#4 そしてじらいをふむ
ほんと、今回は安請け合いだった。
警察署を出ると、僕は小さく溜め息をついた。日本の警察組織は優秀なのだけれど、ことレネゲイドに関しては情報源としてアテにはできない。まぁ、最重要機密として伏せられている「
あるいは、"以前レネゲイド事件に関わったことがある"という情報。あるいは、"煉獄を意味するコードネームを名乗る、無所属のイレギュラー"……。"R担"はいくらか情報を掴んでいたとはいえ、正直なところすぐに役に立ちそうな話はない。
――そうこうしているうちにすっかり日は落ちかけているようで。一見平和に見えるビル群が、暗がりに眠る悪意を招き入れるように赤く赤く、血のような夕日の化粧に身を染める。胎内で膨らむ感情に愉悦の笑顔を浮かべる雑居ビル達が、ただ不吉だった。……苔でも、第六感はあるんだな、なんて以前"イージス"が笑っていたのを思い出す。
『よお兄弟、調子はどうだい』
聞き覚えのある電子音声が、不意に感傷的な気分を終わらせた。なんて間がいいことだろう。僕の心を読んだと思しきタイミングだ。音の出所は、上着のポケットの中。手を突っ込んで、取り出した携帯電話の画面では犬のドット絵が走り回っている。
「番号知ってるんだからハッキングじゃなくて掛けてくればいいのに」
『まあそういうなって。
けたけたと、電子的な笑い声。肉体の大部分を機械にしているせいで話し相手がいないと自称している"イージス"は、きっと寂しいのだろう。こんな用事ですらおしゃべり感覚なんだから。僕は、くすっと笑ってみせた。
「それで、ご用事は?」
『"アレ"についての情報だ』
電話越しに、彼の唇がにやりと歪むのが見えた気がした。多分、僕の周りの状況に気を遣ってくれたのだろう。小さく息を吐いて、ほんの少しだけ"ワーディング"を展開しながら、裏路地へ。
『……そろそろいいか?』
「あ、どうぞどうぞ」
『うし。"パーガトリ―"について調べてるみたいだな。"R担"から支部に連絡がきた』
「さすが。そういうとこ早いよね」
『優秀だよな。それで、こちらの情報だが"パーガトリ―"はお前らみたいなレネゲイドビーイングを作る力があるらしい』
思わず、立ち止まる。その言葉は、僕の関心を「その言葉だけ」に集中させるのに十分だった。
「ああ、納得。それで今回も、ってこと」
『だからまぁ、用心に越したことはない。創れるってことは――同じ――――簡単に』
「…………"イージス"?」
――そう、周囲の環境に気を配るなんて余裕がなかったんだ。だから、"イージス"の通信が遮断された時点で気づくべきだったんだ。自分が、既に敵の術中にあるってことに。
「こんばんは。お散歩ですかァ?」
背後で、芝居がかった声がした。僕は、ただ振り返ることしかできなかった。
あーあ、ほんと今回は安請け合いだった。
―――――――――以下、
→情報収集フェイズ1
ティルクーニア「情報:UGNで"パーガトリ―"について調べる」
前回同様、ダイスを五個振って一番大きい数字を参照する感じのダイス。
今回もツイッターのアンケートを利用して達成値を出した。
5dx@10+2→9
……まあ、一般的な数値といえる結果だった。
情報1(目標値5):"パーガトリ―"は組織に所属していない存在。「"サルノデ"というレネゲイドビーイングが主犯となって引き起こした殺傷事件」に関与したとされている。"パーガトリ―"は煉獄を意味する言葉。
情報2(目標値7):レネゲイドビーイングを発生させることができるようだ。目的をもってレネゲイドビーイングを創り出し、取捨選択を行っている。
次回 → 情報収集フェイズ 3・・・の前に、
1、"パーガトリ―"について調べた。
2、その時点で"コトリバコ"についての情報収集を行っていない
の二点の条件を満たしたため、次回は
特定条件を満たすと発生するイベントで、重要なキャラクターとの接触や、時には戦闘を挟むこともあるものが"トリガーシーン"です。
次回シーン → 「空虚な空腹の空想空間」(トリガーシーン)
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