始まりから終わりまで一貫して重厚な世界観が守られている本作品。ストーリーをカラーで例えるならダークさの強い紺色。世界観のスケールも広く、絶え間なく繰り広げられる迫力のある戦闘シーンには胸の奥が幾度となく刺激された。
ひとつの組織に自らの全てを捧げて生きる男の生き様が忠実に描写されている。主役の男性の部下達が彼を心から慕う気持ちに共感し、胸が必ず熱くなるだろう。
後半に向け、物語は“裏切り”を纏いながら何度も方向を変えて転がっていく。揺れ動く登場人物達の感情と共にこのどんでん返しを体感した先に待ち受ける結末に、あなたは何を思うだろうか。
夜が明けてしまった先に待ち受ける苦しい現実を踏み潰してでも、組織に生きる者達が組織に生き続けてくれることを、わたしは願わずにはいられない。