第2章−[6]:何故かまさかの生徒会
俺は今、先生に連れられて渡り廊下を歩いている。
部室棟に向かう渡り廊下だ。どこかの部にでもつれていかれるのだろうか?
しかし。俺が見落としているというのは、何なのだ?
さっぱり分からない。
夏川先生の案に乗るとは言ったが、分からないのは不安で仕方がない。経験すれば分かることなのか?
俺がそんなことを考えながら後ろを付いて行くと、先生はある部屋の前で立ち止まった。
どうもここが目的の場所らしい。
「新見、少しここで待っていろ」
そんなことを言うと、先生はその部屋の中に入っていった。
『あっ、夏川先生、お疲れ様です』
『夏川先生が来られるとは、今日はどうされたんですか?』
『おいおい、私はこれでも生徒指導の担当だからな。そんなに邪気にしないでくれ。今日はここに人を連れてきたんだよ。少し会ってやってくれ』
『はい。それは構いませんが』
『うむ。助かる』
中からそんな会話が聞こえてくる。
『新見、入ってきて良いぞ』
中からそんな声が聞こえたので、俺も中に入る。
すると………、そこには見たことのある顔触れが並んでいた。
まぁ、1人だけ知らない女生徒もいるが、他の3人は忘れるにも忘れられない顔だ。
覚えたくなくても、この3人は無理やり強引に人の記憶領域に居座りやがったからな。
あとの知らない顔の女生徒は、黒髪のサラッっとしたストレートロングで、身長は平均よりも少し高いぐらいだろうか。美女然とした容姿と共に、その眼差しは透き通った感じさえする。色に例えるならクリアブルーといった感じか。
「おっ!新見君じゃないか。昼休みは悪かったな」
「あっ、お米君だ!」
「だーかーらー!その呼び方はやめろ!俺は米好きじゃねえ!」
「え〜、お米嫌いなの?お米食べないの?日本人なのに?」
「米は食う!でもその言い方だと、日本人全員がお米君になっちゃうだろ!」
「あっ、そうかぁ…。そうだね。じゃあ、他のを考えるね…」
こいつは本当に分かってるのだろうか?またとんでもない呼称で呼ばれたりしないだろうな?
「はぁ、分かってもらえて助かります。ただ、普通に名前で呼んでもらえればいいですから」
「毎回毎回、最初の言葉が暴言とは、こいつは本当に学習能力が皆無ですね。アホですか?あっ、失礼。疑問系ではなかったですね。アホでした」
「いやいや。それははお前だ!超合金のブーメラン投げんじゃねえ!」
「何ですか?とうとう目まで腐って見えなくなりましたか?私はブーメランなんて持ってませんよ。見て分からないんですか?可哀想に」
あれ?琴美の奴、ブーメランの意味が分かってないのか?まぁ、知らないことは悪いことではないが、他で恥を掻くのは可哀想だ。ここは教えといてやろう。
「ブーメランていうのは、自分が言った言葉が、そのまま自分に返ってくることを言うんだよ。まぁ、『自分のことは棚に上げて』の現代語みたいなものだ」
俺が説明を終えた途端、琴美は顔を真っ赤にして、下を向きながらプルプル震えだした。
どうも本当にブーメランの意味が分かってなかったようだ。
そして、少しの間下を向いていたが、琴美はバッと顔を上げ、
「そんなことは分かってましたとも!ええ、分かってましたよ!あなたを揶揄っただけです。それを鬼の首を取ったみたいに大袈裟なやつですね」
琴美は相当の負けず嫌いのようだ。まぁ、これ以上は可哀想なので許してやろう。って、俺は親切に教えただけなのなのだが。
「それは、悪かったな。今度からは後でこっそり教えてやるよ」
「分かっていたと言ってるでしょう!何ですか?バカにしてるんですか?いいでしょう!その喧嘩買ってやろうじゃないですか!」
あっ!こいつ、照れ隠しに喧嘩吹っ掛けてきやがった。
「おいおい!待て待て!」
「………」
「………」
「………」
「って、少しは学習しろよ。だから、俺の胸倉に掴まって懸垂してんじゃねえ!」
はぁ、困った奴だ。しかも喧嘩売ってきたのに下向いてやがる。
う〜ん。どうしたもか?俺は女性の扱いには慣れてないからな。そろそろ誰か助けてくれても良いんじゃないか?
そう思って、双葉先輩と伊織先輩の方を見ると、2人ともオロオロと冷や汗を流しながら、もう1人の女生徒の方を見ている。
えっ?何かあるのか?
そう思って、俺が2人の見ている方に視線を向けようとしたら、
「琴美ちゃん」
左後方から氷のように澄み切った、それでいて切り裂くようなトーンの声が、容赦なく一突きで即死させるがの如く響いてきた。
「「「「………」」」」
怖い!尋常じゃないぐらい怖いんですが!
俺はその声と同時に、後ろを振り向けなくなっていた。
「………、え〜っと、琴美さんや?何やら呼ばれてるようですが………?」
「………、え〜っと、お米さんや。できればもう少し右を向いてもらえると嬉しいんですが…」
って、俺を盾に隠れるな!俺が危ないだろ!
「琴美ちゃん、そろそろおいたは止めた方が良いと思うけど、どうかしら?」
どうも、この女生徒は品格を重んじるタイプのようだ。喧嘩など以ての外なのだろう。
かなりお怒りのご様子で、このままでは、俺まで巻き添えを食らってしまう。
琴美、離れろ!今すぐ離れろ!
俺が、琴美の頭を掴んで引き剥がそうとするが………、琴美の奴が離れねえ。
こいつ、かなりのバカ力で握ってやがる。バカ!服が破れるだろう。また、服に継接ぎができるだろが。母ちゃんに怒られるだろうが!
それにしても、こいつ尋常じゃないぐらい怯えてるな。そんなにこの女生徒は怖いのか?そういう俺も冷や汗が止まらないけど。
その時、
「なんだ、みんなは新見のことを知っていたのか。それは話が早い。生徒会メンバーが足りてないと言っていたから、彼を連れてきたんだよ。今日から使ってやってくれ」
救いの声が聞こえた。女神様が降りてきたようだ。
って、待て待て待て待て!
今、『今日から使ってやってくれ』って言わなかったか?
それって、俺が生徒会に入るってことだよな?
確かに夏川先生の案には乗ると言ったが、これがそうなのか?
いやいやいやいや。確かにこいつらと一緒ならリア充に見えるかもだが、何かが間違ってないか?
昨日、教室へ双葉先輩が襲撃してきた時のことを考えると、リア充どころか、アイドルと一緒にいる単なるボッチなんじゃないのか?ギャップがあり過ぎだろ!これは目立ち過ぎだ。攻撃し放題じゃないか。平原のど真ん中に仁王立ちするゴブリンだよ。
いかん!少しパニックになってきた。少し冷静に考えよう。
………、
そうだ!夏川先生は、俺が大きな見落としをしていると言ってたし、他にも何かあるのかもしれん。うん。きっと、そうだろう。
ここは夏川先生の続きの言葉を待ってみよう。
「それじゃあ、私はこの辺で失礼するよ。新見、何事も経験だ。頑張れよ」
そう言うと、先生は生徒会室を出ていった。
えっ?終わり?他に何もないの?頑張れってどういうこと?
ひょっとして俺に経験して自己学習しろってこと?ねえ、それまで生きていられる?
ああ、なんだよ!訳が分からん。
俺の考えでは、生徒会は目立つから断る方が良いという結論に至ったはずだ。晩飯を我慢してでも物理部の方が良いと思ったのだ。
でも、夏川先生は俺を生徒会に連れてきた。ということは、俺が見落としているものがここにあるのか?それはなんだ?
俺は、生徒会室を見渡した。そこには、置引き犯に早とちり狂暴痴女と毒舌ロリに、先程、場を凍り付かせた氷の女王がいるだけだ。
って、まともな奴いなんですけどーーーーーー!
どう考えても、リア充ライフは想像できないんですけどーーーーーーーー!
俺は、慌てて夏川先生を追い掛けた。
◇◇◇
「夏川先生、ちょっと待ってください」
俺は夏川先生が渡り廊下を歩いているところで追いついた。
「うん?どうした?」
「いえ。夏川先生の案には乗ると言いましたが、あれはあまりに目立ち過ぎですよ」
「うん?そうか?しかし、それだけ周りから見たインパクトも大きいだろう。君がリア充だと認識させるには良いと思うが?」
「いやいやいやいや。これはあまりにもギャップがあり過ぎでしょ」
「私は、そうは思わんがなぁ。まぁ、仮にそうだとしても、生徒会のメンバーを攻撃する奴はいないと思うがな」
先生が言ったように、もしかしたら周りはリア充と思う奴もいるかもしれない。仮に思わなかったとしても、彼女達の近くにいる俺を攻撃することは難しいだろう。
しかし………、それは俺が何かの努力をしての結果という訳ではない。
単に彼女達の力を利用するだけだ。虎の威を借る狐というやつだ。
「でも、それって、彼女達を利用するってことじゃないんですか?」
「うむ。新見、生徒会に入ることは悪いことではない。むしろ褒められたことだと思うが、違うか?」
「しかし、利用するのが目的であれば話は違うんじゃないですか?」
「う〜む。そうだな。入ることは悪いことではないが、目的は褒められたものではないということだな。ならば、目的を変えれば良いんじゃないのか?」
「目的を変えるって、それは自分を誤魔化すってことですか?」
「そんなに固く考えるな。それにだ、君が本当に彼女達と一緒に生徒会をしたいと思えるようになったら、それは誤魔化しているのとは違うだろ?」
「確かにそうかもしれませんが、俺がそう思える保証はないですよ」
「そうかもしれんな。ただ、初めて会った者同士が、すぐにお互いを分かり合えることの方が珍しいからな。これは時間を掛けて積み上げるものだ。君に積み上げる気があれば、今はそれで十分だと思うがな?それとも君は利用するだけのつもりか?」
「いや。利用するだけのつもりはありませんが………、でも、今は手を抜くことをやめる気にもなれませんから……」
そうなのだ。案には従うとは言ったが、理解できるまで手を抜くことを止めるつもりもない。
「ああ、確かに、先程もそんなことを言っていたな。しかし、それは全ての人間に対して同等ではないだろう?彼女達には誠実に向き合えば良いんじゃないか?まぁ、いきなりは無理にしても、徐々に積み上がっていく中でも良いだろうしな」
まぁ、お互い理解し合えれば、隠す必要もなくなるだろう。しかしだ……、
「………、もし仮にそうだとしても、俺が生徒会に入ることによって、彼女達に迷惑を掛けることになるかもしれませんよね?」
「ああ、迷惑を掛けるかもしれんな。しかし、それを許容するかは彼女達の判断だ。君の判断じゃない。君が彼女達のことを考えることは重要だが、彼女達の判断を決めつけて奪っていい訳ではないだろ?」
「でも、俺が生徒会に入らなければそもそも迷惑を掛けることはないし、それに結果的に迷惑を掛けただけで終わるかもしれないじゃないですか」
「うむ。君はどこまでも愚直だな。では聞くが、君は迷惑が掛かるかもしれいだけで、全ての人を頭から無条件に跳ね除けるのかね?」
「いいえ。そんなことをする訳ないじゃないですか。でも、それは俺のことであって、彼女達がどう思うかは別ですよね」
「そうか?ではもう一つ聞こう。君が『いいえ』と答えたのは何故だ?そして君は彼女達が君より狭量だと思っているのかね?もし、そうだとしたら、君は君を蔑む人間と何が違うのかね?」
「えっ、それは………」
「………」
「………」
「………」
ダメだ!適切な回答が思い付かない。
俺が彼女達より優れていると思うなど傲慢だ。決してそんな風に思っていた訳ではないが、それでも少し自分に嫌気が刺してくる。これこそブーメランだ。
「新見、今はそれが正しいのかどうか分からないかもしれないが、誰しも経験したことがないことは分からないものだ。なら頑張って経験すれば良い。そして学べ」
「俺には『頑張る』という選択肢すら与えられていませんよ。それに、経験したからといって、分かるものでもないでしょう?」
「ああ、人のことや将来のことなんて誰にも分かりはしないからな。でも、考えらる選択肢は増える。そもそも『頑張る』選択肢がなかったり、経験しても足りなければ、誰かに相談しろ。私で良ければいつでも相談相手になってやる」
「先生に相談したら解決するんですか?なんか、神様みたいですね」
先生に八つ当たりしても仕方ないのに、少し最低だ。
「あはは。私は神様ではないよ。私もおおいに間違う。でも、先生が生徒の相談に乗るのは当たり前だからな。それに、君達なら大丈夫だ」
「何が大丈夫なんですか?」
「あははは。君と彼女達の様子を見ていたが、彼女達も君のことを歓迎してくれてるように思えたぞ。君も満更ではないんじゃないか?」
「はぁ………」
確かに満更でもない。双葉先輩と伊織先輩に限っては俺が超ビンボーであることを説明した。それでも彼女達は俺に接する態度を変えなかった。正直、これは嬉しい。
まぁ、毒舌ロリと氷の女王はまだ知らないだろうから、分からないが…。
「それでは、私は職員室に戻らせてもらうよ。また、いつでも声を掛けてくれ」
そう言うと、夏川先生は職員室へ帰って行った。
俺は何とも言えないモヤモヤした感じで、夏川先生の後ろ姿を見送り、暫くその場で立ち尽くしていたのだが………、
ここでウダウダ考えていても仕方がない。俺も生徒会室へ戻ることにしよう。
◇◇◇
俺が生徒会室に戻ると、伊織先輩が心配そうに声を掛けてきた。
「新見君、大丈夫か?急に慌てた顔をして飛び出して行ったが」
「あっ、ああ、大丈夫です。夏川先生に少し用事があっただけですから」
そう言うと、安心したように「そうか。それなら良かった」と呟いた。
俺が、先程まで夏川先生と話していた内容を考えると申し訳なくなってくる。
「それじゃあ、これからよろしく頼む」
伊織先輩が柔かに明るく声を掛けてくる。
この笑顔に少し癒された気がする。チョロい気もするが。
そうだな!取り敢えず少しずつからでも初めて行こう。
よし!気持ちを切り替えるぞ。
「あっ、はい。よろしくお願いします」
「うむ!…とは言っても、まぁ、中には知らない者も居るだろうし、まずは自己紹介でもするか。新見君から頼めるか?」
えっ?自己紹介は、普通自分達からするもんじゃないのか?早速、ボケられた?
まぁ、新参者なので、先にやらせてもらいますけどね。
「俺は1年C組『新見(にいみ) 一斗(かずと)』です。えーっと………、まぁ、至って普通の高校生です。よろしくお願いします」
って、紹介するネタがない!?趣味も特技も、ついでにお金もない!
自己紹介って、超ビンボーボッチにはなんて残酷な仕打ちなんだよ。
うぅ、早速の自己紹介で地味に心が折れてしまった(泣)
「うむ。それじゃあ、次は私がしよう。私は2年B組『伊藤(いとう) 伊織(いおり)』だ。ここでは副会長をやっている。これからよろしく頼む」
「はい。よろしくお願いします」
「よし。次は双葉だな」
「私はいおりんと一緒の2年B組『若松(わかまつ) 双葉(ふたば)』、一応、生徒会長をやってます。ニート君、よろしくね」
「って、ちょっと待てーーーー!誰がニートだ!それ、おかしいだろ!俺がニートの代名詞になってるだろ!…って、はぁ…、ニートってなんなんですかっ?」
「『にいみ かずと』を縮めてニートだよ」
「双葉先輩。新見君は王子様です!」
「???」
今、王子様と言ってきたのは、先程、場を凍らせた氷の女王だ。
「あっ、あいあい、そうだね。ニート君はお米の王子様だもんね。じゃあ、ニート王子だね」
「こらーーーーー!ニートと王子を引っ付けるな!ニート国のプリンスって代名詞より悪いだろ!」
「うむうむ。ニート王子はいいネーミングですね。こいつにはピッタリです。でも少し言い難いですね」
琴美は、黙ってろ!それにしても、みんなして俺をディスりやがる。なんで俺は虐められてるんだ?夏川先生、俺はやっぱり歓迎されてないんじゃないか?
「あはは。では、次は琴美君だな」
『あはは』じゃねーよ!って、話を流すんじゃねえ!ニートの回避が終わってないだろ。
はぁ、俺はなんでここに居るんだよ?!頭が痛くなってきた。
俺のさっきまでの気持ちを返してくれ。
「そうですね。仕方がないですね。では名乗ってやりましょう!」
あっ、流しやがった。
「私は『琴平(ことひら) 琴美(ことみ)』、会計をしてます。さっきも言いいましたが、ニートと同じクラスです」
「ああ、もう知ってる。よろしくな」
クソッ!ニートを定着させる気だ。でも、これ以上絡むと俺のアイデンティティが崩壊しそうなので、今日はスルーしてやろう。
「じゃあ、最後は愛衣君だな」
こいつが、先程、場を凍らせた氷の女王で、更に、王子を付けてディスってきた根源だ。
「私は1年A組『愛沢(あいざわ) 愛衣(あい)』です。ここでは書記をしています。新見君、お久しぶりです。また、よろしくお願いします」
「えっ?お久しぶり?……」
しかも『また』ってなんだ?ボッチの俺にこんな美人の知り合いはいないぞ?
「えーっと……、どちら様でしたでしょうか?」
「知り合いを忘れるとは、とことん薄情な奴ですね」
そこ黙ってろ!ちょこちょこ琴美が毒を吐きやがる。さっき壁になってやった恩を忘れてやがるな。今度、倍返ししてやる。
「えっ?新見君、私が分かりませんか……?そうですかぁ………」
氷の女王は、少し寂しげな感じを出している。
俺もさすがに気が引ける。ここは素直に謝るべきだろう。
「え〜っと。すみません」
「いえ。大丈夫です。それも新見君らしいですし」
氷の女王は、寂しげながらも柔かに微笑んでいる。あれ?俺、今、ディスられた?
「なんだ愛衣君は、ニート君と知り合いだったのか?」
「はい。新見君とは中学の時にずーっと一緒でした。まぁ、新見君は分からないようですが…」
えっ?ずーっと一緒?俺は知らんぞ。というか、こいつ誰かと勘違いしてないか?
まぁ、それはさておき、今、伊織先輩にもサラッと『ニート君』と言われた気がするのは気の所為か?
「ふむ。でも、まぁ、これからは仲間だ。すぐに思い出すさ」
そうかなぁ?さすがにこれだけの美人がずーっと一緒にいたら忘れないと思うけどなぁ。俺は内心勘違いだろうということで納得することにした。
「では、ニート君、これからよろしく頼む」
うん!気の所為じゃなかった。はっきり『ニート君』て言われたわ。これ定着してるわ(泣)夏川先生、やっぱりリア充は遠いです!
「うんうん。あっ、それじゃあ、明日からのお弁当交換会は、この生徒会室でできるね」
「ああ、双葉、そうだな。外は雨が降ると困るし、ここなら落ち着いて食べられるからな」
「では、明日からお昼休みはここに集合ですね。ニートは逃げないように私が監視します。任せてください」
あれ?やっぱり琴美も来るのか?というか、もう逃げねえよ。双葉先輩の弁当もおかずが多いしな。テヘッ
「あの、双葉先輩?お弁当交換会って何ですか?」
「「「「………」」」」
氷の女王の一言で、キーーーーンと再び場が凍り付いたような気がする……。
えっ?どうしたの?また地雷踏んだの?なんだこれ?寒い!怖い!目が座ってるよ!
「え、え〜っと………、そ、それじゃあ……、今日はこの辺でお開きに…しようか。それじゃあ、お疲れ様!」
暫しの沈黙の後、伊織先輩の掛け声を合図に、氷の女王を除く全員が一斉に急いで鞄を担ぐと、蜘蛛の巣が散るように生徒会室を後にした。伊織先輩、ナイスです!
「双葉せんぱーーーい!どういうことですかーーーー?」
去り際にこんな声が聞こえたが、無視しておこう。
こんな感じで俺の波乱な生徒会生活は幕を開けた。
でも俺は生徒会でやっていけるのか?このメンバーを見ると別の意味で不安になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます