第246話 大阪市北区梅田のラーメンタイム+白ご飯

「もう駅前ビルは開いてるよな」


 年始。行こうと思ってたら駅前ビル自体が閉まっていたという……


 そんな今日。ちょうど、神戸に出る用事があった。北新地からJRに乗るなら、駅前ビルは使い勝手がよい。


 ならば、行こう。


 新年だ。行ったことのない店に突撃してみようじゃないか。


 かくして、東梅田から駅前第四ビル、第三ビルを通り抜け、第二ビルに入ってすぐ。


 目的の店はすぐに見つかった。


「お、すぐ入れそうだな」


 昼時には少し早めの時間だったのもあり、カウンターのみの小さな店舗には空席がある。


「さて、何を喰うか……って、『ラーメンタイム』?」


 食券機に大きくそう書かれたボタンがあった。どうも、曜日と時間限定で出しているワンコインサービスメニューのようだ。


「よし、これで行くか」


 初見だから基本で行こう。


 ただ。


「ついでに、これも」


 白ご飯も購入。やっぱりラーメンにはご飯が合う。


 店内に入り、食券を出せば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。


 現在は、五乙女とのこたつイベント(?)中。特に頑張る理由はないので、ロザリーステージをほどほどに回して楽しんでいるところだ。


 出てくるまでの時間が読めないので、一度だけ出撃しておでかけなどを仕込んでいると、注文の品がやってきた。


「塩、か」


 具材は、チャーシュー、メンマ、もやし、刻みネギと定番の組み合わせ。そして、麺を浸すスープは、黄色かかった透明なものだ。


 だが、そこには濁りがある。どうやら、背脂も入っているようだな。


「いただきます」


 まずは、スープを一口。


「お、これはこれは」


 塩で出汁の旨味を最大限引き出したという風情で、背脂が入っているにもかかわらず重くない。とても、呑みやすい味わいだ。


 続いて麺を引っ張り出せば、中太ちぢれ麺。しっかりと出汁と絡んで、食べ応えがある。いいぞ。


 メンマは柔目だが優しい味わいでもやしはシャキッと、チャーシューはタレの味が付いたモノだが、軽めの味わいのスープにはこれぐらいで丁度いいだろう。それらに絡んで来る刻みネギもまた、薬味としていい仕事をしている。


 それらを味わったところを、白米で追い駆ける。


 なんとも、心地良い追いかけっこだ。


 麺をチャーシューをメンマをもやしをネギを喰らい、米で追い駆ける。


 スープを口に含み、米と混ぜて味わう。


 満たされて行く。


 そう、満たされるのだ、腹が。


「結構なボリュームだな」


 気前よく盛られたご飯は、通常の茶碗二杯分はありそうだ。


 物理的に、満たされる。


 麺を喰らい、その味わいで米を喰らう。


 炭水化物×炭水化物の、受け攻め平等な背徳的快楽だ。


 ああ、満たされていく。


 麺と御飯を交互に味わい。


 気がつけば。


 米は空に。


 麺もチャーシューもメンマもネギも出汁も空に。


 空の容器が、二つ。


 目の前にあった。


 満たされた。


 満足だ。


 最後に、水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 店を後にする。


「さて、駅へ向かうか」


 神戸へ向かうべく、北新地駅へと。




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