いつかこの恋が、

終わることを信じて。/side.Y

　決して許されることのないこの恋が叶う日など来る筈もなく、私は今夜もあなた以外の誰かの胸で嘘をつく。

　好き。

　あなたに向けて、あなた以外の人に吐くその言葉が、いつかあなたに届きますように。届きませんように。

　いつか、この恋が終わることを信じて。

　春。桜が舞い散る季節。

「四年振りかー…」

　まさかここに就職が決まるとは、ね。

　過去、何度も見た変わらない風景に、ふっと呆れのような、溜息混じりの笑いとともに零す言葉は、自嘲していて。

「あの子は、驚くのかしらね」

　まさか、こんな場所であの子と共に過ごすことになろうとは思ってもみなかったけれど、案外良い理由付けになるかもしれない。

　あの子が卒業する頃には終わらせよう。

　長年抱いたこの想いともさよならしよう。

　そして、あの子の幸せを願おう。

　この恋を終わらせるために、