◇19.Missing Weapon


 昼下がりの大学の学食。仁子ひとこは目の前のからあげ定食に手をつけず、ひとり佇んでいた。定期的にキョロキョロと周囲に目を配る。


 しばらくして、ようやくトレーを手にした待ち人はやってきた。


 「ごめんね。遅くなってしまって。講義が少し長引いてさ」


 輝紀てるきは謝罪しながら向かいの席に腰を下ろした。トレーにはカレーライスとスプーン、コップに汲んだ水が乗っている。


「いえ、とんでもないです。あ、お水、私二つ汲んできちゃいました」

「ああ。変に気を遣わせてしまってごめんね。それもぜひもらうよ」

「本当ですか? いいですよそんな」

「カレーだからたくさんお水飲むし、ちょうどよかったよ、ありがとう」


 紳士すぎる輝紀の振る舞いに、仁子は思わず心の中でうんうんと頷き尊敬の念を送ってしまった。


「先輩、昨日戦いの時いませんでしたよね。どうされたんですか?」

「あぁ、そうだ。それなんだけど……」


 輝紀のACAdapt Clockから電子音が鳴った。わざわざ今でなくてもいいのに。例によって知りたい欲が湧き上がっている仁子にとっては間が悪いとしか思えない。


ゆうだ。ちょっといい?」

「あ、はい」


 だが、輝紀が口にした名に仁子の背筋はしゃんっ、と伸びた。輝紀が応答すると、勢いのある大きな声が聞こえてきた。


「(もしもし! 先輩、聞こえます!?)」

「うん、聞こえるよ。むしろもう少しボリューム下げてもらっても平気かな」

「(あ、まじっすか! 俺今休憩中で外なんすよ! 風の音うるさかったらすみません! 先輩も、どっかザワザワしたところにいます? 逆にもう少し声、大きくして頂くか、場所移動してもらうことって出来ないっすか?)」

「要望が多いのよ!」

「(……は? 折笠おりかさ? 何でいんだよ)」


 輝紀とは違う声に一瞬戸惑ったようで優は閉口したが、少しして割り込んだのが仁子であると理解したようだ。


「何でって、いたら悪い? 先輩と一緒に学食でご飯食べてたのよ!」

「(お前先輩と飯食ってるって周りの女からしたら大層すぎることなんだぜ? 恨まれて刺されんなよ)」


 優に言われるまで全く気がついていなかった。意識して周囲を見ると、確かに女子達が憎むような強い視線をこちらに向けている。自分は輝紀と付き合っているわけではないし、何も気負う必要はない、構うものか、と仁子は輝紀のACに視線を戻した。


「それより、用件なら早く済ませてよね。今私が質問していたところだったんだから」

「(はぁ? 俺も質問あんだわ。先輩、昨日バトルん時いなかったっすけど、どうしたんすか?)」


 輝紀が噴き出すように笑い始めた。ACの向こうの優はきょとんとしているに違いない。仁子が首を傾げて見やると、輝紀は呼吸を整えながら水を口に含んだ。


「二人さ、似てるよね」


「どこがですか!?」

「(は!? どこがっすか!?)」


 否定するタイミングはばっちり合った。ACの先にいる優をキッと仁子は睨みつける。その様子がさらに輝紀の笑いのツボを刺激したらしい。一頻り笑い切ってから、輝紀は矢継ぎ早に水を飲むと、コップを静かにテーブルの上に置いた。


「それより、二人の質問は同じだから今から答えるね」

「(まじっすか)」

「実はあの日、夕方くらいに僕のところにもフォロワーが出現したんだ」

「え! そうだったんですか!?」

「(S応援要請してくれればよかったのに!)」

「そうしようと思ったんだ。でも、一体しか現れなくてね。気を張って臨んだんだけれど、レベルの低いフォロワーだったのか、一撃で呆気なく倒せてしまったんだ。何故だか、少し、恥ずかしくなるんだけどさ……」


 温厚な輝紀が顔を鬼のようにすることすら珍しいのに、恥ずかしさに慌てふためくなんてよりギャップが強すぎる。その姿をうっかり想像してしまい、仁子は少々にまついてしまった。


「そのあとにSがきて、何度か取ろうと試みたんだけど、どうしても取ることが出来ない状況に陥って……」

「何があったんですか?」

「これも本当に申し訳なくて恥ずかしい話なんだけどさ、実は就職先の上司になるかたと夜にサシで飲む約束をしていたんだ。その、酔っ払いかたが想像以上に凄くてね。激しい絡み酒になったあげく……うん。食事中だね。やめよう」


 最良のところで話を詰んでくれたおかげで輝紀の伝えたいことは逆によく分かってしまった。仁子は苦笑いするしかない。


「(介抱してるうちに応答するタイミングを見失っちまった感じっすか)」

「う、うん……。本当にどんくさいし、みんな大変だったのに……申し訳ない」

「そんな、落ち込まないで下さい。それってこれから誰もがぶつかる壁のような気がします」

「(どういうことだよ)」

「このgameゲームAdaptアダプト:適応しているけど、結局は現世ベース。仕組みとしてこうやって普通に生活をする中に、突然バトルのフィールドが展開される。自分のところにフィールドが現れなくてもSを受ければ周囲の時間は止まる。Yesを押しさえすれば応戦出来るって一見単純に思うけど、周囲にACは見えていないし、ましてや今の五十嵐いがらしくんからのCコールだって仮に今この場所でひとりだったらトイレにでも隠れにいかなきゃ取れないわよ」

「(新堂しんどうぐらい度胸ありゃぁな)」

「あれは色々なものを超えすぎていて怖かったわ。マイペースすぎるのよ」


 つばさが仁子に初めて声をかけた時の行動は実に印象深かった。あれだけ周りに流されず自分を貫けるのはある意味羨ましい。


「Cよりは確かにSのほうが受けやすい。けれど、日常との兼ね合いがどうしても妨げになってくる瞬間が出てくるところが、このgameの難しさを感じるひとつのポイントだと思ったよ」

「つまりは、駆けつけたくても駆けつけれないもどかしさとか、息苦しさに追い詰められそうになる恐れは誰にでもありうるってことっすね」

「うん……。そもそも、Organaizerオーガナイザー:主催者の考えていることがイマイチなぁ」

「Organaizerって、一体何者なんですか?」

「分からない。フォールンも上手にそこを語らぬようにしているからね。誠也せいやくんと一緒に初めに聞いてみたことがあったんだけど、かわされてしまったんだ」

「 “わたくしは中立です”で通すつもりなんでしょうかね」

「(やっぱり、アイツは信用出来ねぇな……)」

「優?」


 優の声色の微妙な変化を、輝紀が拾った。


「(今日実は、先輩にお願いしたいこともあって連絡したんすけど)」

「お願い?」

「(昨日、いや、今日の深夜か、誠也が襲われたんです)」

「え!?」

「ちょっと! 何でそれを先に言わないのよ! 襲われたってフォロワーに!?」


 仁子は輝紀の左腕を強く掴むと、ACを優に見立て激しく揺らす。


「(いや、フォロワーじゃなくて比べものにならない強いやつで。誠也、結構派手にやられちまってて、俺がS取れてなかったらやばかったかもしれなかったんすけど)」

「でも、どうして? SでTo ALLトゥオールしてくれれば」

「ん? そう言えば……」


 輝紀の眉が怪訝そうに動いた。


「今、敵が現れていないからSの画面を立ち上げられないけれど、僕のSのメニューにTo ALLはなかった気がする……そう言えば、昨日のSがTo ALLできた時に違和感を感じたんだ。初めはCかと思ったんだよ」

「もし先輩の記憶が正しければ、人によってメニューが異なっている部分があるっていうことよね」

「(やっかいだな。イラっとくるけど“それも含めてgameです”とか、あの天使、言ってきやがりそうだな)」


 優がフォールンを真似る口調は何気に特徴を掴んでいる。仁子は不覚にも笑いそうになったが我慢した。


「(それで、お忙しいとは思うんすけど、先輩、出来る限り誠也と一緒に行動してもらえませんか。ひとりにしておくのが不安で。俺が一緒にいれれば一番いいんっすけど……)」


 優の語尾が匂わせた含みを嗅ぎ、仁子の知りたい性は過敏に働く。だが口を開いた仁子に輝紀が「うん」と短く言葉を重ねた。まるで、優に問うのを遮るように。


「もちろんさ。このあと誠也くんに連絡取ってみるよ。しばらく僕の家に泊ってもらっても構わないしね」

「(ありがとうございます! じゃあ俺仕事戻ります。すみません)」

「うん、残りも頑張って。じゃあ」


 輝紀が通信を切った。定食に箸をつけながら仁子は顔を上げる。


「私も、あとで椿つばきくんに連絡してみます」

「うん。そうしてくれると誠也くんも少し気持ちが明るくなると思う。助かるよ」


 両手を合わせてからカレーを口に運び始めた輝紀を窺う。


「あの、先輩と五十嵐くんって、どういうご関係でしたっけ」


 仁子はからあげに齧りつくのに集中しているように見せつつも、いかにも今思い出した風を装い問いかけた。


「中学の時の先輩後輩だよ」

「なるほど……五十嵐くんって、忙しいんですか?」

「気になる?」


 ふと視線を合わせてきた輝紀に、仁子はどきっとする。心の裏側まで全て見透かしていそうなひとみの色。だが、うろたえてはいけない。仁子は澄ました顔を心がける。


「いえ。ただ単純に、お二人の会話でそう思っただけです」

「まあ社会人だからね優。僕達学生よりは遥かに忙しいよね」


 輝紀はスプーンを進める手を止めた。


「誠也くんのことを、もうひとりの弟みたいに思っているのかもしれないね。優、長男だし、昔からしっかりしたお兄ちゃんって雰囲気はあるよ」

「長男なんだ……ちょっと意外」

「ああ、仁子ちゃんからしたらそう感じるよね。今の外見だと一見チャラいし」

「はい。と言うか、あの髪色で社会人って、一体何の仕事ですか?」

「そんな、今恐らく仁子ちゃんが想像したような派手な仕事じゃないよ。ガソリンスタンドの正社員。高校の時からそこで頑張ってアルバイトして正社員になっているから、バイト時代、相当努力したと思うよ」


 ふ~んと仁子は少々オーバー気味に口を窄める。


「さっき、もうひとりのって言ってましたけど、弟がいるんですか?」

「うん、確か二人いたはずだよ。や~、本当、同じ長男でも優は鈍臭くてしっかりしてない僕とは大違いだからね」

「先輩も長男なんですね。って言うか、全然、五十嵐くんより長男っぽいですよ?」

「いやあ、雰囲気だけだよ」

「そんなことないです」

「……ありがとう」


 仁子が笑みを浮かべると、困ったような顔をしつつも輝紀は笑んでくれた。輝紀のような完璧に見える人でも、劣等感を抱えているのだ。人は見かけじゃ分からない。


 まだまだ知らない一面がある。知りたい。からあげを頬張りながら、仁子は優の顔を思い浮かべていた。



 

 ◇◇◇



 オレンジと紫が混じり合う空。その中にぽっかりと浮かぶ夕日に照らされているカフェのテラス席。白い丸テーブルの席に座りホットのブラックを飲みながら、翼は海を眺めていた。ACは十七時半過ぎを差している。


「翼くん。お待たせ」


 仕事を終えた杏鈴あんずがマグカップを片手に歩いてきた。翼の隣の席に腰を下ろすと背にだらんと身体を預ける。日中忙しなかったのか、いつもより疲れている様子だ。


 杏鈴がホットのカフェラテをひと口含む。表情が少しリラックスしたのを見計らって、翼は口を開いた。


「……あのあと、椿と会話をする時間があったんだが、どうやら戦闘能力にはが関係している可能性が高いらしい」

「引いている、血?」

「……過去にそれぞれが選ばれているというCrystalクリスタルを所有していた者達の血だ。昨日の戦いで五十嵐、折笠は特に戦闘能力が高いように感じた。あの二人が所有しているであろうCrystalを過去に持っていた者が恐らく同じか、それ以上にその能力に優れていたのではないかと言うことらしい」

「簡単に表現すると、ご先祖様みたいな人達が強かったっていう感じ?」

「……そうだ。そこから推測して、お前のCrystalを所有していた先祖は、もしかしたら戦闘要員ではなかった可能性も考えられる。だから」


 翼と視線が合うと、杏鈴は軽く首を右に傾げた。


「……あまり、気に病むな」


 頷きはしない。わずかに口角を上げると、杏鈴はカフェラテに夢中になった。その横顔を見つめているとぎってしまう。旅人の姿が。


「……戦闘能力の高いやつ、もうひとり忘れていた。白草賢成しらくさまさなり


 杏鈴はピク、と眉を動かすと、翼ではなく波打つ潮に視線を運んだ。


「……知り合いなのか?」

「ううん、知らない」

「……お前、バイト中以外でおさげに髪を結うことってあるか?」

「ううん、普段はコテで巻いて今みたいに下ろしてる。お家でご飯作る時はひとつ結び」

「……残念だが、向こうはお前のことを深く知っているように俺には感じられた。お前が本当にやつを知らないのなら言いかたは悪いがストーカーの領域に踏み込んでいるレベルだぞ。そんなやつがまさかの同じチームなんだが」

「えっ。同じチームって、あの、武器のやつ?」

「……ああ」


 空気を呑み込むように一瞬目を泳がせると、杏鈴は黙り込んでしまった。翼はコーヒーカップを片手に持ち、海のほうへ視線をずらす。


 次の瞬間、ダークブラウンの液体は揺らめき、コーヒーカップの縁を越えた。白いテーブル上に水溜まりが出来上がる。


「わ! 翼くん大丈夫? 台拭き取ってくるね」


 立ち上がり店内へと向かいかけた杏鈴だったが、ある声に止められた。



「ハーロウッ! あ、間違った~こんばんはだった~♪」



 何と、噂をしていた賢成が、テーブルを挟んだ真向かいに現れたのだ。拭えないストーカー疑惑に恐怖を感じているのか、杏鈴の無理矢理作り出している笑顔は痛々しい。


「あれ~? おさげちゃん今日もおさげじゃないね。似合うのにな~」

「あの、バイトが終わったから取っちゃって……あの、台拭き取ってくるね!」


 慌てて店内へと駆け込んでいく杏鈴に、緩い笑顔でヒラヒラと賢成は手を振る。


「……おい貴様。何故ここに俺達がいると分かった」


 賢成の右腕をグイッと掴み、すかさず翼は詰め寄る。


「う~ん、企業秘密ってヤツかな?♪」

「……ふざけるな」

「も~そんな怖い顔しないでよ新堂ちゃん。仲間なんだしさ、仲よくしようよ、ね?」


 左手を差し伸べてくる賢成に、翼は右腕を掴む手を引いた。握手なんてしてやるものかと言わんばかりに胸板の前で腕を組む。


「……正直に言え。貴様、アイツのこと、ストーキングしてるだろう」


 真剣な翼に対し、賢成は陽気にケラケラと笑い出した。何ひとつおもしろいことなんてない。何がそんなに愉快だと言うんだ。腹が立つ。


「ひっどいなぁ~。ストーカーなわけないでしょう」

「……じゃぁ一体貴様は何者だ」

「何って、う~ん。さすらいの旅人?」

「……ますます納得がいかないんだが」

「そもそも、ひどいのはなんだけどな~」


 杏鈴の呼びかたをいきなり変えた賢成は、急に浮かべていたへらっとした笑みを消した。そのひとみの色素がやけに暗くなった気がしてゾクっとする。翼は表情は崩さぬようにし、そのまま賢成を見つめ続ける。


「俺のこと、覚えてないんだもん」

「……アイツといつ、どこで会った」

「う~ん、それはね〜」


 台拭きを手に戻ってくる杏鈴の姿を見ながら、にっと賢成は笑った。



「杏ちゃんに、思い出してもらわないとね」



 翼は身を乗り出したが、杏鈴がテーブルに戻ってきたため、口を閉じざるを得なくなった。睨みつけるが賢成は動じず、余裕の笑みさえ浮かべている。


「あ、いいよ~、俺が拭いてあげる」

「えっ、あ、ありがとう」


 台拭きを受け取り鼻歌を歌いながら零れたコーヒーを拭いていく賢成。その様子を見れば見るほど、翼の心に不信感と疑念は溜まっていく。


「……そういや貴様、銃はどうした? この前杏鈴とわたるのを無理矢理借りていただろう。何故自身のものを使わない」


 綺麗になったテーブルに満足そうな賢成に、翼は責めるように問う。


「あ~、俺、ないんだよね。W武器

「……は?」

「だから~、元からないの、銃が」

「えっと、この、ACに、銃が入ってなかったってこと?」

「そう~! 杏ちゃん大正解!」

「……そんなことがありえるのか? 致命的すぎるだろ」

「ありえてるから言ってるんだよ。だから素手か、昨日みたいに借りるしかないんだよね~」

「……貴様、全体的に設定がおかしいんだな」

「そうなんだよね~。Bバトルクローズも俺だけ変な格好だったしさ~。俺、恨み買ってるのかね~」

「……あぁ、間違いなく高確率で買っているだろうな」

「悲しいけど恨まれやすいんだよね~俺」


 “恨まれやすい”、そのワードに翼の右瞼はピクリと動いたが、杏鈴がいるこの場で咎めるのはやめた。


「さぁて、次のいき先あるから、失礼するね」


 ふわっと賢成は立ち上がる。


「……全てにおいて急だな」

「旅人だからさ~、杏ちゃん!」


 呼びかけられ、杏鈴は賢成に潤んだ視線を向けた。


「また、おしゃべりしにくるね」


 翼には見せない穏やかで優しい笑顔を賢成は浮かべた。こくんと頷いた杏鈴の両手は左胸。本人は無意識に抑えているのかもしれないが、翼には分かる。その鼓動は苦しいほど早まっているに違いない。


「アディオ~ス」


 ぶんぶんと手を振りながら足早に賢成は去っていった。


「……怒涛、だったな」

「うん、そうだね。本当に、どうしてここが分かったんだろう」

「……謎が多すぎる」


 翼は賢成の行動や言動を思い返す。考えれば考えるほど同じだ。やはり不信感と疑念しか浮かばない。


「翼くーん……翼くーん」


 ボーっと考えを巡らせ続けているところに、杏鈴の透き通った声が割って入り込んできた。


「……すまない。考えごとをしていた」

「翼くん……このあとって暇?」

「……まあ、暇だな」

「また、バイクでお散歩したいな」


 ようやく見ることが出来た杏鈴の笑顔。頬は可愛らしく薄い桃色に染まっている。翼の口角も自然と緩やかに上がった。


「……海沿い、走るか」

「やった! ありがとう! これ、すぐ片づけてくるね!」

「……ああ、サンキュ」


 ぴょんっ、と椅子から立ち上がった瞬間に杏鈴の胸元から覗いたネックレス。その存在を心の片隅に引っかけながら、翼は店内へ小走りで向かっていく背中を見つめていた。

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