第6話 女性視点と一人称『あたし』
わたしに影響を与えたエロサイトは数知れない。
しかし、それらの具体名を挙げるのはよそう。
現役で運営されているサイトもあれば、もうすでに閉鎖されているものも数多い。
あるいは、時代のうつりかわりのなかで、閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれたか……まったく、残念な話だ。
わたしは
“「ちょうだいっ! ちょうだいっ! 子宮に注ぎ込んでえええっ!」
「ようし、孕めっ! 俺の子を孕め! 子宮を満タンにしてやるっ!」
そういって三郎はケメ子の膣奥に、叩きつけるように精をほとぼらせた。”
系のエロ小説が苦手である、ということは前章で述べた。
で、どういうのがエロいのか、いろいろと小説サイトやエッチ体験告白サイトなどを閲覧していくうちに、自分がいちばんエロい、と感じるのは
『女性一人称を用いた告白体文章』
であるということに気づいた。
ある有名老舗官能小説サイトの作家さんは、それが非常に巧みだった。
そのサイトからわたしが得た影響は計り知れない。
また、エッチ体験告白サイトなどの『女性視点』の文章も、大いに参考になった。
まあ実際に女性が描いているのかどうかは別として、あれはすごくエロい。
宇能鴻一郎という官能小説家は
「あたし、少しお尻の大きい27歳の人妻なんです。」
という「なんです」系語尾のエロ小説で一世を風靡したが、名もなき投稿者たちの中に、宇能鴻一郎を彷彿とさせる“エロいお姉さんから直接ヒミツの告白を聞かせていただいている感”を味あわせてくれる手練は少くなかった。
女性視点が巧みなエロ小説、というのはエロい。
男性視点のみで描かれているエロ小説は、非常に独りよがりな感じがする。
そんなわけで、わたしは女性が管理者である、というサイト、もしくはそういう触れ込みで運営されているサイトにヒントを求めた。
これは本当に世に問いたいところだが、一方的に、かつ攻撃的に女体を攻める視点でだけ描かれた文章と、攻められ、蹂躙される立場に立った立場で描かれた文章、どちらがエロいだろうか?
いや、ここで決断するのはやめよう。
答えはない。
つまりわたしは、後者のほうにエロスを感じた、というだけの話だ。
これはあくまで、個人的な見解である。
特にわたしは、「あたし」という一人称に弱い。
なぜだろうか。
なぜ、「わたし」よりも、「私」よりも、「妾」よりも、「あたし」がいいのだろうか。特に意味はないとは思うが、語感の問題なのか。
それとも村上龍の「トパーズ」のイメージからだろうか。
「あたし」の一人称で語る女性が、たんたんと、起伏無く、自分のエロ体験を語るスタイルに弱い。例えばこんな感じだ。
「男があたしのふくらはぎを掴み、自分のほうに引き寄せた。
あたしは脚を逃がそうと思ったけれど、男が足首をしっかりと掴んでいる。
そして男は、あたしのつま先に自分の鼻をつけた。
『いい匂いだよ……ケメ子ちゃん』
ちょっと、ぞっとした。マジでキモかった。
くすぐったいだけではなく、足の指の間を嗅がれるのは、とても恥ずかしかった。
『やめてよ……』
『いいからじっとしてなさい……おじさんはこれが好きなんだ』
変態……と思ったけれど、あたしはその言葉を飲み込んだ」
こういうのがエロい。
確かに「トパーズ」チックではあるが、ネットにおける女性作家、および女性を名乗る作家、そしてエロ掲示板で女性視点で描く文章書きたちは、こういう文体を巧みに用いていた。
わたしはそれをそのまま自分の創作に取り入れた。
また、わたしの別の性癖に、「思春期の少年」に対する偏愛、というものもあった。それについては、また次回にて。
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