第195話 神戸市東灘区住吉宮町のBセット
「流石は国民的アニメというべきか……」
今日は、映画館のサービスデイを利用して、朝から身体は子供頭脳は大人な感じの劇場アニメを鑑賞してきたのだが、それが最上級に近いエンタメになっていてとても心地良い満足感に包まれていた。細かいツッコミどころは気にしたら負けだ。ハリウッド的な大味でも楽しめればいいのである。
あと、江戸川乱歩の本名が当たり前に出てくるのはミステリマニアだけだよな、とか思わされたりもしたが、それは余談である。
ともあれ、存分に楽しんだ結果、
「腹が、減ったな……」
という訳で、昼から神戸に出ねばならなかったので、先に移動を済ませて店を探すことになったのだが、
「久々に、あそこへいこう」
迷うのも面倒なので、ちょくちょく行っている店を選択する。
JR神戸線住吉駅から南側に出て少し、国道二号線の海側にその店はあった。
「ま、一人なら入れるか」
待ちがあるように見えたが、家族連れがテーブルの空きを待っているようでカウンター席には余裕があった。
入れば、すぐに案内されて席へと。
「さて、どれにするかな?」
ランチメニューはお得なセットメニューがあれこれと。とはいえ餃子が苦手なので選択肢は狭まり。
「Bセットで」
と注文を通す。これは、基本のラーメンとおかわり自由のライスのセット。要するに、ラーメンライスである。
あとは待つばかり、なので『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動して軽くおでかけを仕込んだりしていると、注文の品がやってきた。
「うむ、優しい見た目だなぁ」
白菜とチャーシューの入った寄せ鍋のような見た目の麺である。
味わいも、
「白菜の旨味、優しい」
という感じである。和風の鍋物的なあっさり系のいいラーメンだ。だからこそ、
「ごはんにも抜群に合う」
味が濃いわけではないが、備え付けのお新香も併用しつつ、モリモリごはんが進むのだ。
とスープで満足していてはいけない。
中細麺をいただけば、しっかりとスープの旨味を纏って、これまた優しい味わい。白菜の滋味と共に頂くと味わい深い。
備え付けの煎りゴマを加えると、風味がでて尚善し。
そうこうする間に、半分ほどの麺と、一膳のごはんがなくなっていた。
「ごはんおかわりください」
自由なんだから、いかずばなるまい。
そして、麺の方に改めて向き合う。
基本の味で半分いけば、ここからは味変の時間である。
「まぁ、ニンニクだよね」
おろしにんにくを匙に軽く盛って入れれば、
「おおぅ、ガツンときていいねぇ」
優しいベースの味わいはそのままに、パンチを繰り出してくるところが楽しい味わいになってきた。
「さらに、ニラキムチ」
バサッと入れれば、軽くスープが赤く色づき、
「ピリッとしてよし」
厳しさがアクセントとなって活きてくる。
勿論、ごはんもモリモリ進むのである。
「ベースが優しいからこそ、この変化が楽しいんだよなぁ」
と存分にラーメンのポテンシャルを堪能する。あっさり目で味変アイテムが多彩だと、なんか色々できるのが嬉しいよね?
そんなことを考えながら、気がつけば麺もごはんも尽き、スープが残るばかり。
飲み干す前に。
「あ、そういやこういうのもあったか……」
壺に入った味噌ダレである。
根底の味が変わってくるので控えていたが、最後のスープで味わうのも一興か。
味噌ダレを匙に数杯放りこみ、混ぜる。
「うむ、これもまた味わい深い」
主張の強い味噌ダレがニンニクとニラと混ざり合い、最初とは全く違った趣をみせる。これもまた、旨い。
最後の最後まで変化を見せてくれた杯に敬意を表し、最後の一滴までスープを飲み干す。
水を一杯飲んで、一息を入れ。
「ごちそうさん」
勘定を済ませて店を出る。
「さて、いくか」
予定の場所へ向かうべく、駅方面へと歩む。
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