侵入
遊んだ、久しぶりに遊びきった。映画見に行ってカラオケ行って、なんだか若返った気分である。いや、若いけどさ。気分的にね。そして時刻は只今夜中の11時である。楽しかった余韻にまだ浸かりながら家に向かう。今回もお泊まりの話は出たのだが、明日は間宮の件があるため辞退した。リクもハヅキも気にしていたが、まぁ、面倒くさい話にはなると思うが大丈夫だろう。考えてるとキリがないから止めておこう。今は夜道を歩いている訳だし、気持ちまで暗くなってきそうだしな。まぁ、家までもうすぐなんだけど…ん?あれ?嫌な予感がして家の前まで走る。おいおいおいおい!なんで俺の部屋の明かりがついているんだ?嫌な予感しかしない。庭の方を覗くと…やっぱり!何やってんだ、あいつは!頭を抱えてその場にしゃがみこみたい衝動を抑えてとにかく走る。
「ただいま!」
「遅い!あんた、どこにいっ」
「母さんごめん、説教は後にして!」
母親の怒りの声を無視して階段を駆け上がる。母親にバレてないようなのが救いだが、俺が命の危機に晒されている事は変わってない。明日って言ったのに…!
「遅いじゃない、どこ行ってたの?」
さらっと言いやがった、こいつ。あたかもここが自分の部屋であるかのようにさらっと言いやがった。とりあえず、スルーして椅子に座り頭を抱えて息を整える。
「ちょっと、何無視してんのよ?」
スルーして状況を整理する。うん、何でこんなことになっているのかを考えるんだけど、でも、でも…!
「そんなん俺に解るかーーーーーー!!!!!」
おっと、ついつい叫んでしまった。いや、お前もうわぁって顔してんじゃねぇよ、主犯だろうが、原因だろうが、お前が。
「何、叫んでんの?ヒクワー。」
もう、学校に居るときの欠片もない。人ってここまで変わるんだなぁ、とつくづく感心する。
「ねぇ、いつまで無視するわけ?いい加減にしないと叫ぶよ?悲鳴あげてお母様呼ぶよ?」
「わかった、わかったから、何だよ?」
さて、ここに誰がいるのかおおよそ予想がついたのではないだろうか。喋り方とか雰囲気が違い過ぎるから少し難しいかもしれないが…。もちろん、妹ではない。俺の妹はこんなんではなく、御淑やかで、可愛らしく、大和撫子のような女の子だ。
「ちょっと、何か失礼なこと考えてない!?」
鋭い上に面倒臭い。本当に学校とは正反対だ。誰のことかというと、間宮夏海のことである。そう、今俺の目の前に居る女だ。
「なんでいきなり来るんだよ…。明日に会うはずだったろ…。」
「いいでしょ、別に。テストも終わったんだし。しばらく学校もお休みなんだから。」
確かにテスト休みだけど、学校に通い続けるために勉強をしないと。
「あー、でさ、そのシンが受けてるテストあるじゃない?奨学金の。」
「あぁ、そうだな。」
だから、俺は今すぐにでも暗記物でもやりたいのだが。
「そのテスト、受けなくて済む…ってなったらどう?」
「は?」
いや、そんな方法があるわけがない。奨学金のためにはテストを受けるしかないのだから。だから、いつも勉強をするわけで。
「お父様の秘書兼執事の人、丸山さんって言うんだけど、独身だから跡取りいないのよ。」
いきなり何の話だ?
「で、私はお父様の跡を継ぐつもりなんだけど、丸山さんに跡取りがいないから私の秘書兼執事になる人が居ないのよ。」
「別に、そういうプロの人とか居るんだし探せばいいだろ?」
「は?あんた、何言ってるの?」
こっちのセリフだ、それは。
「間宮グループの秘書兼執事よ?そんな、募集なんてダメよ。誰が狙ってるかわかんないし、他の会社のスパイもあり得るんだから。間宮グループの秘書兼執事はね、1代に1人、そして、前任の見習いをした者がなれるのよ!」
なるほど、金持ちの世界は金持ちなりに大変だそうだ。
「で、なんで俺にそんな話をするんだよ?」
「え?だって、シンとかぴったりじゃん。」
は?
「だから、私の秘書兼執事、やんなさいよ。」
いやいやいやいや、おかしいだろ!!!
美少女 メイラ @459candy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。美少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます