第2話 人物設定②

ブレス・きぬ・シープ・・・女。二十二歳。烏羽色の髪にミントグリーンの瞳。胸のラインのワンレンベースで毛先はレザーカットされ、前髪は多めにとめられた背の中辺りまでの髪型に白磁の肌に二重の大きな艶気を帯びた瞳。なめらかな輪郭の目鼻立ちに紅桜色の唇、曲線美を描くスタイルに長い脚、美麗な容貌。儚く朧気な雰囲気を放ちながら、纏う存在感は底なし沼のようにドロドロとした異質なもの。雰囲気と存在感がまるで噛み合わない稀有な人間。

【花奴隷】の一人であり、依り代の花は紫陽花、身代わりの花は向日葵。財閥の当主で、既に両親は他界している為にクリフトやテオ、その他の信頼出来る人間の手を借りて継いだものを守っている。当主としての才覚は余りある程で、財閥の当主としての振る舞いも洗練されたもの。身体が弱く、いつも寝台の上で作業をすることが日課。もって後二年、心臓が動けば良い、と宣告されている。幼少期に自分の運命を知らされ、【帚木】の存在も伝えられ、どちら側について行くか、を自身で選択し、両親に頼み、エルローズの両親と密かに連絡を取り合っていた。クリフトとテオをとても可愛がっている。



テオ・縁者えんじゃ・トラーク・・・女。十七歳。チョコレートブラウンの髪に涅色の瞳。雪練絹のように水々しさを含んだ細かい肌にシュリンプピンクの唇。ツヤ感を残しながら動きのあるスタイルにするため、全体にスライド、ボリューム、毛先に軽くカールのついたパーマをかけたショートの髪型に潤いを持った睫毛に配置の良い顔形。西洋人形のような美しさを宿した容貌だが、ほとんど表情筋が動かないのではないのか、というほどの無表情。しかし、持ち合わせた雰囲気と存在感が他者を無視出来ないようにしている。ショックなことがあっても表情が動かないので冷静沈着なイメージを周囲から持たれている。笑うと春の陽だまりのような温かさを感じるほどのギャップがある。髪質のせいで髪を結べず、ピンも止められないので、よく帽子を愛用している。

【花奴隷】の一人であり、依り代の花はマツムシソウ、身代わりの花はダリア。無愛想な態度を常にしているが、本当の優しさを持つ人間。天涯孤独の身であったところをブレスの亡き両親に引き取られる。幼い頃に自分の運命を知り、どちら側の【帚木】について行くかを自身で選択する。右腕は表皮を付けた義手であり、左腕は赤黒い痣の為に手の甲まで包帯で隠している。左腕もいずれは義手になるだろう、と宣告されている。ブレスを慕い、クリフトを弟のように想っている。



バイス・ざん・ジャクリーン・・・男。十五歳。オールドローズの髪に漆黒の瞳。ゆるやかに波打つ柔らかな髪質に引き締まった体躯で腰が細い。すっきりとした繊細な目鼻立ちに赫い唇。ペッチャンコにならない様、根元をドライにした長髪の髪型。容貌とは裏腹に屈託のない笑顔ばかり終始浮かべているが、遊び人のような雰囲気が勝る。

【十二の神聖な花】に選ばれた【魔法勇者】の一人。ランの花を加護する。女性全般が大好きで、男は女を守る者、という考え方を持っている。それに当て嵌まらない人種のエルローズに恋をする。エルローズからは、「バカ勇者」と呼ばれている。



ハタカ・永戸ながと・リリス・・・男。三十二歳。紫黒色の髪にフクシャパープル色の瞳。全体に動きが出るように、ランダムに長短をつけ、束感が出るようにカットされ、直毛の動きが出るようにゆるめにピンパーマをかけたメンズの髪型に、なめしたしなやかな革のような、無駄な肉をそぎ落とした逞しい体格。他者を惚れ惚れさせるような容貌に甘い笑顔を終始浮かべている。少し悪戯っぽい光を宿した美しい瞳にアーモンド形の眦。特に服装に気遣いをしていないが、ズ抜けて飄々とした雰囲気と存在感が良くも悪くも目立つ原因。

【花奴隷】の一人であり、依り代の花はオシロイバナ、身代わりの花は蓮。現在生きている【花奴隷】では最年長になる人物。旧家の資産家の跡取りであり、ベルクザータの現後見人。後方支援型の花の身代わりであるが、自分が四十代までは生きられないことを悟っている。ベルクザータを弟のように想い、一緒に暮らしている【花奴隷】達を家族と公言する。子ども好き。



ベルクザータ・心酔しんすい・リトゥール・・・サブ主人公。男。二十四歳。濡烏色の所々に桜色のメッシュを施した髪に薄茶の瞳。好感度大な無造作ショートヘアで、毛先にピンパーマをかけて、より自然な動きと毛束感を出しているメンズの髪型に個々を見ても完璧とも言えるパーツが、これまた完璧とも言える絶妙なバランスで配置されている顔形。凄味と危険を孕んで濃縮したような美貌。筋肉がしっかりとついており、完璧に八頭身のモデル体形ばりの無駄のない体躯。年齢よりも年上に見られることが多く、黒と桜という変わった色合いの髪は不思議と魅力を更に掻きたてている。皮肉な笑い方が板についており、存在感と雰囲気は他者とは遥かに違い、周囲に纏う空気さえも敏感に肌に感じ取れるほど。

【扶桑】と呼ばれる伝説上の存在。正式名称【帚木】の【神秘】を象徴と加護している。

神聖な花に選ばれた勇者と聖女、その依り代となる花奴隷を加護している花の匂いで見分けることが出来る。過去に存在した【神秘】の【帚木】とは全く異なる考え方をし、人間的な何かが大きく欠落している。趣味はピアノ。一緒に暮らしている【花奴隷】達を家族同然に思っているが、本心までは明かさない。亡き両親は二人共【花奴隷】であり、両親の記憶は、亡くなった瞬間しかあまり思い出せない。己の対である存在を殺すことに躊躇いと覚えてもいなかったが、エルローズと出会い、執着するようになっていく。【帚木】の対同士がと共に生きれる光明を見出し、実行しようとしている。何事にも秀でた「超天才型」で秘密主義者。唯一、ルイにだけは心からの信頼を寄せている。愛称は「ベル」。



ルイ・・・雄。?歳(年齢を途中から面倒臭くて数えることを止めた)。大鷲ほどの大きさのある鳥の姿をしている。全身真っ青で瞳の色は夕暮れ色。

歴代の【帚木】の【神秘】に仕える神獣。歴代の【神秘】とは違い、人間的な欠落の大きいベルクザータを心配し、必要な知識を授け、ずっと傍に居た。ベルクザータにとって、育ての親同然な存在。叶わない願いを口にはしないが、対の【帚木】同士が存在し合わない運命に心を痛めていた。同時に、ベルクザータが初めて強過ぎる執着を見せたエルローズのことを心配している。理路整然とした性格。いつもはベルクザータの身に付けている指輪の中に住んでいる。



ミラ・立夏りっか・ロミオ・・・女。七歳。パールグレー色の髪に黄枯茶色(きがらちゃいろ)の瞳。跳ねる癖毛の目立つボブショ―トカットの髪にプニプニした薄桃色の頬に、大きな丸い瞳。笑っていても、泣いていても、何をしていても究極に可愛いという雰囲気と容貌。いつも人形のように可愛らしい服を身につけている。

【花奴隷】の一人であり、依り代の花はガマズミ、身代わりの花はフヨウ。現在生きている【花奴隷】の中では最年少になる人物。大人びた言動をすることが好き。ベルクザータをとても尊敬し、信頼している。度々貧血などを起こす。歳の近いルミナと仲がとても良い。



ルミナ・あずさ・レモーネ・・・女。十一歳。黒髪にテツグロ色の瞳。小さな形の良い唇に細い顎に髪質は小さな風にさえなびくほどサラサラで、少しきつそうな眦の目を伏せると、どこまでも顔の美しさが際立つ。シャドウをいれているわけでもないのに瞼と睫毛の陰影がハッキリしている。いつも派手な色柄ではないカ―デを身に纏い、常に可愛らしいヘアピンを髪につけている。

【花奴隷】の一人であり、依り代の花はイラクサ、身代わりの花は百合。歳の近いミラと仲がとても良く、ミラの面倒を率先して見ている。癲癇の発作を抱えている。ベルクザータに強い信頼を寄せている。



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