第4章−[6]:どこかでボタンを掛け違う

俺は今、自転車を走らせ目的の場所まで到着すると、そこにある駐輪場に自転車を止めている最中だ。

今回は先日の伊織先輩宅にお邪魔した時のような寄り道はせず、真っ直ぐに目的地たる此処市民グランドまでやってきた。

今日は社会人野球の助っ人ということもあり、他の人達を待たす訳にもいかず、素直に強制召喚に応じて此処まで来たのである。まぁ、強制召喚と言っても此処までの道程は自力だけどね。


それにしても駐輪場は思った以上にガラガラだな。

この市民グランドが不便な場所にあるというのもあるのだろうが、殆どの人は車で此処まで来るようだ。その所為か駐車場の方はそれなりに混み合っている。


俺が駐輪場に自転車を止め市民グランドの入り口に向かうと、そこへ示し合わせたかのように巡回バスが入ってくる。

先程も言ったが、この市民グランドは街中から少し離れた不便な場所にある所為で駅から徒歩で来るのは難しい。

しかし、市民全員が車を持っているかというとそうでもないので、そういった人のためにこうやって市内の要所を巡るバスが走っているだ。

とはいえ、このバスも無料ではないので超ビンボーな俺はバスを利用せず自転車で此処まで来たという次第である。


その巡回バスは俺から少し離れたところにある停留所に停車すると、そこから数人の人影が降りてきた。


『???』


そのバスから降りてきた一人には見覚えがある。というか見覚えしかない。

それは三つ編みおさげで厚縁眼鏡をかけた女性で手にはバスケットらしき籠を提げている。

これは間違いなく地味子だろう。

しかし愛澤は何故、地味子の格好をしているんだ?休日は地味子の格好が規定値なのか?


そして彼女の周りには3人程人がいて、彼女と何やら話をしているように見える。

一人はすらっと伸びた手足で一見女性のように見えなくもないが、背丈も170cm近くあるし髪も短くベースボールキャップを冠っているところを考えると男性だろうか?

それと小学生の男の子が一人。ボーイッシュな服装で同じくベースボールキャップを冠っているので、此方は見間違いようがない。

そして最後の一人は………、

………、

うん。バカだ!あれは間違いなくバカだ!あんなバカはこの世に一人しかいない。


俺はそのバカを見て彼等が誰なのかを確信すると同時にその4人の方に向かって歩いていく。


「おはようございます」

「あっ、ニート君、はっふぉー」

「おっ、ニート、今日は申し訳ないな」

「ニート、はっふぉーなのです」

「新見君、おはようございます」


俺は取り敢えずバカな奴には突っ込まずに先ずは挨拶をした。

できれば本当はこのままスルーしたいのだが………、無理だよな。


「えーっと、皆さん、その格好は何ですか?」

「うん?変装だよ」

「えーっと、何故に変装を?」

「えっ?だってニート君と生徒会室以外で話す時は変装しないとダメでしょ?」


あぁ、なるほど。俺に気遣って変装してくれているのか。

それはそれでありがたい。が………、


「双葉先輩、双葉先輩?」

「うん?ニート君、どうしたの?」

「えーっとですね。変装してもらえるのはありがたいんですが………、そのぉ、この場合の変装の目的って理解してます?」

「えっ?変装の目的?双葉が双葉だって分からないのようにすることだよね?」

「ええ、まぁ、確かにそれは達成してますね。でも、でもですよ……」

「??? でも、どうしたの?」


双葉先輩は俺が何を言いたいのかが理解できないようで、キョトンとしながら首を傾げている。

う〜ん。それを着けて不思議そうにキョトンとされても可愛気もクソもない。


「えーっと、何故にどうして道頓堀のくいだ◯れ太郎に擬態してるんですか?」


そうなのだ。双葉先輩は何をトチ狂ったのか、どこぞの宴会芸で使うような鼻と髭が付いたメガネを何の躊躇いもなく堂々と着けているのである。

今時、変装のためにこのグッズを選ぶ奴など見たことがない。

というか何故それに至ったのかすら理解不能の領域だ。

大体、それを売っているところを見たことないし!ホント、何処で手に入れたんだ?


「えへへ。これだと双葉って分からないでしょ!ニパッ!」

「『ニパッ!』じゃねえ!お前はバカか!周りを見ろ!周りを!」

「えっ?いつもと同じだよ?」

「いつもと同じじゃねえよ!どう見ても周りの人が笑ってるだろうが!お前に羞恥心はないのか?!」

「ええ〜?双葉渾身の変装なのに〜」

「渾身じゃねえ!それに全身全霊を傾けるな!………って、はぁ、それだと逆に目立ち過ぎるのでお願いですから外してください」

「ええ〜?気に入ってたんだけどなぁ。………、それじゃあ仕方ないなぁ」


そう言うと双葉先輩は手に持っていたポシェットからベースボールキャップと厚縁のアラ◯ちゃん眼鏡を取り出し渋々といった感じでそれに着け替えた。


『………』


えーっと、それが副案?

それを持ってるのにどうして鼻ひげメガネを先に選んだの?

ねえ、選択順序間違ってるよね?

ああ、本当にこいつの思考回路はどうなってるんだ?誰か此奴に教えてやってくれ!


「やはりニートはさすがだな。私達もバスの中で散々言ったんだが、聞いてくれなくて困っていたんだよ」

「ええ、そうですね。さすが新見君です」

「悔しいですが、ここは素直に褒めておきましょう」


えっ?それだと俺が双葉先輩を手懐けるみたいだぞ?

それって何気に双葉先輩の面倒を俺に押し付けてません?

って、そんなの無理です!嫌です!お断りします!

お願いですから俺を病院送りにしないでっ!みんなで一緒に病院行こうよ!


◇◇◇


無事という訳ではないが、なんとか双葉先輩の逆目立ち変装を阻止した俺達は4人揃って試合の行われるグランドへと向かった。

しかし、なんとも先が思いやられる出だしに涙が出てきそうだ。


「あっ、会長さん、お待たせしました」

「やあ、伊織君、今日は申し訳ないね」

「いえいえ、父が急遽出られず申し訳ありません」

「それで、彼が今日の助っ人かね?」

「あっ、はい。彼が助っ人の新見君です」

「そうか、今日は宜しく頼むね」

「は、はい」


会長さんと呼ばれた人はそう言うと、俺に右手を差し出してくる。

どうも握手を求めているのだろう。

先日の伊織先輩のお父様との握手が鮮明に焼き付いている俺は握手を一瞬躊躇ったのだが、握手しないのも失礼かと素直に思い直し、会長さんの手を握り返す。

うん。この会長さんは悪い人ではないようだ。普通の力で握手してきたし。


「此方の方は私の町内会の会長さんで、野球チームの監督もされている田島さんだ」

「あっ、伊藤先輩と一緒に生徒会をさせてもらっている新見です。お力になれるか分かりませんが、今日は宜しくお願いします」

「いやいや、君みたいな若い子が助っ人に来てくれて大いに助かるよ。なにせうちのチームは年齢層が高いもんでね」

「は、はぁ」


そして、一通り監督の会長さんに挨拶をすませると、会長さんは野球チームのメンバーにも俺を紹介してくれた。


紹介された野球チームのメンバーの人達を見ると、一番若そうな人で30歳前半といったところだろうか?それ以外の人はおそらく30歳後半から40歳前半に見える。

なるほど。野球をやるには確かに年齢層は高いのかもしれない。

でも、最近の寿命や働き盛りと言われる年齢を考えると別段おかしくもない。これはこれで歳を取ってからも楽しみがあるように思えてくるのでいい感じだ。


「それで会長さん、新見君のポジションは?」


伊織先輩が会長さんに俺のポジションを聞いてくれる。

まぁ、先日、野球を知らなくてもできるポジションを頼んでおいたと言っていたので、外野辺りが妥当なところだろう。


「ああ、そうだね。新見君にはピッチャーをお願いしたいんだよ」


えっ?今、なんて言いました?俺は思わず絶句していまう。

ピッチャーって飲み物を入れる容器のピッチャーじゃなくて、アニメで言うところの主役で魔球を投げるピッチャーですよね?

いやいやいやいや!それは絶対、無理・無茶・無謀です!

会長さん、お歳の所為でボケました?ねえ、ボケてますよね?俺にツッコミ求めてます?!ああ、それなら俺も得意ですから!

大体、チームの要で花形たるピッチャーを野球を知らない俺に任せるのは、此処にいる生徒会女子メンバーに飲食店のウィエイトレスを頼むぐらい危険なことですからね。


「えーっと、ピッチャーはさすがに難しい気が………」

「ふむ。そうだな。確かにピッチャーは難しい気がするな。会長さん、他のポジションはないんでしょうか?」

「新見君、伊織君、すまないね。みんなともいろいろと考えたんだが、ピッチャーが一番無難だろうということに落ち着いたんだよ」

「それは何か理由でも?」

「うん。実はね。君のお父さん以外はピッチャーができる程球速が早くないんだ。精々が90キロでるかどうかなんだよ。それに、新見君の服装も考えるとね………」


会長さんは俺の方を向くと、上から下に視線を動かして俺のことを何やら確認するように眺めている。


あっ、会長さん、そっち方面のご趣味ですか?

俺は健全な男子高校生なのでそっち方面はちょっと………、

あれ?でも男女平等主義者としては性別は関係ないのか?

う〜ん。それもありなの?ありなのか?

って、ちがーーーう!!おぉ、あっぶねーー!新宿二丁目に脳内トリップしちゃったよ。


「俺の服装ですか?」

「ああ、君の服装は体操服だろ。見た目に助っ人と分かるからね」

「なるほど。そう言うことですか」


伊織先輩はその会長さんの説明で何やら得心がいったようだ。

こういう察しの良いところは伊織先輩の持ち味でもある。まぁ、時々それが仇となって早とちりに繋がっているようだが。


「??? どういうことですか?」

「簡単に言うと、ピッチャーの球が遅いとバッターは打ち易いと同時に狙い撃ちもし易くなるんだよ。それに加えてその服装だと相手チームには君が素人に見えるからね。するとどうなると思う?」

「ああ、俺のところを狙い撃ちですか」

「うむ。そう言うことだな」

「それにうちのチームは他に誰もピッチャーの経験がなくてね。誰が投げても速い球は投げられないから、その点も気にする必要はないからね」


う〜む。確かに理論的には成立している。してはいるのだが………、

いや、むしろ理路整然とし過ぎているぐらいだ。それが返って少し気味が悪い。


とはいえ、まぁ、俺としても狙い撃ちにされて俺のところにボールが集まるのは避けたい気もある。

飛んで来た球を全て無難に処理してしまうと俺の計画に綻びが生じる恐れがあるし、かといってわざとミスをするのも匙加減が難しいのと何より気分が良くない。

だったら手を抜くのは良いかって話だが、そこはほれ、ミスではないしそもそもそこまでしか出来ない子ということで許してもえるかなと。ごめんなさい!


「はぁ、まぁ、そう言うことであれば………」

「よし!では決まりだな」

「新見君、宜しく頼むよ」

「は、はい」


しかし、引き受けはしたが俺はピッチャーなんてした経験がない。って、野球自体経験ないので当たり前だが。

でもまぁそれでも俺も男の子なので何も考えずに単に投げるだけならできるかもしれないが、ピッチャーともなれば色々考えることが増えてくる。

走者がいる時の投げ方とかも違ったような気がするし、それに先ずは、どれくらいの速さで投げたら良いかと言ったところも思案のしどころだ。


『バンッ!』


俺がそんなことを悩んでいると、相手チームのベンチの方からボールを投げる音が聞こえてくる。

どうも相手チームのピッチャーが投球練習をし始めたようだ。


「うむ。相手のピッチャーも速くはないな」


俺の隣にいた伊織先輩も相手ピッチャーの投球練習に気付いたのか、それを見てそんな一言を口にする。


えっ、そうなの?

相手ピッチャーの球って速くないの?でもそれって遅くもないって意味だよね?

速くもなく遅くもないということは平均的ってこと?

ねえ、ホント?俺騙されてないよね?


どうも伊織先輩の誕生日パーティーの型練習という練習試合が記憶に残っているのか、ついつい疑って掛かる風習がついてしまっているが、よくよく考えると伊織先輩が俺を騙す必要などどこにもない。

俺はもう一度、相手ピッチャーの投球練習を眺めてみる。

確かに俺の眼から見ても速くは感じないし、あれなら打ち頃な気もするな。

うむ。ここは無闇矢鱈に投げて下手に速かったなんてことになるより、相手ピッチャーをお手本にする方が無難だろう。

よし!一先ず球速については決定だ。


「新見君、彼が君の球を受けるキャッチャーの田村君だ」


俺が相手チームのピッチャーを眺めていると、そこに会長さんが田村さんと言われる人を連れてきた。

躰つきはボールを体で受け止めるぞと言わんばかりにどっしりとしていて、見た目も優しそうな顔付きをしている。投げる側からしたら頼りになりそうな如何にもキャッチャーといった感じの人だ。


「あっ、新見です。宜しくお願いします」

「うん。それじゃあ、早速だけどこっちも練習し始めようか」

「あ、はい。でも………」

「これは父の使っているグラブだ。これを使ってくれ」


俺が自分の左手を見てグラブがないことに躊躇していると、それを予想していたかのように伊織先輩がどこから出してきたのか、お父様が使っているというグラブを俺に差し出してきてくれる。

伊織先輩のこういったところは素直に嬉しい。

あれ?でも、ピッチャーのグラブって他のグラブと違うって聞いたことがあるけど?


「あっ、すみません。ありがとうございます」

「いやいや、気にするな。頼んだのはこっちだからな」

「よし!それじゃあ始めるか」


しかし、始めると言っても俺はズブの素人だ。

俺はピッチャーだけではなく野球経験すらないことを田村さんに伝え、投球練習の前に先ずは一通り簡単なルールのレクチャーから教えてもらうことにする。

本来なら練習試合の会場でレクチャーを受けるなど以ての外なのだろうが、友達のいない俺としては如何ともし難い。そんな俺を気遣ってか田村さんは嫌な顔一つせず、俺にレクチャーしてくれた。

うん。田村さんは予想通りの良い人だ。


そして、一通りレクチャーを終えると田村さんは俺から離れていき、一定の距離を取るとそこに屈み込んでミットを広げて構えると、俺の方に向けて声を掛けてくる。


「それじゃあ、先ずはそこからこのミット目掛けて投げてみて」

「はい。それじゃあ、いきます」


いよいよ投球連取の開始だ。

俺は先程田村さんから教えてもらった注意事項と相手ピッチャーの投球フォームと球速をイメージしながら、それをトレースするように田村さんの構えるミット目掛けてボールを投げた。


『パンッ!』


「うん。いい感じだよ」


「………」


田村さんはいい感じと褒めてくれたのだが、投げた俺としては釈然としていない。

何故かと言うと、ボールの軌道が相手ピッチャーの球筋と異なるからだ。

俺はもう一度、相手ピッチャーの投球練習を眺めてみる。

同じようなフォームで同じスピードで投げたつもりなのに、俺の球はキャッチャー手前で失速したかのように弧を描いて落ちるのに対し、相手ピッチャーの球は真っ直ぐミットに収まっている。それに伴いキャッチャーミットに収まった時の音も違う。


何かがおかしい?


さて、ここで重要なのが俺の計画はあくまで平均的な子を演出することであって、出来ない子を目指している訳ではないということである。

そうなのだ。相手ピッチャーの球が平均的だと言うのなら、今の俺の球は平均以下の出来ない子の球になっているということに他ならない。これでは俺の計画に反してしまう。


俺がそんなことを考え相手ピッチャーを見ながら佇んでいると、それを見た田村さんが俺に近付いてきた。


「新見君、どうしたの?」

「あっ、いえ、相手チームのピッチャーと球筋が違うなと思いまして」

「………、ああ、そう言うことか」

「???」

「新見君、さっき投げた時みたいにボールを握ってみてくれる」

「は、はぁ」


俺は田村さんに言われた通りにボールを握ってみせる。

自分としては特段おかしな握り方はしていない筈だが………


「なるほど。これは球の握り方も教えた方が良さそうだね」

「???」

「詳しい話は飛ばすけど、先ずは………」


それから田村さんは俺にボールの握り方を教えてくれた。

どうもストレートを投げる際のボールの握り方には2種類あるらしい。本当はもっとあるのだろうが田村さんが教えてくれたのは2種類だ。

一つ目はボールの縫い目の窪んだ部分に指を掛ける方法と、もう一つは一つ目のボールの向きから90度ボールを横に向けて縫い目に指を掛ける方法だ。前者をツーシーム、後者をフォーシームと言うのだそうだ。

この握り方でボールに回転を掛けて投げてやると前者と後者で球筋が異なるみたいだ。


そして俺と田村さんは百聞は一見に如かずとばかりに早速教えてもらった握り方を実践してみることにした。

先ずはフォーシームから。


『バンッ!』


「うんうん。新見君、いい感じだよ!」

「ありがとうございます」


相手ピッチャーの球筋に比べると多少弧を描いている感はあるが、それでも真っ直ぐ飛ぶようになっている。

そして続いてツーシーム。


『パンッ!』


「うんうん。こっちもいい感じだよ!」

「ありがとうございます」


こちらはフォーシームと違い描かれる弧が大きい。どちらかと言うとフォーシームは失速せずに飛んでいって、ツーシームはキャッチャー手前で失速しているといった方が正しい感じがする。

なるほど。小さなボールといえど侮るなかれだな。まぁ、俺が知っても使い道はないけど。


その後も俺と田村さんは暫くツーシームとフォーシームを確かめるように投球練習を行う。

すると、何球か練習したところで田村さんは徐ろに立ち上がり、再度俺の方に向かって小走りで向かってきた。


「??? 何か問題でもありましたか?」

「いや。そうじゃないよ。むしろツーシームとフォーシームが試合でも結構使えそうだからね。サインでも決めておこうかと思ったんだよ」

「えっ?サインですか?」

「うん。あっ、でも新見君はあまり気にする必要はないよ。そうだなぁ………、俺がキャッチャーミットを構えた時に指を1本出したらフォーシーム、2本だったらツーシームを投げてくれればOKだから」

「は、はぁ」


要は試合でも田村さんの指示通りに投げれば良いってことのようだが………。


「よし。それじゃあ、サインの確認も含めてもう何球か練習しておこうか」

「は、はぁ」


それから俺と田村さんはサインとボールの握り方を確かめるため再度何球かの投球練習を行った。


う〜ん。それにしても何かが違うように思うのは気の所為だろうか?

野球経験がない俺がピッチャーをしているのもそうだが、そこにサインまで加わってくると何故か俺の計画が崩れている気がしてならない。

かといって、会長さんがピッチャーを頼んできた理由も最もな内容だし、相手ピッチャーの球が平均的だとするとサインがあっても不思議ではないのだが………。

そもそもどこかでボタンの掛け違いをしているのだろうか?


ああ、こういう時にボッチの情報源の無さを痛感してしまう。

それに昨日頼まれた所為もあって本屋に立ち読みしにいけなたったのも痛い。

まぁ、友達がいれば今までにも野球をしていただろうし、俺が『闇に紛れて生きる大作戦』を遂行する必要もないんだけどな。


そして俺が釈然としない気持ちを抱えている中、無情にも試合開始の合図が告げられる。

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