5「Fate Is Sneering」

 今日は、暑い一日でした。

 太陽が、とても大きくて、落ちてきそうでした。

 今日の稽古は、いつもよりも厳しかったように思えました。叔父さんが使う技は、背後に回るのが多いので、その対策をしてみましたが、計算違いだったようです。もちろんこてんぱんにやられました。明日からは組み合わせを考え直したいと思います。あざがまた増えましたが、怪我は男の勲章だそうです。あまり増えても嬉しくありません。

 昼からランスローがやって来ました。泣いていたのがばれるとまたからかわれるので、我慢しました。多分、気がついていないと思います。ランスローのお母さんは、子供が産まれるので、彼はしばらくお母さんに会えないのだそうです。妹だったらいらないとランスローは言っていますが、きっとどちらでも嬉しいでしょう。もう少し、素直になればいいのにと、ランスローを見て思います。まだランスローは八歳なので、仕方がないかもしれません。僕には弟も、妹もいないのでランスローの気持ちはわかりませんが、お母さんを取られて悔しいのかもしれません。

 ランスローは器用なのでサッカーでは負けましたが、チェスではもちろん勝ちました。ランスローは直線的な攻撃が多すぎます。今度あったら教えてあげようかな。

 夕方からは、お兄ちゃんと稽古をしました。

 全然適いません。動きが読めませんでした。

 三つも離れているのだから当然だそうです。でも悔しいです。

 お兄ちゃんはあまり喋らなくて、本ばかりを読んでいます。

 僕は、読書は好きですが、あれはちょっと読みすぎかな、と思っています。特に、詩なんてよくわかりません。言葉遊びみたいです。でもお兄ちゃんの真似をして、いくつか覚えてみました。今度、皆の前で言ってみたいと思います。

 夕食は久しぶりに皆で食べました。

 でも、お父さんもお母さんも、あまり楽しそうではありませんでした。

 楽しく食べればいいのにと思います。

 お父さんが、明日、大事な話があると言いました。

 何? って聞いたけど、お父さんは答えてくれませんでした。お母さんは、顔を伏せていたように見えました。お兄ちゃんは、何も変わりませんでした。

 明日は、僕の十二歳の誕生日です。

 きっと、何か素敵なプレゼントをくれるのでしょう。

 今から楽しみです。

 明日の日記は、長くなりそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る