第236話 大阪市中央区難波千日前の限定2
「うむ、外で喰うか」
本日の夕飯は何にしようか考えたが、食材は粗方処理した後。補充する気力もない。
というわけで、気がつくと私は難波に降り立っていた。
道具屋筋の一つ東側の筋を真っ直ぐ。
限定が今月で終わりのようなので、この機会にもう一度喰おうという算段である。
「一番乗り、か」
と思ったら、すぐに後ろに人が並んでいく。開店直前なので、タイミングが良かったということか。
ほどなく開店し、店の中に。
食券は、当然限定メニューを確保して一番奥のカウンター席へ。
「ニンニクどうしますか?」
「入れて下さい」
コールはないので素直に入れて欲しい意思表示のみをすれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。
現在は、『NieR:Automata』とのコラボのタワー攻略イベント。コラボ先は未プレイながら、重めのシナリオは楽しい。何より、タワー攻略イベントはスコアタと巡回の要素が旨く絡まっていてシューティングソシャゲとしてとてもいい。
後はおでかけを仕込んでサクッと一度出撃したものの、スコアが足らずタワーポイントも足らず。まぁ、いい。
後は、本日発売の週刊少年ジャンプを読んで過ごす。ハゼレナ、ただもんじゃないな……
というところで、注文の品がやってきた。
「ふむ」
丼に山盛りの麺の上にキャベツとモヤシ。更にカイワレ大根。そこに鰹節とにんにく。大きな豚肉。玉ねぎピクルスは別皿。
「いただきます」
レンゲと箸を手に、混ぜる。
そう、これは汁無し。この店のレギュラーメニューのタレ、醤油・塩・ポン酢を全てブレンドしたジャンクオブジャンクなタレのまぜそばだ。
ほどよく混ざったところで食せば。
「うん、こういうのでいいんだ、こういうので」
なんというか、ドリンクバーであれこれ混ぜたら意外に旨いものができあがった、そんな味わいだ。
野菜も麺も豚もごちゃ混ぜで口に放り込んで楽しむ。
とはいえ、
「でもまぁ、少し大人しい、か?」
味がまとまりがすぎていて、しばらく食べていると物足りなくなってきた。
「ではまずは」
一味をふりかけ、まぜずに掛かった部分を喰う。
「唐辛子プラス。いいぞ」
次に胡椒。
同じく、掛かった部分をまぜずに喰う。
「胡椒プラス……こういう感じか」
続いて。
「これ、魚粉か?」
振り掛けて、まぜずに喰う。
「ああ、やっぱり魚粉……というか、魚粉は結構存在感強いな」
最後に。
「タバスコだ」
軽く振り掛けて、まぜずにくえば、酸味が心地良い。
辛味? タバスコは酢の一種で酸味を足す調味料ですよね?
という訳で、薬味での味変の具合を確認したところで、再びそのまま喰い進める。
三分の一ぐらいになったところで。
「出番だ」
玉葱を放り込む。
酢の酸味と玉葱の辛味が加わる。
爽やかな味変になり、ラストスパートが捗る味わいだ。
そして、ここで検証結果を活かす。
「胡椒」
少々を振り掛け。
「タバスコ」
全体に回しがけ。
そうして、まぜあわせれば。
「うんうん、いいぞ。期待通り」
胡椒で全体を調えつつ、タバスコで唐辛子の風味と酸味をプラス。
中々新しい味わいだ。
思うさまにかっ込めば。
「もう終わり、か」
勢いがつきすぎたようだ。
気がつけば。
「空、じゃないか」
細かい玉葱やら麺の切れ端やらを追い駆けていたら、残ったタレも巻きこんで逝ってしまったようだ。
まぁ、いい。
水を一杯飲んで一息入れ。
食器を付け台に戻し。
「ごちそうさん」
店を後にする。
「さて、帰るか」
サクッと帰路へと着く。
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