第251話 大阪市北区梅田の味噌ラーメン(野菜増しニンニク増し増しカツオ増し増しカラメ増し)
「今日でおしまいか……」
昨年で提供が終了したTOHOシネマズのフリーパス。
最後の最後に確保したのだが、それも、今日、終わりを迎える。
「ならば、使うしかあるまい」
豊中に出る用事があるので、梅田の劇場を目指す。
観たい映画の席が少ないので、早めに行って確保したのち、飯を食うのがいいだろう。
早々に劇場へ向かい、最後のフリーパスということで、スタッフと感慨深いやりとりなどもしつつ、
「どうにかなったか」
無事観たい映画の席を確保。最前列しか残っていなかったが、観れるならいい。
さて、そうすると。
「腹が、減ったな……」
という訳で飯だ。
ここは、駅前ビルを目指そう。
地下街に入ってホワイティを進み、阪神百貨店の前を抜けてディアモールへ。
そこから南下して北新地駅の手前で左に折れれば、駅前第三ビルである。
そうして、
「久々に、ここへ行くか」
西側の壁際にある店へと。
「入れるな」
席に空きはある。早速、入り口の券売機へ。
「ここは、味噌にするか」
塩と味噌が季節で入れ替わるシステムのようなので、冬の味噌を選ぶ。
一番奥の席に通されたので、食券を出し。
「ニンニク入れますか?」
「ニンニク増し増し、あと野菜は……」
そこで、少し腹具合と相談し。
「増しで。あと、カツオ増し増しカラメ増しで」
とコールを終えれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は花魁イベントだが、リリーはまだか! という感じで、それはそれとして粛々と想いを集めていると、時間が経つのは速い。
注文の品がやってきた。
「増しでもそれなりだなぁ」
水の入ったジョッキと同じぐらいの高さまで積みあがった野菜には、カツオがたっぷりかかっていてその上からカラメの醤油。寄り添い埋もれるように、二枚の豚。
増し増しのニンニクはスープに入れるスタイルなので、見えない。
「いただきます」
まずは、野菜。崩れやすいので地道に食べ進めねばならないが、カツオのお蔭でそのままでも十分いける。
ある程度崩してスープへの導線ができたところで、スープを一口。
「おお、ガッツリ味噌だ……」
ニンニクがしっかり効いた豚骨味噌は、力強く胃の腑を刺激する。
そのまま、今度は野菜をスープに浸して喰うのもいい。
だが、そろそろ。
「うん、やっぱり麺をいただかないとな」
ようやく姿を現した麺は、太くモチモチした食べ応えのあるもの。味噌スープとしっかり馴染んでいて、モリモリ食える。
「満たされていく……」
腹具合で増しで留めたが、これなら増し増し行けたんじゃないか? と思える心地だが、時には安全策を取ることも大切だ。
そこで、豚を齧る。甘辛い味付けと味噌の味わい。旨くないわけがない。
食欲に導かれるまま、麺を野菜を豚を齧り、一味とコショウで刺激をプラスして更に楽しみ。
やがて。
「終わり、か」
終わってみれば、増しでちょうどよかった。お腹はパンパンだ。
最後に、水を一杯飲み。
「ごちそうさん」
食器を付け台に上げて、店を出る。
「さて、少しぶらっとしてから劇場へ向かうか」
駅前ビルの地下を、第四ビル方面へと。
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