺も、素直にスープを纏ってきて啜ると心地良く口内に風味が広がる。


 そして、この味には、ネギがとてもあう。


 ゆえに。


「入れよう」


 麺と共に出てきていたネギの容器を開け、レンゲでドバドバと放り込む。


 丼の表面を覆う緑を、レンゲで掬って喰う幸せ。


 旨い。


 ここらで、炒飯だ。


「香ばしいな」


 パラパラで焦げる寸前の風味。こちらも素朴な味わいで、麺で追い駆けるのも一興。


 バクバクと食って、麺を啜り、チャーシューを囓り、ネギを頬張る。


 うむ、いいぞ。


 炭水化物×炭水化物×タンパク質に、ネギを被せると健康的に思えて心理的負担も軽い。


 いや、実際、ネギは身体にいいんだ。いいんだよ!


 そうして、ネギを継ぎ足しつつ半分ほど楽しんだところで。


「こっちもいくか」


 卓上にある特徴的な調味料。


 ニンニク唐辛子だ。


 端的に言えば、ニンニクと唐辛子を練り合わせた代物。


 匙にひと掬い放り込めば、一気に紅くなるスープ。


 レンゲで口へと運べば。


「これまた健康的な味だ……」


 しっかりしたカプサイシンの刺激とニンニクの旨み。風邪の予防に最適な味わいじゃないか!


 あと、これ、オリーブオイルに溶かしたら手軽にアーリオ・オリオ・ペペロンチーノ作れるんじゃね? とか思ってしまう。


 ひと味変わっても、ベースの旨味はそのまま。


 麺をチャーシューをメンマをネギを堪能し、炒飯をかっ込む。


 細かいことは、もういい。


 後は、腹を満たすだけだ。


 気がつけば、炒飯は空になり、丼の中身も固形物は僅か。


 ならばと丼を持ち上げてグイッと残ったスープを飲み干し。


「ふぅ」


 水を一杯飲んでリフレッシュ。


「ごちそうさん」


 そのまま、会計を済ませて店を後にする。


 さっと出てきたのだから、さっと喰って出るのがいいだろう。


「さて、劇場へ向かうか」


 マルイ方面へと、足を向ける。



 


 

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