悪魔の契約

夢蒟蒻

悪魔の契約

「困ったな。どうしたものか。」


男は絶望した表情で深い溜め息をついた。すると、部屋の鏡から全身が真っ黒なおかしな格好をした男が現れた。


「なんだお前は。どこからきた。泥棒か。金ならないぞ。出ていけ。」


--まあ、そう言うな。俺は悪魔だ。人間よ、随分困っているようだな。どうだ、悪魔と契約をしないか。--


「悪魔が私に何をしてくれるというのだ。どうせ、悪い事だろう。私はそんな事はしないぞ。」


--どんな事でも協力してやるよ。悪魔は優秀だぞ。嫌いな奴を消してやろうか。好きな人を操ってやろうか。--


「悪い事はしないと言っただろう。そんな事はしない。だが、興味はある。悪魔よ、契約したら私はどうなるんだ。病気になるのか。それとも、死ぬのか。」


--いや、死ぬまでは何も変わらないさ。そのかわり死んだら悪魔の奴隷として働いて貰う。--


「なんだ、そんな事か。良いだろう。契約しよう。」


--オーケー。契約成立だ。では、人間よ。俺に何をしてほしい。--


「仕事が終わらなくて困っている。私の仕事を手伝ってくれ。」


--なんだ。人間の仕事なんて簡単だ。悪魔にかかれば一瞬だ。--


「いや、人間の仕事では無い。」--悪魔の仕事だ。人間のふりをして悪魔を騙し、悪魔と契約をしてほしい。そうだな、十人の悪魔と契約をしてくれ。契約内容はこれと同じで良いだろう。いいか、悪魔を呼ぶコツはな、絶望した表情と深い溜め息だ。--

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪魔の契約 夢蒟蒻 @yume-kon-nyaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ