第6章−[5]:勝負に勝てど己に勝てず

俺が対策を検討し終えた頃、彼女達もまた円陣を崩して此方に戻ってきた。

さぁて、どういう作戦で来るのかお手並み拝見といきましょうか!


「ニット。みんなで相談したのだが、やはりニットも付き合ってくれるか」


お〜っと、早速掌返しがきましたか。

先程までの動揺した様子は微塵もなく勇まし程に清々しい態度だ。

しかし、その程度は想定内だ。そんなことで驚きはしない。


「でも店員さんが睨んでますからね」

「それなら大丈夫だ。今、愛衣君が店員さんに説明しに行ってくれている」


俺が店員の方に視線を向けると愛澤が何やら店員さんに説明している姿が目に入る。

ほほ〜ん。なかなか手際がいいじゃないか。

店員まで味方に付けようとはかなり腹黒い作戦だが、別に今更一人や二人増えたところでどうってことはない。ついでに店員も返り討ちにしてやろう。


「新見君、店員さんには説明しましたので、もう入っても大丈夫です」


俺が心の中で店員までを床に這い蹲らせ勝ち名乗りを上げている姿を妄想していると愛澤が店員と話を終えて戻ってきた。

そして俺が店員の方を見ると、店員は此方を見ながら微笑んでいる。

おいおい。甘いぞ。すぐにその余裕の笑みを引き剥がしてやるからな。


「ああ、それじゃあ入るか」

「うんうん。楽しみだね〜♪」


ああ、お前達が悔し涙を流しながら床に這い蹲るのが楽しみだ。ふふふ。


と、先程までは余裕ぶっていたのだが………。


「ニットく〜ん。これどうかな?」


一瞬で俺の余裕は砕け散る! 無残に霧散に砕け散る!


今、俺の目の前にはフィッティングルームで水着に着替えた双葉先輩がいて。


グフッ!


こ、こいつはなんて水着を選ぶんだ。


俺はモテないことには確固たる自信があり、人間に性別など存在しないと断言できる程度には自分の男女平等主義に自信がある。

しかし、だ! 俺も生物である以上、そういう本能は備わっているのだ。

いや。モテないよ。期待なんてしてないよ。だからこそ俺は自分でごちょごちょとする訳だが、その際俺は自分の頭脳に頼っていてぇ………だな。

うん。まぁ、何が言いたいかというと。


それを超えちゃあいけんでしょ!


双葉先輩が試着している水着は白いフォルダーネックの水着で、しかもフロントまで結ぶタイプのものだ。

まぁ、それだけなら極く普通の水着なのだが、サイズが間違っている。

胸の大きさに比べて水着が異様に小さい。完全に両方の胸が引っ付いていて谷間どころの話じゃない。その上サイズが小さいものだから水着に覆われていない部分がより広い空間を求めて弾け出そうとしている。

それを着た状態で、前屈みの姿勢で上目遣いに此方を見上げてくるものだから、もう俺の心臓がバックバク!


舐めてたーーー! こいつの羞恥心を舐めてたわーーー。


しかーし、ここで負けるわけにはいかない!

落ち着けー! 落ち着けー! スーハー、スーハー、羊が一匹、羊が二匹………。


ふぅ。

うん、よし!


「双葉先輩、それサイズが小さいんじゃないですか? あと色も白よりピンクとか柄が入ってる方が良いと思いますよ」

「う〜ん。自信あったんだけどなぁ。そうかぁ。うん。他のも試着してみるね」


自信って何? 何の自信? そんな自信いらないから!

大体、俺の平常心を舐め過ぎですよ。

あっ、でも、その辺で諦めてくださいね。

それ以上過激化されると俺の脳内妄想が爆走して夜眠れなくなるから!


「ニット、私のも見てくれ」


俺が双葉先輩にアドバイスを終えると同時、隣のフィッティングルームから伊織先輩が声を掛けてきた。


うんうん。落ち着くわー。

伊織先輩が試着している水着は双葉先輩の攻撃的な水着とは異なって、なんとも伊織先輩らしい競泳用の水着だ。

これはこれで体の線がくっきりと出るのだが、その程度のことで俺の妄想は暴れない。


「ああ、いいんじゃないですか。伊織先輩に似合ってますよ」

「そ、そうか? ポッ! あ、ありがとう。そ、そうだ後ろも見てくれるか?」


そう言うと伊織先輩は180度ターンし俺に背中を向ける………。


グッフォ! ブフッ!

だぁ、ぁ、騙されたぁぁぁぁぁぁぁあああ!


一時でも心を許したのが間違いだった。高度1万メートルから地の底まで落とされた気分だ。

というのも、伊織先輩の背中には肌を隠しているものがない。

いや、ないことはないのだが、肩甲骨のところに遠慮がちに細い紐が横切っている以外は、頸から腰のくびれの少し下まで綺麗に肌が露出しているのだ。

しかもだ。背筋を覆う布がないということは、背中の両サイドで肩から腰まで伸びる水着のエッジは真っ直ぐにピンと張るわけで、そうなると必然的に腰のくびれの部分の水着は肌に触れることはなく、肌と水着の間に妄想を吸い尽くす暗黒のブラックホールという隙間が創り出されることになる。


うう、いかん!

俺の荒れ狂う妄想よ、我の命に従い静まるのだ!

決してそこに手を突っ込んではいけない! 顔を入れるなんて以ての外だ!


ああ、クソッ!

負けるな、俺! 人生を檻の中で過ごして良いのか?!

落ち着け! 落ち着くんだー!

生米生麦生卵ー! 生米生麦生卵ー! 隣の客はよく柿食う客だーーー!


って、俺、何してんの? 早口言葉じゃ治らねえし! 逆に脈拍上がってるし!


も、もう一度深呼吸だ!

スーハー、スーハー、スーハー………。

ふぅ。

よ、よし! 危なかった!


「それだと背中側が空いてるので水の抵抗が大きそうですね。もっと背中まで覆われている方が良いと思いますよ」

「そ、そうか。な、なら他のも試着してみるか」

「そうですね。その方が良いと思いますよ」


でないと誰かが顔を突っ込んじゃうから。ブラックホールに飲み込まれるから。

ブラックホールの吸引力って凄いんだからな! 吸い込まれても仕方ないんだからな!


ふぅ。しかし、なんとか平常心は保てたが、少々こいつらを侮っていたようだ。

世界一の男女平等主義者の妄想を刺激するとは俺を此処に誘い込んだのも伊達ではなかったということか。


「新見君、私のも見ていただけますか?」


俺がギリギリのところで踏ん張っていると続いて隣から愛澤が声を掛けてきた。


………


う〜ん。引くわー。

愛澤は何をトチ狂ったのか黒のマイクロビキニを着て自信に満ちたオーラを排出しながら俺の前に立っている。


恥じらいもなく堂々とマイクロビキニを着られてもなぁ。

それ、もう紐じゃん。殆ど隠してないじゃん。もう着なくていいじゃん。

さすがにここまでくると、引くわー。


『さあ見ないさい!ありがたく拝見なさい!』と言われると見たくなくのが世の常だよね。

しかも何気に凹凸が少ないし。刺激されるものが見当たらないし。


「いいんじゃね」

「えっ?」

「いやいや。だから、いいんじゃね」

「えっ? えっ? に、新見君は私がこんな格好で外を歩いても、へ、平気なんですか?」

「う〜ん。それ着るの俺じゃないしなぁ。………ていうか、そう思うなら他のにしろよ!」


ああ、ホント、俺を陥れるにしても、もう少し考えろ。

水着選びという大前提を忘れてるだろ。

見ろ! 店員さんが完全に引き攣ってるだろうが。お前も引き攣るなら売るなよ!


「に、ニット、私のは、どうでしょう?」


うん? 今度は琴美か?

俺が訝しい視線で愛澤を眺めていると、隣から俺を呼ぶ声がする。

今度はどんなトラップだ?


………


えーっと、あれ?


「ど、どうでしょう?」


う〜ん。


………


普通だ。どこをどう見ても普通だ。

琴美は花柄のチューブトップの水着を着て俯き加減に恥ずかしそうに佇んでいる。


「に、ニット、そ、そんなに見ないでください」

「あ、ああ。悪い」


って、いかん! いかん!

ついつい素で反応をしてしまった。

まぁ、前の三人が兇悪だっただけに仕方ないよな。


「良いんじゃないか。よく似合ってるし」

「そ、そうですか。ありがとうございます」


「「「ジーーーーーー」」」


「って、なんだよ?」

「新見君、こういうのが好みなんですか?」

「う〜ん。悪くないと思うぞ。琴美に似合ってるしな」

「「「ふ〜ん。そうなんだぁ」」」


何、何? その棒読み。俺、何か変なこと言った?

今までで一番まともだよね? 間違ってないよね? 新たな属性付与に繋がるようなことしてないよね?


「それより、みんな水着は決まったのか?」

「いえ。まだです」

「これからだ」

「うんうん。まだまだ時間はあるしね」

「わ、私もあと何着か試着してみます」


それから1時間以上に渡り延々と代わる代わりに時には兇悪な時にはドン引きな水着を試着する彼女達を観せ続けられた俺が心身共に疲弊し掛けた頃。

彼女達はというと。俺の属性付与に失敗して次なる作成を相談しているのか、俺から少し離れた位置でまたまた円陣を組んでいる。


って、水着のまま店内で円陣組むなよ! もの凄くシュールな絵になってるから!


「うぅ。やっぱり私達には魅力が足りないのだろうか?」

「わ、私は嬉しかったですが………」

「そうですね。何が足りないのでしょう?」

「う〜ん。そうかなぁ? ニット君、すっごく恥ずかしそうにしてたけどなぁ」

「えっ? 双葉、それは本当か?」

「うん。それに楽しそうだったしね」

「そ、そうか。それなら………。って、双葉。もしかしてお前………」

「え? あっ、いおりん、心配しなくても大丈夫だよ」

「………本当か?」

「「若松先輩、伊藤先輩、どうされたんですか?」」

「あ、いや。何でもない」

「「そうですか?」」

「うんうん。何でもないよぉ〜」

「双葉………」


それから暫くして作戦が決まったのか彼女達は円陣を解いて此方に帰ってきた。


「ニット、付き合ってもらって悪かったな」

「あ、いえ。別に大したことじゃないですから」


嘘ですけど。もう俺の脳内妄想は大爆発寸前のエク◯プロージョンですけど。


「みんな買いたい水着も決まったようだし、ニットは外で待っててくれるか?」


えっ? 今なんて言った?

ホント? ねえ、本当に開放してくれるの? 嘘じゃないよね?

よーっし! やったーーー!

うん、俺。よく頑張った!

間違いなくこの場は平常心で乗り切れた筈だ。

って、夜は乗り切れそうにないけど。夜も頑張りそうだけど。でもそれは別の話だ。


そして俺が店の外で待っていると、各自水着の入った手提げ袋を持って店から出てきた。


「ニット、待たせたな」

「いえ。そんなに待ってませんから大丈夫ですよ」

「それじゃあ、この辺で少し休憩するか」

「そうですね。それなら任せてください」

「ああ、そうだな。琴美君頼めるか」

「はい。任せてください」


えっ? 休憩って何? もう6時前だぞ?

解放されたんじゃないのか? まだ次の試練が用意されてるのか?

俺には早く帰らなきゃならない用があるんだ。エ◯スプロージョンな夜が待ってるんだぞ?


「では、ニットも行きますよ。付いてきてください」


そう言うと琴美は俺の意見など聞く気もない様子で歩き出し、それに従い他のメンバーも琴美に並んで歩き出した。

うぅ。やっぱり何時の世も序列最下位の扱いってこういうものだよね。

まぁ、今日の夜は長くなりそうだからいいけど。


◇◇◇


「琴美。休憩って此処か?」

「はい。そうです!」


俺達は琴美に連れられてショッピングモールを後にし、駅を挟んで反対側にある商店街を抜けた所に佇む一軒の店の前に辿り着いた。


「すまん。此処で休憩するなら俺は帰るわ」


俺達の前に佇む一軒の店とは、レトロ調ではあるがヨーロピアン風のお洒落な喫茶店だ。

店の前には小さな花を咲かせた植木鉢がウッドデッキに綺麗に飾られている。


「何を言ってるのですか!?」

「いや。俺にはこんな店で優雅に休む余力はないからな。それに、ほら見ろ。『準備中』って札も掛かってるじゃないか。それじゃあ悪いが………」


カラン、コローン!


琴美に有無を言わせぬ素振りで俺が踵を返し駐輪場の方に向かおうとした時、店の中から一人の幼女が顔を覗かせた。


「あっ! お兄ちゃんだ〜♪」


その幼女はそう言うと躊躇いなく俺の所まで走ってきて俺の前で楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねている。


あれ? 琴音、お前がどうして此処にいるんだ?

俺が不思議に思ってもう一度店の方に視線を向けると『ハープの音色』という店の名前が目に入った。

ハープ? 音色?


「此処は私の家です」


ああ、そういうことか。なるほど。

しかし、この名前のセンスはちょっとどうかと思うぞ。

それだったら普通に『琴の音色』で良かったんじゃないかな?


「なので、お金は要りません。自分の家に招いておいて、お金を取る人はいませんからね」

「いや。まぁ、そうだけど………」


俺の前では相変わらず琴音が必死に飛び跳ねている。


「では、中に入らせてもらおうか」

「そうですね。店の前で長話もどうかと思いますしね」

「そうだねぇ」


ピョンピョンピョン!


ああ、分かったよ。分かりましたよ。そんなに必死な顔をするな。

仕方ない。今回は琴音の我儘に付き合ってやるか。

俺は屈んで琴音を抱き上げると、琴音をそのまま俺の肩の上に乗せた。


「わ〜い。わ〜い♪」


何時の間にか此処が琴音の定位置に決まってしまったようだ。

俺は椅子代わりかよ?(泣)


「「「おじゃまし〜す」」」

「あ、双葉ちゃん、伊織ちゃん、愛衣ちゃん、いらっしゃい」


やはりというか、予想通りというか、こいつらは琴美の母親と面識があるようだ。


「すみません。お邪魔します」

「あら? あなたがニット君? 今日は琴音がお世話になってごめんなさいね」

「いえ。気にしないでください。それより準備中のところお邪魔してすみません」

「うふっ。そんなこと気にしなくていいのよ。準備中なのはお父さんが逃げちゃっただけだから。でも、気になってすぐ戻ってくわよ」


えっ? 逃げたって、どうして? お母さんと喧嘩でもしたのか?

そんなに怖そうなお母さんじゃなさそうだけど。

ハキハキはしていそうだが、綺麗で優しそうなお母さんに見える。

あっ、でも、琴美のお母さんだからな。見た目と異なり毒持ちなのかもしれない。


「やあ、新見君、久しぶりだね」


俺がそんなことを考えていると、カウンターに座っていた男性が声を掛けてきた。


「あっ、この前はお力になれず、すみませんでした」


声を掛けてきた人は先日伊織先輩に頼まれて助っ人に行った野球チームの監督さんだ。

そう言えば、監督さんは商店街の会長をしてると言っていたな。

此処からだと伊織先輩の家も近いし、今し方通ってきた商店街の会長さんなのだろうか?


「いやいや。私の方も助かったよ」

「そう言って頂けると助かります」


あの時の罪悪感は未だに俺の中に燻っているので、正直、こうやって話せただけでも救われる。


「そう言えば、琴美ちゃん、今日も小学生のコスかい?」

「だ、誰が小学生ですか! 私は高校生だ! おい、こら! お前! 喧嘩を売ってるなら表に出ろ!」

「あ、いや、いや、そうじゃなくて………。はは」

「琴美。お客さんに対して失礼ですよ」


う〜ん。久し振りに琴美の毒舌を聞いた気がする。

しかし、お母さんの言う通り、お客さんに暴言はどうかと思うぞ。

まぁ、会長さんの『小学生コス』っていうのもどうかと思うけど、そこは客と店の立場上、グッと我慢するところじゃないか?


「そ、それじゃあ私はこの辺で失礼しようかな」

「会長さん、すみません」

「いやいや。私が悪いんだから。可愛くてついつい琴美ちゃんが気にしてることを言った所為だからね。琴美ちゃん、悪かったね」

「ふん! 分かれば良いのです!」

「琴絵(ことえ)さん。それじゃあまた来させてもらうね」

「すみませんでした。それじゃあ、またお越しください」


あ〜あ。ほ〜ら見ろ。帰っちゃたじゃないか。

まぁ、琴美の所為だけでもないけどな。

しかし、俺も帰りてー。琴美の奴、俺にも暴言を吐いてくれないかな?


「じゃあ、みんなあそこの奥の席に座ってくれる」


お母さんが指差した席は入り口から一番離れた奥角のテーブルだ。

そのテーブルは六人掛けで、他のテーブルより広くなっている。

そしてよく見ると、テーブルの上には『Reserve』という札が置かれている。


うん? あれ? Reserve?

ということは、俺達が此処に来るのは決まっていたのか?

って、なるほど。そういうことか。

こいつらは水着勝負で負けた時のことまで考えて、ここまで用意周到に準備していたのだ。

それにしても、こいつらのボッチ強化計画に底はないのか? どこまで深いんだよ?!


「みんなここから好きなの選んでね」


お母さんはそう言うと、席に着いた俺達の前に水の入ったガラスコップとメニュー表を置いてくれる。


えっ? 俺達、お客さんじゃないですけど? メニュー表はいらないですけど?

おーっと、そうか。

これはロシアンたこ焼きとかそう言った特殊なメニューだけが載ったメニュー表に違いない。しかもアタリは絶対に俺が引くように仕組まれた特殊品と考えるのが妥当だろう。

これなら無料(ただ)なのも頷ける。


「あのね。チョコレートパフェがおいしんだよ♪」


俺の肩から膝の上に移動した琴音が俺の顔を覗き込むように見上げながら勧めてくる。

うん。どうも琴音の中で『俺=椅子』というポジションが確立してしまっているようだ。

さすがに琴平家の血が流れているだけのことはある(泣)


「とうもころしのお菓子も入ってるんだよ♪」


えっ? 闘姥(とうも)殺し? なんだ、その物騒な食べ物は?

いきなり本命登場か?!

っていうか、それ、毒とかじゃないよね?


「琴音。それはトウモロコシでしょ」


あ、ああ。トウモロコシね。

俺はてっきり超強え老婆を殺すための毒菓子かと思ったわ。


「うん。とうもころし〜♪」


いや。だから、殺さないから。

確かにトウモロコシは硬いけど、それで殴っちゃ駄目だから。


そして俺達が琴音の言葉に苦笑しながらも和んでいると。


カラーン、コローン!


「兄貴、空いてますよ」

「ああ? 流行ってないのか? 変なもの食わされないだろうな?」

「確かに、そうですね」

「おい。誰か早く席に案内しろよ!」


何やら柄の悪そうな高校生ぐらいの四人組が店に入ってきた。

それにしても入って来るなりマナーの欠けらもない奴等だ。

こういう客が来ると一気に店の雰囲気が悪くなる。今は店には俺達しかいないけど。

あれ? でも、確か扉には『準備中』という札が掛かってた筈だが。見えなかったのか?

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