第240話 大阪市中央区難波の魚担々麺+陳麻辣飯

「映画まで時間があるか……」


 呑んだ帰りのことである。


 レイトショーを観ようと思い立って難波にやってきたが。


「呑んだ後は、どうしてこんなにも麺が欲しくなるんだ?」


 ということで、エディオンの最上階にやってきていた。


「よし、ここにしよう」


 魚系を摘まみに呑んで来た後なので、魚系の気になっていた店があるのだ。


「流石にあいているな」


 かなり遅い時間だけに、すぐ入れそうだ。


 店頭の食券機を見るが、


「麺は基本として……陳麻辣飯もいっとくか」


 セットで購入し、


「もう一杯いくか」


 生ビールを更に追加して店内へと。


 適当な席について、食券を出しビールは食事と同じタイミングにしてもらう。


 あとは待つばかり、となれば『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』である。現在はスフレのターン。リリーの出番がないが、致し方あるまい。


 一度出撃してAPを消費したところで、注文の品がやってきた。


「なるほど、こういうのか」


 魚坦々麺、というが見た目は坦々麺だ。


 挽肉、もやし、ねぎ。それらの上にちょこんとなるナルトが趣があってよい。


 陳麻婆飯は、赤黒い陳麻婆豆腐がのったものだ。刻みネギの緑がアクセント。


「いただきます」


 スープをまずは行ってみる。


「ん? なんだか優しいが……坦々麺だな」


 魚介がそこまで主張していないので、あっさりめの坦々麺、という感じ。それでも、胡麻とラー油の辛味がしっかり感じられる。


 モヤシはシャキシャキ、挽肉はしっかりした味わいで食べ出がある。


 麺は太めでスープをしっかり持ち上げてくれる。魚介でさっぱり目だからか、するすると喰えるのがいい。


 生ビールをガブリとやってから、陳麻婆飯へ。


「ああ、なんか本格的な麻婆豆腐だ」


 語彙力。


 いや、なんというか、それで伝わる味ってないですかね?


 旨味が強いが結構後から来る辛さ、かも知れぬ。


 そうして食べ進めていると、卓上に良いモノがあるのに気づく。


「花椒か!」


 四川料理の麻味だ。これはいかねばならぬ。


 ゴリゴリと削って出すタイプなのが嬉しい。


 麺の上にパラパラと降りかけて、啜れば。


「本格的な味!」


 語彙力。


 更に、通常の山椒もあるので違いと楽しめるのもいとおかし。


 ビールをゴキュゴキュくきゅくきゅと挟みつつ、四川的な麺と米を味わう。


 背徳的だ。


 どうして、呑んだ後の炭水化物はこんなに旨いんだろうな?


 そんなことを考えながら、呑み喰いしていれば。


「もう、終わりか」


 麺もスープも米も姿を消していた。


 呑むと満腹中枢が少々馬鹿になるともいうが、その通りだ。


 全く勢いを失わず、最後まで来てしまった。


 いいだろう。


 こういう日も、ある。


 最後に水を一杯飲んで一息を入れ。


「ごちそうさん」


 店を後にした。


「さて、ゲームの世界にダイブするか」


 映画を観るべく、劇場を目指す。

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