エッセイ「じぃちゃんのお榊」

@19643812

第1話

年金生活でお榊を買えないでいた!


エッセイ「じぃちゃんのお榊」

                         清水太郎

「仏壇の花が、すぐ枯れてしまうの」と洋子さんが、いいます。私の部屋にある、神棚のお榊も、葉が痛んで半月持たない。長房町にある、花屋へ行きたいが、お金がナイのです。「1000円あげるから、買って来れば?」サイフの中には、五円玉と一円玉が数枚です。木曜日は、いつものお店が休みなのです。シメタと出かけました!

「明日は、休みですよね」

「この間休んだので、明日はやっています」

「お榊を入れる器が、小さいのですぐ枯れて困るんです」

「一対でなく、半分ください」

一対で320円だから安いと思ったのですが、200円以上でした。

「まあいいか」と、思いながら車を走らせました。

洗面所で、古い榊を丁寧に水で洗い流し、買った榊の紙に包みます。新しいお榊は輪ゴムで、止めてある。型を整えるために、2箇所ピンクのビニール紐で結んである。小さなハサミで、切るのですが上手く出来ません。中国からの輸入品なので、多分誰かが止めたのだと思う。彼らはこの葉っぱが、何に使われるのかも知らないで、山で刈っているのだろう。国産のお榊は、値も高い上に、取り扱っている店も少ないようです。宮の前にある店も、「国産は、時々しか入りません」と店員が、言っていた。国産のお榊を一度だけ供えてみましたが、実が落ちて、神棚が汚れ嫌になり止めました。

朝に水を取り替えた儘で置くと、次の日にお榊を入れる器が臭います、寒い時期には無かった事なのです。夏には午後3時か、夕方に替えようと思いついたのです。デモ、ついつい忘れてしまい、風呂へ行く時になって「アッ、イケナイ」と慌てる。老人の付け焼き刃ですね、「神さま、許して下さいね」!

前の家には、玄関と裏の境目にお榊がありました。前に住んでいた人が、植えたのです。気にもしないで、そのままでした。玄関のお榊は、日当たりが悪いのか育たなかったです。境目のお榊は大きくなって、裏の家との目隠しになる位にまでなりました。

何故、彼処に「お榊」が有ったのか?今の私には解ります、多分神さまに「守られていた」からなのでしょう。

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